住宅ローン固定型にシフトか 調査
変動型の金利は、多くは半年ごとに見直されます。短プラが上がれば連動して適用金利も上がり、住宅ローンを借りている人にとっては利息の支払い負担が増すことになります。
日本国債10年物金利は、長期金利の代表的な指標であり、債券市場における将来の金利動向や物価動向に対する投資家の予想が反映されます。好景気や物価の上昇などで市場金利が上昇すれば、全期間固定型住宅ローンの新規借入金利も上昇する傾向があります。
日銀の金融緩和政策により低金利を維持していた住宅ローンは目下、長期金利の上昇を受け、固定型の住宅ローンを中心に金利が上昇傾向です。住宅ローンの金利は、固定型は長期金利に、変動型は短期金利に連動しやすく、長期金利だけが上昇すると、固定型と変動型の金利差が開くこととなります。
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)宅地建物取引士・産業カウンセラー・自分予算®プランナー大石 泉氏(株)リクルートにて週刊住宅情報(現SUUMO)の編集・制作に約15年携わった後、2001年にFP事務所を設立。「住まい、キャリア、マネー」の3つの柱で個人の豊かな暮らしをサポートする。
無担保コール翌日物金利は、政策金利として日銀の金融政策によりコントロールされており、結果的に変動型住宅ローン金利も金融政策の影響を受けて変動します。市場金利に変動があっても、金融政策(政策金利)に変更がなければ、基本的に変動型住宅ローンの金利は変動しません。
半年ごとに金利が見直されるタイプで、市場金利の変動に応じて返済額が増えたり減ったりするローンです。住宅金融支援機構の2021年(令和3年)10月の調査によると67.4%が変動型を選んでおり、 現在主流の金利タイプです。
金利スワップレートは長期金利と似た動きをするため、長期金利(日本国債10年物金利)が上昇すれば金利スワップレートも上昇し、これに伴って固定金利期間選択型住宅ローンの借入金利も上昇する傾向があります。
足元では日銀が追加利上げに動くとの見方が強まっています。住宅ローン金利への影響はどうなるのか気になるところです。
住宅ローン金利では、固定される期間が長いほど金利水準は高くなる傾向です。現在、低めに抑えられている変動金利が上昇する時、固定金利も同様に上昇していることが想定されます。
「住宅ローン利用者の実態調査(2020年11月調査)」によると、住宅ローン利用者のうち固定期間選択型を選んだ人の割合は24.5%。そのうち固定期間10年超を選んだ人が48.0%と最も多く、10年が28.9%、5年が10.4%と続いています。
住宅ローンを契約している金融機関で手続きすれば、変動型から固定期間選択型、あるいは固定期間選択型から変動型へ、金利タイプを変更できます(全期間固定型の金利タイプ変更、固定金利期間中の固定期間選択型から変動型への変更はできません)。
住宅ローンの金利タイプには、固定金利型と変動金利型があります。固定金利型は、当初の金利が返済終了まで固定されるタイプで、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供している「フラット35」は、「全期間固定金利型」の代表です。一方の変動金利型は、世の中の金利情勢に応じて返済中の金利が変動します。変動型には「変動金利型」と、「10年固定型」など、金利が一定期間固定される「固定金利期間選択型」があります。自分と家族に最適な金利タイプを選択するためには、それぞれの特徴を知ることが肝心です。
固定金利期間選択型住宅ローンの借入金利は、各固定金利期間に応じた「円金利スワップレート」が基準となっています。円金利スワップレートとは、固定金利と変動金利を交換する「金利スワップ」という取引において、短期金利に上乗せされる金利レートのことです。この上乗せ分の金利は、いわば固定金利期間中の金利変動リスクを回避するための「保険料」のようなものです。
「今後1年間の住宅ローンの金利見通し」の質問項目に対し、全期間固定型の利用者では、57.4%が「現在よりも上昇する」と回答。一方の変動型利用者では、「上昇する」が39.3%。そして、50.4%が「ほとんど変わらない」と回答しています。調査時から現在まで、固定金利は上昇傾向、変動金利は変わらずのトレンドです。とは言え、このまま同じトレンドが継続するかは、先に述べた日銀の金融政策変更もあって未知数です。
金利の動きは予測不可能ですが、○%上昇したら毎月返済額は○○円。1.25倍だったら○○円。などと当初に試算し、目安を持っておくことが大切です。「金利が2%上昇したら家計収支が赤字になる」と思えるだけで安心ですし、「金利が2%上昇したら家計が収支が赤字になる」とわかっていれば、金利の上昇幅が2%になる前に、住宅ローンの見直しに着手することも可能です。


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