執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年2月28日 14時55分
関税策の行方に二転三転、トランプ氏は議会演説に臨む
米ドル/円、149.50円中心に振幅
米ドル/円は、ウクライナ戦争を巡る協議や、カナダや・メキシコとの関税協議の結果が待たれる中で、為替市場はヘッドラインに反応しながらも様子見ムードの強い展開になりました。三村財務官が「最近の円相場の動き、国内データとの間に乖離は見られない」と述べ日銀の追加利上げ期待を強めた一方、トランプ減税を推進する予算決議案が下院で可決され、減税への期待感が投資家心理を支え円の上値を重くする場面もありました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
関税目標はあくまでも国・地域
来週は米国でISM製造業・非製造業景況指数、雇用統計と主要な経済指標の発表が並んでいるものの、やっぱりトランプ関税やウクライナ戦争停戦に向けた協議の行方次第と言えそうです。トランプ米大統領の関税策については、米国の主な輸入先の上位である、メキシコ、中国、カナダ、ドイツをターゲットにしていることは間違いと思うのですが、不規則に特定品目への関税の話題も出されることから、どこへ向かうのか判然としません。個人的には、相互関税や一律関税は世界のサプライチェーンの混乱を招き世界経済への影響や米物価への影響も大きいと思われ、最終的には特定の品目に絞り特定の国・地域の二国間協議へ進むと見られ、金融市場でクラッシュが起こるような事態は回避されるのではないかと見ています。ただ、そこへ辿り着くまでに紆余曲折がありそうで、不安定な状況は続くと考えます。
※左:トランプ米大統領のこれまでの主な関税策、右:米国の主要輸入先-データ:Statista
実際に、3月4日へ延期されていた国境管理を巡るカナダ・メキシコに対する25%関税については、26日にトランプ大統領が4月2日へ発動時期を遅らせる考えを示しましたが、翌日には3月4日発動へ再修正しています。こんな具合ですので、直前になってやっぱり延期といった選択肢もありそうで、トランプ氏の言動への注目度は増しています。仮に、発動延期となれば、先ずは過度なリスクオフの巻き戻しで米ドル安・円安の反応になりそうですが、逆の場合は、米ドル高・円高の流れが強まりそうです。ウクライナ戦争においても同様の動きと考えます。とりあえず、関税策やウクライナ戦争関連で、進展があるかどうか見極めてから、ファンダメンタルズを確認する流れになりそうです。
ダブルトップ形成と見れば・・・(テクニカル分析)
米ドル/円は、昨年11月15日高値156.746円と年初の高値158.866円を頂点としたダブルトップを形成して下げ幅を広げる格好になっていると見れば、ネックラインから半分の距離だけ反対側に移動させたラインが目先の支持線となるのではないかと、考えています。そのラインが来週は147.00円前後を通過するため、同水準までの下落は想定されそうです。一方で、日足一目均衡表・基準線(152.564円、執筆時点)付近では頭が重くなるのではないかと、見ています。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:146.500-152.500
3/3 週のイベント:
一言コメント
サッカー「なでしこジャパン」がFIFAランク1位の米国に勝利。現在8位ですので、これで順位がまた上がるんでしょうね。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
来週の為替予想 米ドル 円
2028年11月のドル円見通し。当月始値 179.40、最低 177.26、当月最高 182.66。平均 179.82。月末 179.96。変更 0.3%。
円安の進行は輸出関連企業の収益改善につながり、特に自動車・電機・機械などの製造業では円換算での売上増加が期待される。一方で、輸入原材料に依存する製造業では、円安によるコスト上昇が収益を圧迫する可能性が高い。
2027年5月のドル円見通し。当月始値 155.89、最低 155.89、当月最高 162.98。平均 158.83。月末 160.57。変更 3.0%。
