
12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、7月米消費者物価指数(CPI)が前年比で予想を下回り、米労働省労働統計局(BLS)の次期局長に指名されたアントニー氏が「月次の雇用統計の公表停止を提案した」こと、トランプ米大統領が「パウエルFRB議長は今すぐ金利を引き下げなければならない」と投稿したことで、148.52円から147.58円まで下落した。ユーロドルは1.1599ドルから1.1697ドルまで上値を伸ばした。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米7月消費者物価指数(CPI)で警戒された程の物価上昇圧力がなかったことで、米7月雇用統計を受けた下落幅(150.92円-146.62円)の半値戻し(=一目・転換線)148.77円が上値を抑える展開が予想される。
注目された米7月CPIは前年比+2.7%、コアCPIは前年比+3.1%と発表され、パウエルFRB議長が「夏にかけ関税は目に見えて物価に影響する」と予告していたようなトランプ関税による物価上昇圧力は確認されず、8月分を待つことになった。
トランプ米大統領は、7月のFOMCでの金利据え置き決定を巡りパウエルFRB議長を再び批判し、FRB本部の改修工事を巡り、パウエルFRB議長を相手取った訴訟を検討している、と投稿しており、今後の関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
また、ベッセント米財務長官も「正確なデータあればFRBは6月に利下げできた可能性。FRBは9月に0.50%の利下げを検討するべき」と利下げ圧力を強めている。
トランプ米大統領が新たに労働統計局長に任命した保守系エコノミストのE・J・アントニー氏は、以前から労働統計局に批判的な人物であり、昨日は、毎月の雇用統計発表を停止し、データ収集の問題が是正されるまで四半期ベースに切り替えることを提案している。
アントニー米労働統計局長の下での注目材料は、9月5日に発表される米8月の雇用統計、9月9日に予定されている年次ベンチマーク改定となる。昨年8月21日に発表された年次ベンチマーク改定は▲81.1万人の下方修正となり、アントニー氏が批判していた。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率は93%程度で高止まりしたままであり、依然として年内3回の利下げが見込まれている。
9月のFOMCでは、米国の雇用情勢の悪化を背景に、トランプ・チルドレン(ウォラーFRB理事、ボウマンFRB副議長、ミランFRB暫定理事)主導でFF金利が0.25%引き下げられると予想されている。
今後の注目イベントは、20日に発表される7月FOMC議事要旨で、堅調な労働市場を背景にした政策金利据え置きの議論を確認した後、21-23日のジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)でのパウエルFRB議長の利下げ時期への言及となる。昨年8月23日のジャクソンホール会合での講演では、「政策金利を引き下げる時が来た」と表明していた。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ


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