
本日のロンドン為替市場では、トランプ関税やロシアに関連した報道に注意しながら欧州の経済指標を確認し、欧州午後(ニューヨーク序盤)に発表される6月米消費者物価指数(CPI)の発表を待つことになる。
昨日のユーロドルは1.16ドル後半を中心に上下した。ユーロポンドやユーロ円の上昇が支えとなったものの、週末にトランプ米大統領が表明した「8月1日から欧州連合(EU)製品に30%関税を賦課する」がやはりユーロの上値を圧迫したようだ。トランプ大統領はEUとの関税交渉に応じる意向を示しているものの、貿易を巡る米EU間の溝が埋まるかは不透明だ。なお米WSJ紙によれば、EUは米国製品への報復関税案を準備しているもよう。
一方、ロシアに対してトランプ米大統領が強硬な姿勢に出たことで、安全保障の面では欧米が歩調を合わせたと言える。米大統領は昨日、停戦合意にロシアが50日以内に応じないようならば100%の2次関税を導入すると表明。また、ウクライナへの追加の兵器供給も明らかにした。ただ、プーチン露大統領が簡単に言いなりになるとも思えず、地政学リスクが一層高まる可能性もある。そうなってしまうと、ユーロの上値は追いづらいかもしれない。
経済指標では、7月独ZEW景況感指数に注目か。市場予想は50.4と前回から3ポイント近い上昇。過去2回連続で予想から上振れており、3月に記録した約3年ぶりの高い水準51.6に迫るかもしれない。ほか、同じ時間に7月ユーロ圏ZEW景況感指数と5月ユーロ圏鉱工業生産も発表予定。
なお週明けのポンド相場は、先週からの地合いの弱さを持ち越した。ポンドドルは1.3424ドルまで下落し、戻り鈍いまま日足一目均衡表・雲の中で引けている。ユーロポンドも0.8693ポンドと、約3カ月ぶりの水準までユーロ高ポンド安が進んだ。
ポンドは先週、英財政赤字の拡大懸念が重しとなるなか、週末発表の5月英国内総生産(GDP)などが弱かったことで売り圧力が強まった。ポンドにとってポジティブな材料が見当たらないなか、本日も下値余地を探ることになるか。
想定レンジ
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.1731ドル
・ポンドドル、14日高値1.3504ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・基準線1.1601ドル
・ポンドドル、90日移動平均線1.3320ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し ロンドン為替見通しユーロドル 関税や露関連の報道に注意
トランプ米政権発足が20日に迫るなか、今週も関税政策に関する報道がドルや米金利相場を動意づかせた。6日には米ワシントン・ポスト紙が「次期政権は、インフレを再燃させる懸念もあるため、関税引き上げの対象を、国家安全保障などに影響する重要分野に限定する計画を検討」と報じたためドルが下落したが、トランプ氏がすぐにこの報道を否定。8日には「同盟国にも敵対する国にも一律に関税を課すために、国際緊急経済権限法=IEEPAを使うことを検討」と伝わったため、米10年債利回りは一時4.72%台と昨年4月以来の高水準を付けた。ただ、IEEPAに関しては政権移行チームの間でもさまざまな手段が模索されており、最終決定ではないとされている。引き続きトランプ関税を巡る思惑がドル相場を左右するだろう。
ドル円は下値が堅い。第2次トランプ米政権の関税政策を巡る報道を受けて週明けには一時156.24円まで急落したが、トランプ氏が報道否定すると反発。米長期金利の上昇も支えに8日には一時158.55円と昨年7月17日以来の高値を付けた。
また、来週は14日に12月卸売物価指数(PPI)、15日に12月消費者物価指数(CPI)、16日に12月小売売上高、17日に12月鉱工業生産など重要指標が目白押しとなっている。トランプ政権による関税政策によりインフレが続くとの警戒感は根強いほか、米連邦準備理事会(FRB)高官からも利下げに慎重な発言が相次ぐなか、強い指標結果に対する反応が大きくなりそうだ。現時点で、今年の米利下げ回数は1-2回に留まるとの見方だが、引き締め政策へ転換する可能性も考慮しておきたい。


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