2028年8月のドル円予想。当月始値 174.15、最低 170.36、当月最高 175.54。平均 173.25。月末 172.95。変更 -0.7%。
2028年12月のドル円予想。当月始値 179.96、最低 174.95、当月最高 180.27。平均 178.20。月末 177.61。変更 -1.3%。
2028年1月のドル円見通し。当月始値 160.44、最低 160.44、当月最高 167.73。平均 163.47。月末 165.25。変更 3.0%。
2026年7月のドル円見通し。当月始値 148.58、最低 141.96、当月最高 148.58。平均 145.81。月末 144.12。変更 -3.0%。
2/17の96円86銭を高値に2/18の豪中銀政策理事会での利下げ観測を背景に96円21銭へ下落。ただ、利下げを決めたものの、中銀総裁は「利下げは難しい判断だった」、「一段の利下げはデータ次第」と述べたことから96円79銭へ反発。2/19も96円76銭を付ける場面が見られたものの、ウクライナ和平を巡る米露主導の停戦交渉の先行き不透明感を背景にユーロ円が下落したほか、日銀の追加利上げ観測を背景に円高進行とともに96円00銭へ下落。また、2/21の1月雇用統計で失業率が悪化した一方、就業者数はフルタイムの改善とともに市場予想を上回ったものの、豪中銀の追加利下げ観測を否定するには至らず95円33銭へ下落。その後、2/21には植田日銀総裁が本邦長期債利回りの上昇を牽制したドル円の反発とともにも96円49銭へ切り返したものの、複数の米経済指標の下振れを受けてNYダウやナスダックの大幅安を受けたリスク回避の円買いとともに94円65銭へ下落し94円93銭で終えました。今週は、①日銀の追加利上げ観測を背景にしたドル円の円高進行がどこまで進むか、②ウクライナ和平を巡る米露主導の停戦交渉の先行き不透明感の一方、2/23のドイツ総選挙後の連立政権の枠組みとともにドイツ経済の回復期待が高まるかなど、ユーロ円が上下いずれに振れるか、③2/26発表の豪1月CPIの結果次第では豪中銀の年内3回の利下げ観測につながるか、これらを背景に日足・基準線や転換線(96円50銭/96円06銭)を上値抵抗線として2/10の94円24銭を下抜ければ昨年9/11の93円60銭を目指して一段安となるか下振れに注意が必要です。
2028年5月のドル円見通し。当月始値 171.61、最低 168.84、当月最高 173.98。平均 171.46。月末 171.41。変更 -0.1%。
本レポートでは、最新のAI技術を活用し、トランプ政権下でのドル円相場の行方を分析する。具体的には、経済指標、金融政策、地政学的リスクなど、様々な要因を考慮しながら、複数のシナリオにもとづきドル円相場を予測する。そしてこの分析を通じて、今後の為替動向に対する新たな知見を得ることを試みる。
政治情勢が安定している政府は、多くの投資家を惹きつけるため、その国の通貨は強くなります。米国と日本は、どちらも政治的に安定しています。両国にみられる僅かな為替レート変動の違いは、経済の安定性に関係しています。世界の貿易 は米ドルで取引されており、これが米ドルが日本円よりも優位となる要因です。
2027年11月のドル円見通し。当月始値 158.69、最低 158.69、当月最高 165.90。平均 161.68。月末 163.45。変更 3.0%。
2026年10月のドル円予想。当月始値 142.96、最低 142.96、当月最高 148.94。平均 145.40。月末 146.74。変更 2.6%。
2027年2月のドル円予想。当月始値 152.43、最低 152.43、当月最高 158.14。平均 154.70。月末 155.80。変更 2.2%。
まず、トランプ氏の経済政策に関する主要な発言を分析し、その政策方針を明確化する。次に、これらの政策が実行された場合の「想定内シナリオ」におけるドル円相場への影響を、金融政策、財政政策、通商政策の観点から分析する。続いて、予期せぬ事態が発生した場合の「想定外シナリオ」について、地政学的リスクや国際金融市場の急激な変動などを考慮した分析を行う。最後に、各シナリオの発生確率をAIモデルによって算出し、より現実的な予測の提示を目指す。なお、本分析ではLLMの特性を活かし、膨大な過去データと最新の市場動向を組み合わせることで、より精度の高い予測の実現を図っている。
コメント