
本日のニューヨーク市場でのドル円は、中長期の移動平均線がいずれも下向きとなるなど上値の重いなか、米経済イベントを確認する展開か。
経済指標は、MBA住宅ローン申請指数や1月米新築住宅販売件数など住宅関連などが予定されている。通常であれば材料視されにくいかもしれないが、米景気不安が台頭しているため、予想や前回を下回る結果となった場合はドル売り材料される可能性はある。
金融当局者の講演予定は、NY時間午前にバーキン米リッチモンド連銀総裁が、午後にボスティック米アトランタ連銀総裁の2人。市場ではタカ派的と見られている両者だが、共に今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)投票権はない。直近でバーキン総裁は「インフレが目標に戻るという確信が得られるまで、金融政策は緩やかな引き締め状態を維持すべき」などと発言。ボスティック総裁は、「不確実性は大きいものの、今年2回の利下げを予想」とハト派的な見解も述べている。足もとの金融情勢についてコメントがあれば材料視されるかもしれない。
そのほか引き続き、トランプ政権の関税を始めとした政策や、ウクライナ和平の進展状況には引き続き気を付けたいところである。なお、NY株式市場の引け後になるが、米半導体大手エヌビディアの決算が発表予定。結果次第では、リスクセンチメントの強弱に影響する恐れがある。流動性が薄くなる時間帯でもあり、念のため注意したい。
ドル円の日足チャートを見ると、21日移動平均線が200日線を下抜いてデッドクロスが出現。上値の重いムードの中では、株安や米長期金利の低下などを手がかりに下値を試しやすいと見る。ただ前週末以降148円台での底堅さを考慮すると、株高や金利上昇などがきっかけとなって買い戻しを誘う展開にも備えておきたいところ。
他方、NY時間午後にディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員が講演予定。市場予想通り政策金利が0.25%引き下げられた今月6日の英中銀(イングランド銀行・BOE)MPCでは、同委員は0.50%の大幅利下げを主張していた。24日にも「英国の消費は欧州の中で異常に弱い」「緩やかな金利引き下げのペースの定義が委員によって異なる」などと発言している。2日でスタンスが変わるとは思えないが、発言が伝われば念のため確認しておきたい。
想定レンジ上限
・ドル円、本日高値149.63円を超えると昨日高値150.30円
・ポンドドル、200日移動平均線1.2787ドル
想定レンジ下限
・ドル円、昨日安値148.57円を割り込むと心理的節目148.00円
・ポンドドル、5日高値1.2550ドル
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY為替見通しドル円 上値重い中での米経済イベントを確認
以上の観点から、上値の目途は前週半ばでもみ合った水準の151.50円、下値は10月3日の安値付近の147.30円を見込む。
投機筋の買いは、相場の下支え要因になり得る。しかし、現在の地合いの弱さを考えるならば、NY金が反発しても、上昇幅は限られる展開を想定したい。
2/17の8円29銭を高値に ①トランプ政権が南アへの資金援助を打ち切る中、ベッセント米財務長官が南アで2/26-27開催のG20財務相・中央銀行総裁会議を欠席するなど米国との関係悪化が懸念されていること ②日銀の追加利上げ観測を背景に円高が進行したこと ③2/20発表の12月小売売上高が11月から減少したこと ④3月の中銀政策委員会で追加利下げ観測が燻っていることなどを材料に2/20に8円10銭まで下落。さらに、2/21には8円22銭までの反発に留まり、複数の米経済指標の下振れを受けた対ドルで上昇した一方、ドル円の下落が上値抑制につながり8円11銭へ反落し8円15銭で取引を終えました。2/26-27発表の1月CPIやPPIを受けて3月の中銀政策委員会での追加利下げ観測を高める可能性のほか、2/28発表の1月貿易収支も中国経済の減速懸念を背景に11月をピークに前月に続き2ヵ月連続で伸び悩む可能性があること、さらに来週3/4発表の10-12月期GDPも低成長に留まると見られる中、トランプ政権による資金援助停止の影響が先行きの景気下振れ懸念を高めると思われます。そのため、3/20の中銀政策委員会では昨年9月以降、4会合連続の利下げは揺るがないと見込まれます。こうした中、日銀の追加利上げ観測を背景に円高が一段と進行すれば節目とされる8円00銭割れを目指して一段安となる下振れに注意が必要です。
・パウエルFRBが物価の動向を注視するなか、PCE価格指数でインフレの粘着性が示される場合は、米ドルの上昇要因となろう。米ドルの動きを意識しているNY金は、さらなる下値のトライを想定したい。
NY金のスポット価格(金価格)は昨日反発した。しかし上値は重い。今日の海外時間では、3つのレジスタンスラインで反落する展開を警戒したい。
とはいえ、パウエルFRB議長は11月FOMC後の記者会見で「利下げについて現時点で全く考えていない」と発言。それどころか、Fed高官を含め、利上げ余地を確保する見解が聞かれている。Fedの現状の政策姿勢を見る限り、早々に利下げ転換に踏み切るようには見えない。今後、米経済指標とFed高官の発言次第で、米金融政策の思惑が変化する余地は十分ある。しかし、今週はFed高官や米重要経済指標の発表が限られるだけに、米金融政策の思惑が大きく変化する可能性は低く、ドル円の上値は抑えられるのではないか。
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