
週明け4日の香港市場は続落して始まるか。米国と中国の景気減速を警戒する売りが先行しそうだ。1日発表された7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回る伸びにとどまったほか、6月分と5月分も大幅に下方修正された。一方、中国国家統計局とS&Pグローバルが前週後半にそれぞれ発表した7月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が、ともに市場予想を下回り、景況感の分かれ目となる50を下回った。
決算や業績見通しを手掛かりとする個別銘柄の物色が引き続き活発だろう。ハンセン指数構成銘柄の信義ガラス(00868)と信義光能(00968)が前週末に発表した2025年6月中間決算で、ともに純利益が市場予想から下振れした。きょうは中電控股(00002)が同期の業績を発表する。
1日のNY株式相場はダウ平均が5日続落し、ハイテク株主体のナスダック総合は続落した。弱い利益見通しを発表したアマゾンが大きく下落し、そのほかのハイテク株も利益確定売りに押された。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は、中国ネット通販大手のアリババ集団(09988)と新エネルギー車メーカーのBYD(01211)が香港終値を下回った半面、英金融大手のHSBC(00005)が上回って終えた。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 4日香港株続落して始まるか 米中の景気減速を警戒
15日の中国・上海株式市場は続落した。上海総合指数の終値は前日比13.8950pt(0.37%)安の3,647.6303ptだった。中国国家統計局が発表した11月の経済指標で、小売売上高の前年比伸び率が低下し市場予想も下回った。新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動への悪影響を懸念する売りが出て、指数は午後に下げ幅を拡大した。米国が中国のドローンメーカーやバイオ企業などに制裁対象を広げる見通しと伝わり、米中対立への警戒感も意識された。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆1360億元。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで7億5200万元の買い越しだった。個別では、海爾智家(ハイアール・スマート・ホーム、600690)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、国電南瑞科技(ナリ・テクノロジー、600406)などが売り越しとなった。
15日の香港株式市場でハンセン指数は4日続落した。終値は前日比215.19pt(0.91%)安の23,420.76ptと、6日に付けた年初来安値(23,349.38pt)に接近した。米国が中国のドローンメーカーやバイオ企業などに制裁対象を広げる見通しと伝わり、米中対立懸念が強まった。15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控え様子見気分も強まり、ハンセン指数は午後に下げに転じた。中国バイオの薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス、02269)が同19%安となるなど中国の医薬品株が午後に急落した。午前発表の中国の11月の主要経済指標の多くで前月から伸びが鈍化したのも地合いを冷やした。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は4日続落し、同1.51%安の5,795.44ptと安値に近づいた。中国スマートフォンの小米(シャオミ、01810)が連日で年初来安値を更新した。反面、米長期金利の上昇が預貸利ざやの改善期待を誘い、金融株の一部は堅調だった。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1277億香港ドルと前日(1199億香港ドル)からやや増えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで34億7600万香港ドルの買い越しだった。
●欧州では、ECBによる利下げが見込まれますが、財政拡張へ政策転換した効果が経済を下支えし、長期金利はレンジ内の推移となる見通しです。
意外に強い米経済の成長率も2025年後半には前年比2%を下回るとみています。マイナス成長になるとハードランディング(景気後退)ですが、このところの経済状態を見る限り、悪く予想する理由は見当たりません。コロナ禍対応の財政出動や経済活動の正常化に伴う高成長がスピードダウンする、ソフトランディング(軟着陸)で切り抜けられる見通しです。
●日銀は、24年度の政策金利の引き上げを2回とも実質GDP見通しの引き下げと同時に行っています。景気の減速は金利政策にあまり影響しないようです。3月の全国消費者物価指数(除く生鮮食品・エネルギー)は2.9%上昇でしたが、利上げの可能性は低くなっているようです。
●米ファクトセット(FactSet)によれば、日米の企業業績の見通しは堅調です。4月末の米S&P500種指数の予想1株当たり純利益(EPS)は前年同月比+9.0%、TOPIXの予想EPSは同+12.1%となりました。ただし、足元のガイダンス撤回や業績下方修正はまだ反映されていません。
4/23(水)午前の東京株式市場では、日経平均が3営業日ぶりに反発し、一時4/3(木)以来の35,000円を回復しました。ベッセント米財務長官が米中貿易摩擦に楽観的な見通しを述べたことを好感し、米国株が上昇した流れを引き継ぎました。
●日本株式市場では、トランプ関税の不透明感が強く、円高への警戒感もあるため、神経質な展開が続く見込みです。株価純資産倍率(PBR)の水準は既に低水準で、日本企業の新年度の業績見通しが悪いことは株価に織り込まれたようです。日本企業のガバナンスは改善しており、決算発表と同時に自社株買いなど株主還元の強化の発表も有りそうです。米国の関税政策の不透明感が和らげば、株価は回復に向かうと予想します。
●日銀は、米国関税引き上げの影響による景気後退の回避が確認できれば、金融政策正常化を継続し、25年10月に利上げを行う見通しです。


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