執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年1月17日 14時14分
下値余地広がる、テクニカル的にも弱め
ユーロ/円、ポンド/円はさえない展開
日銀の1月追加利上げを織り込む流れが強まり、ユーロ/円は159.727円、ポンド/円は189.609円まで各々、下げました。もっとも、米ドルが対円でさげたことで、相対的にユーロやポンドが底堅く推移したため、ユーロ/円やポンド/円の下げ幅は限定されました。英国については、インフレ緩和を示す指標を受けて、英財政への不安が和らいだこともポンド/円を支えた可能性があります。(各レート水準は執筆時点のもの)
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※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
欧州通貨、上値重い展開継続
ECB議事要旨では、今後数カ月および数四半期にわたってインフレ率の基本予測が正しいことが確認されれば、政策の引き締めを徐々に緩和することが適切であるとの認識が示されており、月末のECB理事会でも0.25%利下げが実施されると見られています。また、英国もインフレ鈍化が示され、英中銀のテイラー委員からは「予防的な利下げの必要性がある」との声も聞かれ、徐々に追加利下げへ近づき始めた様子です。追加利下げへの意識がユーロやポンドの上値を抑制しそうです。加えて、トランプ次期大統領の通商政策により世界的な貿易戦争激化への不安も、欧州通貨にとってはネガティブ材料になります。ポジションの傾きから一時的な買い戻しも想定されますが、目線は依然として下向きのままのように感じます。ユーロ/円、ポンド/円は上値の重い展開が続くのではないでしょうか。
ユーロ/円、ポンド/円、下げ幅拡大を意識(テクニカル分析)
ユーロ/円は、日足一目均衡表での三役逆転の手前で何とか踏みとどまっている感じです。ただ、雲の下限が目先切り上がるため、現状水準を維持しただけでは、三役逆転となってしまいます。早急に戻して、雲の上限161.431円より上側で定着出来るか着目されます。失敗すれば、再び拡大期に突入し始めた期間21日のボリンジャーバンドの-2σラインに絡みながら、下げ幅を広げていく危険もありそうです。
また、ポンド/円のローソク足を見ると、昨年10月30日高値199.805円を頂点としたダブルトップ形成を目指す格好に見受けられます。ネックラインである188.087円を下回れば、昨年9月末安値の183.707円付近まで目立った支持線が見当たらないこともあり、下落ペースが速まる危険もあり、注意が必要です。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:156.500-162.500
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:184.000-193.000
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一言コメント
来週は、トランプ氏動向が注目されます。トランプクラッシュが起きないように願っています。
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1999年に誕生した欧州の統一通貨。EU加盟全28か国中19か国で採用されている。統一通貨により域内の貿易障壁をなくし、単一市場を形成することで、域内の経済成長に寄与する。一方で、統一通貨の性格上、各国は経済状況に合わせた柔軟な金融政策の実施が難しい。また、単一市場を維持するために、財政赤字が単年度でGDPの3%を超えないこと、累積の国債残高がGDPの60%を下回ることという制限がかかっている。こうした状況から加盟国の一部でユーロに対して批判的な姿勢が見られ、ユーロ懐疑派が選挙で躍進する場面がみられる。 世界の外国為替市場ではドルに次いで取引量第2位。第3位の日本円とかなりの差があることもあり、ドルの代替通貨として、基軸通貨の役割を果たしている。 ユーロ圏全体の経済指標に加え、域内最大の経済大国であるドイツの経済指標でも相場が変動する。その他の加盟国の経済指標に対する注目度は低い。
ドルの代替通貨としての役割や、実際に世界の為替取引の約四分の一がユーロドルということもあり、ドルが上がるとユーロが下がり、ユーロが上がるとドルが下がる傾向にある。 中東・東欧・ロシア・アフリカとの関係が、他の先進国よりもつよく、これらの国で有事が起こった際には売りが出る傾向がある。
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