ドル円、米景気減速懸念で150円台の上値が重い…このあと米2月消費者信頼感指数に注目
欧米時間のドル/円予想レンジ:148.600-150.600円
東京市場のドル/円は、150円台の上値が重い展開。序盤は実需のドル買いなどから150.30円前後まで強含む場面もありました。ただ、日本株安や米長期金利の低下が重しとなり午後には一時149.46円前後まで反落し、欧州市場では149.20円前後まで下値を切り下げました。ただ、下げが一服すると149.80円台まで持ち直しています。
先週金曜日に発表された米2月サービス業購買担当者景気指数(PMI)・速報値が49.7と予想外に経済活動の拡大・縮小の分岐点である50を割り込んだことで米景気減速懸念が台頭しています。そうした中で今夜は米2月消費者信頼感指数が注目されます。市場予想では102.5と前回(104.1)から低下すると見られており、予想以上に低下した場合はドル売りが強まりそうです。その場合のドル/円は再び149円割れを試す展開となる可能性もあるでしょう。
ドル/円をテクニカル分析で見ると、移動平均線が弱気のパーフェクトオーダーを形成するなど上値の重さが目立っています。足元では148円台後半で下げ渋る値動きが続いていますが、じわじわと下値を切り下げています。このまま昨年12月安値148.64円前後を下抜けた場合は147円台への下落も視野に入ってきそうです。
ドル円 日足チャート
この後の経済イベント
2/25(火)
23:00 米12月FHFA住宅価格指数
23:00 米12月ケース・シラー住宅価格指数
23:00 ピル英MPC委員講演
24:00 米2月リッチモンド連銀製造業指数
24:00☆米2月消費者信頼感指数
25:45 バーFRB副議長講演
27:00 バーキン米リッチモンド連銀総裁講演
27:00 米5年債入札(700億ドル)
2/26(水)
09:30☆豪1月消費者物価指数
※☆は特に注目の材料
経済指標・イベントの結果について
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お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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米利上げ局面においてドル円相場がどうなったのかみてみましょう
③22年3月以降は、為替のセオリー通りに「利上げ=通貨高」の関係がみられます。22年3月に1ドル=122円台後半だったドル円相場(月末終値ベース)は、23年10月には151円台まで円安・ドル高が進みました。これは22年3月以降にFRBがインフレ退治を主な目的として利上げを加速度的なペースで実施する中でも米景気が強さを維持したことが影響しているとみられます。米利上げと米景気の底堅さが共存する一方、日銀は大規模金融緩和政策を継続していることで、外国為替市場では円安・ドル高が一段と進むことになりました。
この期間のドル円相場(月末終値ベース)は、1ドル=120円台から円買い・ドル売りが進行し、16年には100円前後まで円高・ドル安が進む場面もありました。米利上げが停止された時点では109円台で推移し、15年の利上げ開始時点(120円台)に比べても円高・ドル安水準になりました。
日本にとってもインフレは円安要因の1つになりますが、物価と為替相場の関係では、高いインフレ率が金融政策に実際に波及していくかどうかがカギを握ります。現時点では、高いインフレ率を背景に米国は22年から利上げを続けてきた経緯があり、一方で日本の物価は上昇基調にあっても低金利政策を続けています。この影響で、ドル円相場は円安・ドル高のトレンドが続きやすい環境になっています。
米利上げ局面においてドル円相場がどうなったのかみてみましょう。今回は、①04年6月~06年6月、②15年12月~18年12月、そして③22年3月以降――の3つの局面を検証していきます。
この期間のドル円相場(月末終値ベース)は04年6月の1ドル=108円台から一時は102円台まで円高・ドル安が進みましたが、その後は緩やかに円売り・ドル買いが優勢となり、05年11月には120円近辺まで円安・ドル高が進む場面もありました。利上げが打ち止めとなった06年6月は114円台でした。この期間は一般的な為替のセオリーとされる「利上げ=通貨高」、つまり米利上げに伴う円安・ドル高の関係が成り立った好例といえます。
FRBが利下げ局面に入った当時の日銀は量的金融緩和政策の解除を経て07年2月に利上げに踏み切りました。「利上げ=通貨高」のセオリーにならったかのように、ドル円相場は円高・ドル安が急速に進みました。
24年に入ってからのドル円相場は1ドル=150円台で推移しています。しかし、日米の金融政策とドル円相場の過去の動きをみると、客観的事実として07年当時の局面に似通っているようにも見えます。今後の日米金融政策とドル円相場の行方に目が離せません。
現時点で日米金利には大きな差がありますが、日米金融政策の方向性に変化の兆しが出ているため、日米金利差は拡大から縮小へと向かう可能性が意識されています。そうなった場合、ドル円相場は円安・ドル高の流れが反転していくことも想定されます。
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