パンダなき白浜に異変 宿泊者減少
中国外務省報道官のオフィスはまた、中国と日本がパンダの保護を巡るやり取りを維持していると付け加えた。
しかし、パンダがいた頃の名残をどうするか決めかねている土産物店のキタイさんと同様、大江氏も今後のことをそこまで明確に見通しているわけではない。
明日からはもう、この場所にパンダはいない。そう考えるだけで涙が出てくると、ミヤジさんは語った。
白浜町の町役場の入り口には、「パンダのまち 白浜」と書かれた看板が設置されているが、大江氏によればその看板をどうするべきかは今なお結論が出ていないという。
実は地元政治家の「政治志向」もパンダ外交には影響している。和歌山県出身で自民党のドンでもあった二階俊博氏(元同党幹事長)は“中国通”で知られた。
「『楽天』や『じゃらん』などでネット予約する個人旅行者には割引クーポン、団体旅行はツアーバスへの補助金などがあります。パンダがいなくなって始めたのではないですが、夜の白良浜のライトアップなどを計画しています」と川脇さん。
一見するとネガティブなニュースが多い白浜町ですが、希望の光もあります。2024年には、外国人宿泊客数が過去最多を記録しています。
日本にはまだ、東京の上野動物園に2頭のパンダがいる。しかしこれらのパンダの貸与期間も来年には切れる。また白浜のアドベンチャーワールドでの歓送セレモニーに出席した多くの人々には、現地のパンダたちに対する個人的な思い入れもあった。
娘と孫を連れてセレモニーに参加したニノミヤ・ミホコさんは、純粋に悲しみを吐露。3世代のパンダファンで、娘が幼い頃から毎月のように見に来ていたとし、とても寂しいとの思いを口にした。
南紀白浜は「パンダ以前」から全国有数の観光リゾート地だ。真っ白な砂で知られる白良浜(しららはま)は有名な海水浴場。白浜温泉、三段壁などは絶景で、ゴルフ場なども、突き出した半島先にひしめく。海産物も豊富で、梅やミカンでも知られる。
問題は、単に代わりのパンダを探すという話だけでは済まない。中国は米国を含む複数の国々にパンダを貸与している。親善大使としての他、通商関係の強化という目的もある。残念ながら白浜では、この「パンダ外交」は終わりを迎えたようだ。
しかし仮に中国政府が日本により多くのパンダを送ると決めても、今回の貸与終了の背景に政治が絡んでいるのなら、それらのパンダが白浜に戻ってくる公算は小さいと家永氏は分析する。
アドベンチャーワールドの中尾建子副園長は、初日からパンダたちの世話をしてきた。古い写真のアルバムをめくりながらパンダたちと初めて出会った思い出を語る中尾氏は良浜の写真を見つめ、あれだけの素晴らしい母パンダになるとは当時は想像もしなかったと振り返った。良浜が娘たちと中国で引退生活を送れるのは非常に良いことだと同氏は考えている。現地ではより質の優れた竹が手に入るからだ。
ここ白浜で、パンダは絶大な人気を誇ってきた。30年以上にわたって、パンダのいる地元の動物園「アドベンチャーワールド」は多くの来園者を引きつけた。彼らの愛情がパンダをカルト的地位にまで押し上げ、白浜の知名度は高まった。
以来31年、日本人のパンダ好きのおかげでこの取り組みは実を結んだ。それはパンダにとっても良いことだったようだ。良浜のつがいの永明は、その前の雌のパンダ、梅梅(めいめい)と良浜との間に計16頭の子どもをもうけた。これは中国国外でのパンダの繁殖プログラムとしては最も成功した例と目されている。しかし今はどうか?


コメント