
今晩は堅調か。昨日は前週に大きく下落した反動や、先行きの利下げ見通しなどが支援となり主要3指数がそろって反発。ダウ平均が585.06ドル高(+1.34%)と6営業日ぶりに反発し、S&P500も1.47%高と5営業日ぶりに反発。ナスダック総合は1.95%高と3営業日ぶりに大幅反発した。センチメントは改善し、投資家の不安心理を示すVIX指数は先週末の20.38ポイントから17.52ポイントに低下した。引け後の動きでは予想を上回る決算や通期見通しの引き上げを発表したパランティア・テクノロジーズが時間外で4%超上昇した。
今晩は堅調か。中国などとの関税問題の不透明感があるものの、先週の米7月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を下回り、過去2カ月分も大幅に下方修正されたことで9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ期待が高まっていることや、VIX指数が大幅に低下するなどセンチメントが改善していることに加え、AI需要の高まりを背景にパランティア・テクノロジーズが予想を上回る決算や通期見通しの引き上げを発表し、時間外で大幅高となったことも追い風となりそうだ。経済指標では7月S&Pグローバル・サービス業PMI確定値、7月ISM非製造業PMIが発表され、非製造業の景況感にも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは6月貿易収支、7月S&Pサービス業PMI確定値、7月ISM非製造業PMIなど。企業決算は寄り前にキャタピラー、ヤム・ブランズ、ファイザー、マラソンペトロリアム、引け後にアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、アムジェン、スーパー・マイクロ・コンピューターなどが発表予定。(執筆:8月5日、14:00)
(金)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY株見通しー堅調か 経済指標は
●米国の25年の実質GDP成長率見通しを+1.7%、26年を+1.5%へ修正しました。4‐6月期は、相互関税導入前の駆け込み輸入の反動で輸入が減少する見込みで、GDP成長率の回復が予想されます。中国がレアアースの輸出を再開すれば、米国は対抗策の半導体設計ソフトやジェットエンジン部品等の輸出規制を緩めることで合意した模様で、生産の落ち込みによる7‐9月期の大幅な景気下振れは避けられそうです。関税上昇分は輸入元の値下げや米国企業の利益圧縮で吸収される部分を除くと、今後小売価格に転嫁される見込みですが、今のところ影響は軽微のようです。
●円の対米ドルレートは、やや弱い展開を予想します。FRBの利下げ観測と日銀の利上げ継続方針が米ドルの下落要因となるとみています。米国の財政政策に対する懸念から米ドルはピークアウトしたと見ています。ただし、中東情勢が悪化すると米ドルの下支え要因になることには留意が必要です。●円の対ユーロレートでは、ユーロが米ドル安となった際の受け皿になりやすいことに注目しています。EUとドイツが国防費を含む財政赤字に対する態度を変化させたことでユーロ圏の長期金利は高止まりする見通しです。ユーロの実質金利が高止まりすることから、円に対してもユーロ高を予想します。●円の対豪ドルレートは、一進一退の展開を予想します。豪ドルには米ドルからの資産分散需要がありますが、RBAの利下げが円高要因となりそうです。
●円の対米ドルレートは、もみ合いの展開を予想します。FRBの利下げ観測と日銀の利上げ継続方針が米ドルの下落要因となるとみています。米国の財政政策に対する懸念から米ドルはピークアウトしたと見ていますが、参院選の結果日本でも財政規律の低下が懸念され円安要因となっています。●円の対ユーロレートでは、ECBの利下げが一巡し、EUとドイツが国防費を含む財政赤字に対する態度を変化させたことでユーロ圏の長期金利は高止まりする見通しです。ユーロの実質金利が高止まりすることから、ドルに対しても、円に対してもユーロは高値圏でもみ合う展開を予想します。●円の対豪ドルレートは、豪ドルには米ドルからの資産分散需要や商品市況上昇などの上昇要因がありますが、RBAの利下げが円高要因となりそうです。
