ドル円、1ヶ月ぶり安値から反発 – 日銀利上げ観測と週末要因
欧米時間のドル/円予想レンジ:154.900-157.400円
東京市場のドル/円は失速。156.58円前後まで買いが先行したものの、実需のドル売りや持ち高調整の円買いが入り155.71円前後まで反落しました。ただ、その後はやや値を戻して156.00円を挟んだもみ合いとなっています。
米国の第47代大統領にトランプ氏がきょう就任します。一部の米メディアによると就任初日に署名する大統領令は200以上に上るそうです。中でも市場が関心を寄せるのは輸入関税に関する大統領令でしょう。関税強化は米国のインフレを助長することから金利上昇とドル高につながるとの見方が有力ですが、度を超えた関税賦課は世界経済のリスクになり得るとして世界的な株安と円高を引き起こすおそれもあると見られています。なお、トランプ大統領が大統領令に署名するのは就任式とその後に行われる就任パレードを終えてからとなる模様です。仮に就任演説で関税への言及がなくても、明朝まで警戒を維持する必要があるでしょう。
ドル円 日足チャート
この後の経済イベント
1/20(月)
16:00 独12月生産者物価指数
19:00 ユーロ圏11月建設支出
23:00 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
23:30 ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
25:30☆トランプ米大統領就任式
—– 世界経済フォーラム(ダボス会議、24日まで)
※☆は特に注目の材料
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そして また再びの円高・ドル安である
中国の対米直接輸出の重要性は過去4年間で若干低下しているものの、世界一の経済大国である米国は依然として中国にとって最も重要な最終需要の市場で、昨年は5000億ドル余りの物品を購入。これは中国のGDPのほぼ3%に相当する。
中国への追加関税の理由は中国からメキシコなどを経由して合成麻薬「フェンタニル」が米国に流入していることへの対抗措置、カナダやメキシコへの関税についても違法薬物や不法移民の流入が終わるまでの措置としている。米商務省によると米国の今年1~9月の輸入額はメキシコから3788億ドル、中国から3221億ドル、カナダからが3093億ドルで1~3位を占め、3カ国合計で全ての輸入額の4割に上る。トランプ氏は選挙戦で不法移民対策を争点の1つにしていたが、問題を解決するために関税を最大限活用する姿勢を明確にしたわけだ。
ただIRAはEV普及政策だけでなく、太陽光や風力発電の設置も支援する複合的な政策パッケージです。このため、IRAを活用した投資案件は共和党支持が優勢な州で多いことがわかっており、廃止には踏み切りにくいとの見方もあります。EV購入者に対する最大7,500ドルの税額控除(IRAの30D条)廃止といった部分的な見直しは検討される一方で、法律の全廃は見送る可能性が浮上しています。
日本株市場は先週も相変わらず抑圧的で冴えない動きをしたが、華々しくドラスチックに動いているのがドル円市場である。
金融市場ではメキシコとカナダの通貨が対米ドルで急落、アジアの株式市場でも貿易戦争の標的になりやすい自動車や半導体関連銘柄の下落が目立った。もっともトランプ氏の次期大統領就任を控えて、世界の企業は先回りで貿易戦争に備えている。関税引き上げ前に在庫を積み増す動きを強めており、アジア発米国向けの海上輸送量は2024年が過去最高になりそうだとの観測が出ている。第一次トランプ政権下では米中関税合戦によって2019年の世界経済が減速したが、その二の舞にならないように早め早めの動きが出ている。
対中貿易政策では、中国の最恵国待遇の撤廃を唱えています。この最恵国待遇とは、加盟国に対して平等な貿易条件を提供するという世界貿易機関(WTO)の原則に基づくものですが、トランプ氏は「中国からの経済的な独立を果たす」と公約で掲げて撤廃の理由を説明しています。対中貿易赤字は減少傾向にあるものの2023年時点で約2,800億ドルを記録しており、トランプ氏は問題視しています。
しかし、金融市場は追加関税がもたらす経済への悪影響を次第に警戒し始めている。その結果、米国市場で長期金利上昇、ドル高、株高で特徴づけられてきた「トランプ・トレード」は、変調を見せ始めているのではないか。日本市場でも、円高、株安のリスクをより警戒すべきかもしれない。
「米国の利下げ&日本の利上げが今後進めば、日米金利差は縮小してドル売り&円買いで円高になる」とのコンセンサス通りの展開で7月3日の161.94円から9月16日には139.57円と22円もの円高が進んだ。ところが、それが再び巻き戻されて11月15日には156.74円と2カ月前から15円もの円安となった。「米国利下げ&日本利上げ」のシナリオ自体は崩れていないのに、なぜここまで再び円安となったのか? 過去のコラムで解説したが、為替市場の方向性を決めるのは単一の理由ではないということだ。メインシナリオが実現すれば円高であっても、サブシナリオが働いて円安になるという事例である。そのサブシナリオとは「景気減速が起こらないほど米国経済は強い」=「ドルを買う」という動きが起こった事、そしてトランプ氏が大統領選で勝利するという「トランプトレード」でドル高と米金利上昇が起こった。
そして、また再びの円高・ドル安である。11月29日に149円台を付けたことでトランプ氏当選が決まった後の円安進行が帳消しになった。この流れはメインシナリオである。12月のFOMCでFRBがさらに利下げを行う一方、日銀は12月の金融政策決定会合で利上げを行うとの観測が増えているからだ。先日公表された11月のFOMC議事要旨では参加者の多くが段階的な利下げを支持していたことが明らかとなっており、日銀の植田和男総裁の講演会での発言は従来のハト派色は薄かった。「トランプトレード」が一旦落ち着いて巻き戻しが進み、足元の米長期金利は4.5%台から4.1%台まで低下した。日米の金融政策の方向性の違いによる金利差縮小に再び脚光が当たり、円買い・ドル売りが膨らみやすい地合いにある。
当初、トランプ氏の掲げる追加関税はドル高を生み、また減税や規制緩和は米国経済に追い風になるとの見方から、トランプ氏の勝利を受けて米国市場ではドル高、株高が進んだ。
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