
本日のロンドン為替市場では、昨日軟調に推移した欧州株の動向を見定めながら、ユーロ相場の地合いを探ることになりそうだ。欧州発の重要な経済指標は予定されておらず、ただ本日までスウェーデン・ストックホルムで行われる閣僚級の米中・貿易協議に関した報道には注意を払いたい。
昨日はドイツDAXが約1%安で引けるなど、欧州主要株は総じて売りが優勢だった。欧州連合(EU)と米国が貿易協定で合意したものの、双方の言い分に違いが見受けられたこと。またEU輸入品に対する米国の関税は15%とされ、確かに当初の30%よりは下げられたものの、実際の税率の高さが徐々に嫌気されたようだ。
オセアニア市場でユーロ買いが先行した為替市場も、欧州勢の参入後からは売り戻しが強まった。ユーロドルは高値からの下落幅を200ポイント近くまで広げ、ユーロポンドも年初来高値を更新したところから約100ポイントの大幅反落。ユーロ円が174円台目前から172円手前まで失速し、ユーロスイスフランも200日移動平均線に届かずに0.93フラン近辺まで緩んでいる。
大きく売られたものの、ユーロポンドやユーロ円は調整の範囲内とも考えられる。ただ一方、ユーロドルはダブルトップを形成しつつあり、ユーロスイスフランも主要な移動平均線や日足一目均衡表の水準も下抜けている。ユーロが、対ドルやスイスフランで売り圧力を増すのかに注視したい。
昨日(1日目)の米中閣僚級協議は、現地時間20時に終了したもよう。一部関税の停止期限が約2週間後に迫るなか、香港メディアが報じていたように90日間の停止延長案が認められるかが焦点の1つ。また、米側が中国に求めるとされる「ロシアやイランから原油購入を控える」ことについて、中国側がどのような反応を示すかにも注意が必要だろう。
想定レンジ上限
・ユーロドル、日足一目均衡表・基準線1.1693ドル
・ユーロスイスフラン、200日移動平均線0.9388フラン
想定レンジ加減
・ユーロドル、日足一目均衡表・雲の上限1.1485ドル
・ユーロスイスフラン、4月11日安値0.9222フラン
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し ロンドン為替見通し欧州株動向を見定めながらユーロ相場の地合いを探る
ユーロ円相場がユーロ高に振れている。ユーロ円相場は日本時間10日の取引で一時、1ユーロ165.45円をつけ、7か月ぶりのユーロ高水準を更新。欧州中央銀行(ECB)の利下げサイクルの終了が見込まれる中、ユーロが買われやすくなっている形だ。また、アメリカと中国の経済協議の進展への期待を背景にして、円が売られていることもユーロ円相場でのユーロ高に影響している。ただ、ECBの利下げ打ち止め観測を材料視したユーロ高には一服感もあり、ユーロ高が勢いづいているわけではない。ユーロ円相場の今後の見通しをめぐっては、16、17日に金融政策決定会合を開く日本銀行の利上げをめぐる思惑に左右される場面が出てきそうだ。
足元のユーロ高のきっかけは、ECBが5日開いた理事会だ。ECBはこの理事会で、政策金利の下限にあたる中銀預金金利を0.25%引き下げ、2.00%に設定。一方、経済見通しでは物価上昇率について、2025年は前年比2.0%、2026年は1.6%、2027年は2.0%との見通しを示し、物価上昇鎮静化に自信を示した。3日に発表されたユーロ圏の5月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数が前年同月比1.9%で、ブルームバーグがまとめた市場予想の2.0%を下回る結果。食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数は2.3%で、やはり市場予想(2.5%)よりも低い物価上昇率となっていた。
こうした中、ユーロ円相場の今後の見通しは、日銀の金融政策をめぐる思惑に左右される度合いが大きくなりそうだ。金融市場では日銀が17日までの決定会合で政策金利を据え置くことが確実視されているが、物価上昇の根強さを背景にして7月以降の利上げの可能性が高いといった観測が広がる可能性もある。この場合はドル円相場で円高が進むことが考えられ、ユーロ円相場でのユーロ安として現れる展開も想定されそうだ。


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