ドル円午前の為替予想、米相互関税は予想以上 リスク回の円買いが強まる 2025/4/3

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ドル円午前の為替予想、米相互関税は予想以上 リスク回の円買いが強まる 2025/4/3

午前の為替予想は… 米相互関税は予想以上 リスク回の円買いが強まる

作成日時 :2025年4月3日7時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉

ドル円予想レンジ

147.300-149.300円

前日の振り返りとドル円予想

昨日のドル/円は終値ベースで約0.2%下落。市場が注目していた米国の相互関税については、日本には24%、ユーロ圏に20%などと、主要国に対して予想以上に高い関税が適用されることになった。これを受けて150円台に上昇する場面もあったが、日経平均先物やNYダウ平均先物が急落すると一転して149円台前半へと下落した。
米国の相互関税は市場の予想より厳しい内容だったことから、リスク回避の円買いにつながりやすい。また、関税は米国のインフレ高止まりや景気悪化につながるとの見方もあり、これもドル売り・円買い要因となろう。目先の下値目途は週足・一目均衡表雲下限の通る147.67円前後となりそうだが、ここを下抜けた場合には3月11日安値の146.55円前後を目指す展開も考えられる。米国の相互関税に対する各国の対応にも注目したい。材料面では、米新規失業保険申請件数や、米3月ISM非製造業景況指数が発表される。

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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。

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ドル円午前の為替予想 米相互関税は予想以上 リスク回の円買いが強まる

3日の円相場は海外市場で一時2.7%上昇して145円20銭と昨年10月2日以来の高値を付けた。米相互関税で円買いが強まった東京市場の流れが続く中、米経済指標が予想を下回り円買い・ドル売りが加速した。ラトニック米商務長官が「ドルが安くなれば輸出は容易になる」と発言したことが影響し、ブルームバーグ・ドルスポット指数は1.5%下落。米10年国債利回りは一時昨年10月以来の4%割れとなった。

このように投機筋が大きく米ドル売り・円買いに傾斜し、さらなる米ドル売り・円買いに動きにくかったことが、日米金利差縮小の割に米ドル安・円高の反応が鈍かった一因ではないか。

金利差変化に最も敏感に反応するのは短期売買を行う投機筋と見られるが、その投機筋のポジションは大きく米ドル売り・円買いに傾斜していた可能性があったようだ。代表的な投機筋であるヘッジファンドの取引を反映するCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは買い越し(米ドル売り越し)が一時13万枚と過去最高を大きく更新するものとなった(図表2参照)。

以上のように見ると、今回の「世界貿易戦争」は、2018年を中心に展開した米中貿易戦争より米経済への悪影響が大きいと考えられる。それが米国株安の拡大、米金利の一段の低下と事態を起こすようなら、米ドル安・円高も一段と広がる可能性が高いのではないか。

昨日のドル/円は終値ベースではほぼ横ばい。東京時間にはトランプ関税への懸念から日経平均株価が1500円超安と今年最大の下げを記録したことを背景に、一時148.70円前後まで下落した。欧州時間以降は米長期金利やダウ平均株価が下げ幅を縮小し上昇に転じたことで、徐々に円売り圧力が強まると150.27円前後まで上値を拡大する場面も見られた。本日は米3月ISM製造業景況指数や米2月JOLTS求人件数が発表される。米経済にスタグフレーション懸念が台頭しており、市場の心理が弱気に傾きがちのため、弱い結果には反応しやすいと考えられる。ただ、明日2日には米国の相互関税発表が控えている。関税の範囲や内容が依然として不透明なことから、ドル/円は方向感がつかみづらい。本日も関税に関するトランプ米大統領の発言には注意が必要だろう。

米ドル/円は3月に146円台まで下落したが、これは基本的に日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小に沿ったものだった。その後、一時151円まで反発したが、この動きは日米金利差からのかい離が目立つものだった(図表1参照)。その意味では、今回の「関税ショック」を受けた米ドル/円の急落は、基本的には金利差からのかい離を修正するものだったとも言えそうだ。

代表的なリスクとは、過剰なポジション・テークだろう。このためリスクオフとは、過剰なポジションの見直しが基本と考えられる。よく「リスクオフは安全資産の円買い」という解説を聞くが、これは低金利の円の場合、売りポジションになっているケースが多く、リスクオフでは円の買い戻しが広がりやすいことが一因と考えられる。

以上のようなポジションの要因は、この先意外に円高が抑制される可能性があるという意味になる。ただ「関税ショック」自体の米経済に与える影響を考えた場合、それはトランプ政権1期目の米中貿易戦争を上回る懸念の強いものと考えられるため、米経済の悪化、米金利の低下を通じ、さらなる米ドル安・円高をもたらす可能性が高いのではないか。

4日の市場では、日本時間夜以降に発表される3月の米雇用統計やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が注目される。三井住友信託銀の山本氏は、「雇用統計が予想より悪かった場合の市場のショックは大きく、リスクオフ相場に追い打ちをかける可能性もある」と警戒する。

3日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時、1ドル=147円台に上昇した。147円台をつけるのは3月中旬以来。日本時間同日早朝にトランプ米大統領が輸入品に対してかける相互関税の詳細を公表。国ごとの関税率が想定より高かったとの見方から、世界経済への減速懸念が強まり、ドルを売って相対的に低リスクとされる円を買う動きが広がっている。

それにしてもなぜ、「関税ショック」前の米ドル/円は金利差からかい離する形での反発となっていたのか。

米リッチモンド連銀のバーキン総裁は「連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを再開する前に、インフレが鈍化する確信を得る必要がある」との認識を示した。また、NY連銀のウィリアムズ総裁はインフレ見通しについて「今後実施される可能性がある関税などの政策に大きく左右され得る上振れリスクがあることは確かだ」と述べた。

もっとも、それ以降の米国の経済指標が底堅かったことで151円台に戻している。今週は米国の3月雇用統計の発表がある。JOLTS(雇用動態調査)求人件数やADP雇用データは予想より良かった。雇用統計も強ければ一時的なドル買い戻しの調整が入る可能性があるだろう。

最悪のシナリオは、米景気悪化懸念が強まる→米株大幅安→世界株安連鎖→米長期金利低下→実際に景気悪化が進む→FRB(米連邦準備制度理事会)早期利下げ→ドル安の流れが想定されますが、その場合ドル/円も1ドル=140円を割れるシナリオも浮上してきそうです。

その観点からすると、足下は逆に円「買われ過ぎ」の可能性があるため、「リスクオフの円買い」拡大は限られるのではないか。そして株価の急落により損失が拡大したヘッジファンドなどにとっては、円買いポジションは1月以降の大幅な円高により大きな含み益になっている可能性があるため、株安が拡大した場合、その損失を埋めるべく円買いポジションの利益確定、つまり米ドル買い・円売りが増えるのではないか。

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