
ドル円は、米雇用指標が市場予想を上振れれば、3月後半以来となる151円を狙いに行く展開になるか。また、雇用統計が仮に市場予想よりも弱い結果となった場合でも、買い場を探す動きになりそうだ。
昨日発表された6月の米個人消費支出(PCE)デフレーター、およびコアデフレーターは前年比で市場予想を上回った。6月米消費者物価指数(CPI)も前年比でヘッドラインとコア指数が前月よりも上振れるなど、調査対象やカバレッジも異なる両インフレ指標が立て続けに上昇基調をたどっていることが確認された。トランプ米大統領が利下げの圧力をかけているが、米連邦準備理事会(FRB)が中長期の目標とする2%のインフレから上方向に離れつつあることで、米国の早期利下げ観測が急速に後退している。次期利下げ予想が9月から10月へと後退しているが、10月の利下げ予想も6割程度しかなく、更に後ろにずれる可能性もあり、ドルの買い意欲が引きそうもない。
FRBの2つの責務のうちで、1つ目の物価の安定で利下げ予想が後退する中で、もう1つの責務である雇用の最大化を判断するために、本日は7月の雇用統計の結果が注目される。市場では失業率が前月の4.1%から4.2%へと悪化、非農業部門雇用者数も前月比+10.4万人で、6月の同比+14.7万人から悪化する予想になっている。市場が前月よりも低調な予想に傾いていることで、逆に前月と同程度の結果になった場合はポジティブサプライズになり、ドル買いが一気に進みそうだ。一方で、予想を下振れた場合でも、米国のインフレが高止まりしているだけでなく、日銀の利上げ観測の後退や、植田日銀総裁が現行水準の円安を警戒していないこともあり、ドル買いだけではなく円売り意欲も強く、ドル円を買い遅れている市場参加者が買い場を探してくることが予想され、下げ幅は限られそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、3月28日高値151.21円。その上は2月19日高値152.31円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、昨日150円乗せ後の下押し水準149.82円。割り込むと200日移動平均線149.59円。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ


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