●欧州では、25年の実質GDP成長率見通しを+1.2%、26年を+1.2%としました。足元のデータが底堅いことから、25年の予想を上方修正しました。ただし、25年後半はトランプ関税導入に伴う輸出の減少により、成長率の減速は避けられないでしょう。欧州中央銀行(ECB)の利下げの累積効果、域内防衛費の拡大、EUの財政支出拡大、などにより26年には成長率は回復に転じると予想します。●日本の予想実質GDP成長率は、25年度+0.4%、26年度+0.7%で据え置きました。25年度は米国の関税措置のマイナス影響による日本経済の減速は避けられないでしょう。政府は電気、ガソリン補助金の再開などで景気の下支えを図っていますが、原油価格の上昇が懸念材料です。●中国は、25年+4.8%、26年+4.6%の経済成長見通しを維持します。①消費財買い替え促進制度、②国営企業を中心とする増産、③ハイテク関連投資の増加、という3つの政策で成長率の下支えする見込みです。ただ、需要不足で、消費者物価など物価の低迷が続く公算は大きいです。●豪州では、世界経済と政策の不確実性の高まりから、貿易相手国の経済成長率の低下に対する懸念が強まっています。オーストラリア準備銀行(RBA)は追加利下げを行い対応すると予想しています。
●米ファクトセット(FactSet)によれば、日米の企業業績の見通しは堅調です。6月末の米S&P500種指数の予想1株当たり純利益(EPS)は前年同月比+7.9%、TOPIXの予想EPSは同+5.4%となりました。TOPIXのEPSの下方修正が続いています。●米国株式市場では、AI投資の拡大予想を背景に、半導体関連株やソフトウェア株など大型テクノロジー株の株価が米国株の上昇を先導しました。NYダウは前月比+4.3%でしたが、ITセクターの構成比が大きいS&P500種指数は同+5.0%の上昇となりました。前月に続きNYダウの上昇率を上回り最高値を更新しました。また、ナスダック総合指数も最高値を更新しました。●日本株式市場では、①米国テクノロジー株の上昇に連動する形で半導体関連株、②世界的な軍備拡張を受け防衛関連株や造船株、などが上昇しました。日経平均株価は値がさハイテク株の株価の影響を大きく受けるため、TOPIXに比べ上昇率が大きくなりました。
●相互関税導入前後の駆け込み買いによる需要の先食いの反動や、企業が価格の引き上げを躊躇している、などの要因により米国の物価上昇率は今のところ懸念されていたより低くとどまっています。労働市場に弱いシグナルが現れているため、米連邦準備制度理事会(FRB)の一部のメンバーからは7月の利下げが可能ではないかとの意見が出ています。パウエル議長は、関税の物価への影響をまだ見極めきれていないと公聴会で証言しました。●ECBは6月の理事会で政策金利を2.00%に引き下げました。景気の下振れリスクが和らいだことや、軍事費など財政支出が増加する見通しであるため、さらなる利下げの是非についてECBの理事の指摘が活発に発信されています。●日銀は、6月の金融政策決定会合において、政策金利を据え置く一方で、26年4月より国債購入の減額幅を2,000億円に縮小することを決めました。
●米中が相互関税を引き下げたため、懸念されていた関税による米国経済の下振れ不安は和らいでいます。しかし、関税による物価上昇にはタイムラグがあると見られ、FRBも繰り返し経済指標の確認に時間をかける方針を表明しているため、利下げは25年10月、12月になると予想します。●中東危機がホルムズ海峡封鎖につながれば、LNGを中心とするエネルギー供給制約や物価上昇を通じた経済への影響が大きくなります。米国との関税交渉も続いています。ECBは情勢を見極めた後、9月に利下げを実施すると予想します。足元のユーロ高が物価抑制に貢献すると期待しています。●日銀は日本経済の腰折れを回避しつつ、金融の正常化を続ける見通しです。弊社は、次回の利上げ時期を26年4月とみています。
●円の対米ドルレートは、もみ合いの展開を予想します。FRBの利下げ観測と日銀の利上げ継続方針が米ドルの下落要因となるとみています。米国の財政政策に対する懸念から米ドルはピークアウトしたと見ていますが、参院選の結果、日本でも財政規律の低下が懸念され円安要因となっています。●円の対ユーロレートでは、ECBの利下げが一巡し、EUとドイツが国防費を含む財政赤字に対する態度を変化させたことでユーロ圏の長期金利は高止まりする見通しです。ユーロの実質金利が高止まりすることから、ドルに対しても、円に対してもユーロは高値圏でもみ合う展開を予想します。●円の対豪ドルレートは、豪ドルには米ドルからの資産分散需要や商品市況上昇などの上昇要因がありますが、RBAの利下げが円高要因となりそうです。


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