自動車総連もその企業に対しては当然その撤回を求めました
(2)明らかになった非正規労働の問題点と社会的批判 そこで、非正規労働の問題点を改めて整理をすると、一つは職を失うということが即生活の危機に直結するという、きわめて不安定な雇用形態だということが明らかになりました。もう一つは、自動車産業として基本的には法令を遵守した対応を行いましたが、強い社会的批判を受けました。法令遵守については、一部の会社が、契約期間の途中で非正規労働者を解雇して問題を起こしました。自動車総連もその企業に対しては当然その撤回を求めました。基本的には契約が満了したので雇い止めしたというかたちになりましたが、企業の社会的責任について、きわめて強い社会的批判を受けました。これを自動車総連としても真摯に受け止めなければいけないと考えています。 私自身、今回の問題をきっかけに、正規も非正規も含めて、公正な働き方や良質な雇用とは何か、ということが私たちに問いかけられている、と考えています。リーマンショク以前には、正規労働者にとっては長時間労働、つまりワークライフバランス(仕事と生活の両立)の問題がありました。そして非正規労働者についても、リーマンショック以降の状況は異例かつ異質な状況ではありますが、そのなかで改めて本質的な問題が顕在化した、と捉えるべきだと思います。
自動車産業の労働組合でつくる自動車総連(組合員約78万人)が、2025年春闘で年間休日数の5日増を求める方針を掲げた。
日本全体の動向をみると、非正規労働者は年々拡大傾向にあります。3人に1人が非正規労働者です。しかし、比率でみると派遣労働者はそれほど多く増えていません。非正規のなかで多いのはパートとアルバイトで働いている人たちです。 自動車産業の雇用の動向をみてみましょう。表は主な100組合、これらは自動車メーカーや販売、部品などの大手組合や、地域のバランスのもとに選ばれた100社をもとに、自動車総連全体のトレンドをつかんでみようというものです。これをみますと、2004年6月から2008年6月まで、正社員と非正規労働者はともに増えています。労働組合は再雇用を要求し、定年退職後の高齢者の雇用を増やしてきました。 問題は派遣です。一気に3倍にまで増えていますが、請負は一定の数値でとどまっています。2008年6月時点でみると、非正規の比率は25.1%でしたが、リーマンショック以降減少します。2009年6月時点で、正社員は若干伸びていますが、期間従業員と派遣は大幅に減少しています。非正規の比率は14.2%にまで下がっています。
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