
執筆:外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は96.21円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は87.81円前後で週初を迎えました。12日には豪準備銀行(RBA)が金融政策会合を開催し、政策金利を市場予想通り25bp(0.25%ポイント)引き下げて3.60%にしました。ただ、RBAの利下げはすでに織り込まれていたこともあり、豪ドル相場への影響は限定的でした。13日のベッセント米財務長官の発言から「米国が日銀に利上げを促しているのでは?」との思惑が浮上し、14日には円買いが強まった結果、豪ドル/円は95.52円前後まで、NZドル/円は87.10円前後まで下落しました。14日に発表された豪7月雇用統計は雇用者数変化は市場予想よりもわずかに少なかったものの、良好な内容となり豪ドルが買われる場面もありましたが、前述の通り日銀の追加利上げ観測が浮上したこともあり、豪ドル/円の上昇は一時的なものとなりました(執筆時)。
RBNZは利下げ予想 注目は?
来週は20日にNZ準備銀行(RBNZ)が金融政策会合を開催し政策金利を発表します。RBNZは昨年8月から6会合連続で利下げを実施し、前回会合(7月9日)で久々に金利を据え置きました。その間政策金利は5.50%から3.25%へと引き下げられています。RBNZは2025年第1四半期に消費者物価指数(CPI)は前年比+2.5%に上昇したが、第2および第3四半期に中銀のインフレ目標レンジ(1~3%)の上限付近へとさらに上昇すると予想しています。「短期的なインフレリスクを考慮すると8月まで利下げを待つことのメリットが強調された。」とRBNZは7月に金利を据え置いた理由を説明しています。その後7月21日に発表された、NZ4-6月期CPIは前年比+2.7%と1-3月期から上昇していたものの、市場予想(+2.8%)は下回りました。RBNZが前回会合で利下げを「8月まで待つ」と示したこと、CPIは予想ほど伸びていなかったことから、オーバーナイト・インデックス・スワップでは今回RBNZの25bp利下げを9割超織り込んでいます。声明で追加利下げの規模や時期を示すかによって、NZドル相場は動くことになりそうです。
来週は豪州では主力級の経済指標の発表は予定されていません。そのため、米ドルや株価指数の動向を眺めた動きがメインとなりそうです。21日から23日にかけて米国にてジャクソンホール会議が開催されます。22日にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演予定となっていますので、議長の発言を受けた米ドルの動きに注意しましょう。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は日足一目均衡表の雲が上昇してきています。目先の下値目途は200日移動平均線や雲下限が意識されそうです。一方上値では、7月15日高値の97.44円前後が目先の上値目途となりそうです。ここを上抜けると、次の上値目途として1月24日高値の98.76円前後が意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表と200MA】

予想レンジ:AUD/JPY:93.50-98.50、NZD/JPY:85.00-89.00
8/18週のイベント:
08/19 (火) 07:45 NZ 4-6月期四半期卸売物価指数(PPI)
08/19 (火) 09:30 豪 8月ウエストパック消費者信頼感指数
08/20 (水) 10:00 中国 1年物/5年物 最優遇貸出金利(ローンプライムレート)公表
08/20 (水) 11:00 NZ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利
08/21 (木) 07:45 NZ 7月貿易収支
一言コメント:
先週末の3連休は茨城県のアクアワールド茨城県大洗水族館に行ってきました。日本一サメの飼育種類数が多いらしく、3メートルを超えるものから数10センチのもの、深海のサメなど色々なサメがいました。近くに行かれた際はぜひ寄ってみてください。
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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来週の為替予想 豪ドル 円
2027年7月の豪ドル円予想。当月始値 98.23、最低 96.73、当月最高 99.67。平均 98.21。月末 98.20。変更 0.0%。
2028年7月の豪ドル円予想。当月始値 98.16、最低 98.16、当月最高 102.27。平均 99.84。月末 100.76。変更 2.6%。
2028年10月の豪ドル円見通し。当月始値 100.34、最低 98.18、当月最高 101.18。平均 99.85。月末 99.68。変更 -0.7%。
2029年2月の豪ドル円見通し。当月始値 102.47、最低 102.47、当月最高 107.12。平均 104.40。月末 105.54。変更 3.0%。
2028年11月の豪ドル円予想。当月始値 99.68、最低 99.68、当月最高 104.16。平均 101.54。月末 102.62。変更 2.9%。
2027年6月の豪ドル円見通し。当月始値 96.45、最低 96.45、当月最高 99.70。平均 97.71。月末 98.23。変更 1.8%。
2029年9月の豪ドル円予想。当月始値 108.48、最低 106.77、当月最高 110.03。平均 108.42。月末 108.40。変更 -0.1%。
8/7発動の米「相互関税」、豪は10%の適用となったものの、関税政策の影響で世界的な鉱物需要が後退するとの観測を背景に8/4に94円91銭へ下落。ただ、8/5発表の米7月ISM非製造業景気指数が予想を下回ったこと、8/12と年内さらなる利下げが織り込まれているものの、中立金利が近づいていることや豪労働市場が良好な状態を維持していることから、声明が極端なハト派寄りにならないとの観測の一方、8/6にミネアポリス連銀総裁が年内複数回の利下げを支持する発言が聞かれたこと、8/7発表の豪6月貿易収支が市場予想を上回る53.65億ドルの黒字となったことなどを受け96円21銭へ上昇。さらに、8/8にはドル円の147円90銭へ上昇した円売りとともに96円52銭へ上昇し96円37銭で取引を終えました。
2029年7月の豪ドル円予想。当月始値 105.33、最低 105.33、当月最高 110.12。平均 107.32。月末 108.49。変更 3.0%。
8/12の豪中銀政策理事会では3.85%から3.60%への2会合ぶりの利下げが確実視されるほか、年内さらに1回の利下げを織り込んでいます。そのため、政策理事会で利下げ打ち止め、もしくは年内残り3回の会合で2回以上の利下げが示唆されればサプライズとなります。さらに、8/13発表の4-6月期賃金指数、8/14発表の7月雇用統計の結果と反応が注目されます。こうした中、日足・転換線(95円99銭)を下値支持線として8/1高値の97円07銭、7/28の97円29銭を上抜けるか、或いは、転換線や基準線(95円83銭)を下抜け8/4の94円91銭を目指して下落基調に転じるか、豪中銀政策理事会の結果と反応に加え、米7月CPI/PPIの結果を受けたドル円の反応と合わせて注目されます。
2028年9月の豪ドル円予想。当月始値 98.13、最低 98.13、当月最高 101.85。平均 99.61。月末 100.34。変更 2.3%。
曲線が曲がりくねっている理由は? AUD/円の取引の際、トレーダーが知っておくべきこととは?
為替レートには、多くの要因が影響しています。上述した内容は、豪ドル対円相場の推移、そしてこの通貨ペアを取引する際の注意点についてです。
2008年金融危機のあと、日本円は世界の中でも安全な通貨、と位置付けられました。その後も変わらず、世界的リスクのバロメーターという存在になっています。リスクが高くなると、マーケットでは円のせいで米ドルは嫌われてし まいます。マーケットが健全な状態であれば、投資家は円を高利回りの通貨と交換します。
両国における相場の変動は、そのままAUD/円に影響しており、為替レートも常に変動しています。現在のレートは73.86で、AUDの上昇が低金利の円と対抗する形になっています。2010年末、豪ドル対円相場は、82.96でした。2000年12月31日時点でのAUD/円相場は63.15となっています。



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