工場に年30万人 SHIROなぜ人気
このエリアの壁は、一面が黒板仕様になっています!チョーク(美唄産)も置いてあるため、子どももおとなも自由に“落書き”をすることができるんだとか。おとなたちが働く工場の壁に“落書き”をしても、「コラッ!」と怒られることがないなんて……きっとキッズたちにとってはたまりませんね。
「砂川パークホテル」での仕掛けも、この地域にとって新たな動きになるはずです。1986年に市民有志がお金を出し合ってつくったこのホテルは、地域のシンボルとして親しまれてきたものの、業績不振や老朽化で存続が危ぶまれていました。そうした状況の中で譲渡の話をいただき、地域のためにホテルを残したいという想いから譲り受けることにしました。リノベーション後、2026年秋にオープン予定で、新たに温浴施設とSHIROのアウトレットをつくります。SHIROはこれまで値引きは一切していませんでしたが、資材に傷が入るなど軽微な不良品が工場ではどうしても出てきます。そうした製品を扱うショップを、収益の柱にしたいと考えています。また、ホテルに隣接してサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を新築します。僕もそろそろ “終の棲家”について考えるようになり、自分たちが年老いた時に本当に住みたいと思える施設をつくろうと思いました。化粧品のプロダクトも、自分たちが使いたいと思っているものをプロダクトアウトしているわけですから、サ高住も同じ発想です。ホテルとサ高住を合わせて、投資額は27億円程度になる予定です。でも、それを回収しようとは考えていません。SHIROとして利益をきちんと出し、それを僕らは投資して、地域にお金が回るようにすることが大切だと思うからです。もちろん、赤字では続きませんので、日々の利益を生む仕組みはつくります。
武田:多比良さんとお会いしたときに、砂川市の人口が現在約1万6000人(2023年当時)のところ、AIで見ると50年後には約1万人を切るという数字が出ていることを知りました。そのような砂川市の現状に対してSHIROができることとして、この工場をただ単に製造工場として建設するのではなく、人が集う場にしていきたいと考えました。
「以前、砂川の中心部にあったSHIRO CAFÉ(4月にこちらの工場に移転)も、ありがたいことに好評だったんです。でも、 “カフェ、おしゃれなんだけど、普段着だと行きにくい” とか “敷居が高い” という声も、プロジェクトで知り合った市民の方々からは頂いて。これが結構、ショックでしたね」と、笹木さん。
そして注目すべきは、こちら。 工場で働く人のようすが、“透け透け”で丸見えなのです!
最後に「“みんなの工場”ができたことは、ゴールじゃない。これから“みんな”で拠点にしていく場所なんです」と笹木さん。終始、真剣なまなざしでお話している姿がとても印象的でした。
次に注目したのは、工場スペースと隣接しているこちらのエリア。
笹木:今回のプロジェクトで「みんなの工場」ができましたが、これで終わりではないと思っています。この先10年、20年と、施設を通して市民の皆さまが自分たちのまちと関わり続けていける場所にしていきたいです。子どもも大人も、遊ぶ人も、働く人も、動物も植物も、そしてお客さまも、みんなが共存し、考え、未来に循環していける施設になれば。これからもみんなでまちづくりをしていけたらと思っています。
いまや世界に29店舗を展開し、人気ブランドとなったSHIROですが、実は、創業の地は砂川。 今回、SHIROが砂川にオープンする“みんなの工場”には、ショップやカフェ、キッズスペースなども併設されているということ。これは砂川出身の筆者にとっても期待大! さっそく見学に行き、写真をいっぱい撮ってきましたので、レポートしたいと思います。
それにしても、どうして工場スペースの真横にキッズスペースをつくったのでしょう? 工場案内スタッフの笹木舞子さんに質問してみたところ、次のような回答が。
②次に、好きな香りを選びます。SHIROの定番フラグランスとして人気の「サボン」、「ホワイトリリー」、「ホワイトティー」などの人気のラインナップはもちろん、過去の限定品などからも、好きな香りを自由にブレンドすることができます。
(左)写真右手に見えるのが、笹木さんお気に入りの施設内中心にある大テーブル。働いている人が休憩中に腰を掛け、“お客さまと会話が広がったら”というイメージでつくられたコミュニティスペース。 (右)ちなみに私のお気に入りの場所はトイレの看板。SHIROのハンドソープのボトルに手足が付いているデザインがかわいく、一つひとつこだわりをもって丁寧につくられているのが伝わってくる。
コスメティックブランド「SHIRO」は、「自分たちが毎日使いたいものをつくる」という想いのもとで生まれました。製品の企画開発から製造、販売までを自社で行い、ブランドの世界観を体感していただけるカフェやホテルの運営なども手がけています。SHIROの製品の生産能力を上げるため、創業の地・砂川市に新工場「みんなの工場」を建設しました。SHIROのものづくりをすべてご覧いただくことができ、ショップ、カフェ、キッズスペース、ラウンジなどを併設した人と環境に配慮した循環型の施設です。2023年4月のオープンから1年で、お越しいただいたお客さまは約30万人。砂川市の人口は約1万5,000人ですから、すごい人数だと思っています。ただ、2年目は来場者数が下がっているので、課題はあります。この施設へ来る理由は、ここでしか買えないものと、ここでしかできない体験があるから。そこが進化しているかというと、小さな粒感ではファッションショーを行ったり、ワークショップを増やしたりしていますが、お客さまに来ていただく強いきっかけにはなっていないのです。お客さまの約4分の1は道外から来ていただいています。道外、道内各地から、何度も来たいと思っていただける動機づけを、テーマパークのようにアップデートしながら考えているところです。
自然に囲まれながら働くシロの社員の姿をぜひ、みんなの工場へ見に来てください。きっとその魅力が文面以上に伝わるはずです!
武田:SHIROのメンバーだけでは思いつかなかったようなアイデアに何度も助けられました。みんなの工場に携わる人が増える分だけ、企業自体もどんどん成長していくのだなと思います。


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