2024年コンプラ違反倒産 過去最多
兵庫県の労働基準監督署の非常勤職員が、実際には雇用していない人物名でキャリアアップ助成金を申請し、合計1,200万円の助成金をだまし取ったとして、懲戒処分を受けました(参考:神戸新聞NEXT)。
2023年度のコンプライアンス違反倒産件数で最多だったのは「業法違反」の84件で、ついで「粉飾」の81件です。また注目すべき動きとして、不正受給の増加が挙げられます。不正受給による倒産件数は30件で、これは前年より2.5倍も多く、2023年度だけ突出して高い数値です。コロナ禍の特例として認められた雇用調整助成金等の各種補助金や支援金を不正受給していたケースが、2023年度中に次々と発覚したことがその背景にあります。
医療器械メーカーの老舗である白井松器械株式会社は、とくに解剖台、撮影装置付切り出し台、ホルマリン濃度の監視モニターといった病理・解剖用機器の取り扱いで業界をリードし、国立大学や大手衣料メーカー、国内主要病院などに取引を広げている企業です。しかし90年代後半から競合の存在や取引先の合併、国立大学の独立行政法人化に伴う予算削減などによって業績が落ち込み、2000年頃から粉飾決算に手を染めていたといいます。
当該惣菜店は、「感染源が特定されていない中で営業再開は難しい」とし、同年9月20日に全17店舗を閉店することになりました。
個人情報流出とは、その名の通り企業が管理する顧客情報等が情報セキュリティの不備等により、流出してしまうことを指します。大きな漏洩事件以外、あまり耳に入りませんが、2017年の発生件数は386件、漏洩人数は519万8,142人と多くの被害が出ています。
コンプライアンス違反を引きおこさないためには、社内ヒヤリハット事例や、過去にコンプライアンス違反がある場合には、その事例を徹底検証し、自社に起こり得るリスクを徹底検証する必要があります。
2023年1~9月時点で「コンプライアンス違反」により96件の企業が倒産しており、前年同期と比べて39.1%も増加しています。
コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2024年) 2024年のコンプライアンス違反倒産は388件で、過去最多を記録した。業種別ではサービス業が最多で、違反類型別では粉飾が最も多く、過去最多の95件に達した。粉飾決算による大型倒産や資金流出といった「資金使途不正」も増加し、コンプラ違反倒産は倒産全体の約4%を占めた。2025年に入ってもなおコンプラ違反倒産が散見されており、引き続き増加傾向で推移するとみられる。
景品表示法違反で多くの注目を浴びたのは、2016年4月に大手自動車メーカーが公表した燃費試験データに不正があった事例です。
20年以上粉飾決算を続けていたものの、2023年2~6月にかけて取引金融機関が決算書の内容に疑念を持ち、借入金の一括返済、残高証明書の提示といった厳しい要求を重ねて行いました。結果として自力での事業継続を断念し、負債額約86億9,600万円で倒産手続きに入り、民事再生の適用を申請しています。
粉飾決算とは、不正な会計処理によって、故意に賃借対照表や損益計算書、決算書を操作し、企業の財務状況や経営状況が悪化しているにも関わらず、黒字として監査に提出するといった違法行為です。2017年度では、コンプライアンス違反で倒産した企業231件中、72件は粉飾決算が原因とされています。
大手宅配業者では「博多北支店」において、2016年6月から7月にかけての従業員の労働時間管理を適正に行っておらず、労働基準法違反に該当するとし、本社と「博多北支店」の幹部2人が、福岡地方検察庁に書類送検されました。
その結果、2003年頃から粉飾決算に手を染めるようになり、2022年9月期の損益決算書の実態決算は売上高45億1,600万円、最終赤字3億4,200万円でした。しかし、税務申告した決算書では売上高68億600万円、最終利益4億7,700万円と計上していました。貸借対照表でも粉飾が行われ、実態決算よりも負債(短期・長期借入金)が約100億円も少なく記載されていました。同社は粉飾決算の発覚によって事業継続が困難となり、民事再生も断念し、負債額約282億6,600万円にて破産に至ります。
熊本県玉名市の病院では、勤務時間を偽装し2015年4月から合計8,000万円以上の診療報酬を不正受給していたことが2019年1月23日に発覚し、不正受給分の返還処分になりました(参考:毎日新聞)。
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