豪ドル/円 見通し「RBA議事録に注目…『慎重な利下げ戦略』を裏付ける内容となるか」注目の高金利通貨 8月24日号

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豪ドル/円 見通し「RBA議事録に注目…『慎重な利下げ戦略』を裏付ける内容となるか」注目の高金利通貨 8月24日号

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メキシコペソや豪ドルなど投資家にとって魅力的な通貨の最新状況について、これまでの動向や注目ポイントについて解説します。

作成日時 :2025年8月22日15時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト神田卓也
X(Twitter)@KandaTakuya

執筆:外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田 卓也

豪ドル/円(4時間足)

※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照

豪ドル/円は1カ月半ぶり安値からやや持ち直す展開

 週初18日に95.70円台で寄り付くと96.20円前後まで上昇しましたが、翌19日には96円台を割り込み95円台前半へと反落しました。米株高でけん引してきた大手ハイテク企業の株価が軟調となったため市場心理が悪化したと見られます。翌20日もその影響で日本株が反落する中、95円台を割り込んで続落。海外市場でも豪ドル売り・円買いの流れが止まらず、94.40円前後まで下落して7月7日以来の安値を付けました。しかし、21日になると米国の利下げ観測が後退する中でドル/円が148円台へと上昇したことから、豪ドル/円も95円台を回復。22日の東京市場でも買い戻しが優勢で95円台半ばへと持ち直しています。

今週の豪ドル/円の注目ポイントはRBA議事録

 RBAは今週26日に8月理事会(12日)の議事録を公表します。同理事会では政策金利を3.85%から3.60%に引き下げましたが、今後の金融政策決定の指針として、声明で「データと変化していくリスク評価を注視し、国際経済と金融市場の動き、内需の動向、インフレおよび労働市場の見通しに細心の注意を払う」と表明。「慎重で段階的な緩和戦略」を維持していることを示唆したものと見られます。これを受けて、市場は次回9月理事会(30日)では政策金利を3.60%に据え置く公算が大きいとの見方に傾いています。26日の議事録がそうした市場の見方を裏付ける内容となるか注目です。

 

今週の豪ドル/円の見通し

予想レンジ
94.000~97.000円
基調
方向感模索

今週の注目ポイント
☆8/26 RBA議事録
・主要国株価、国際商品価格

 

豪ドル/円(AUD/JPY) FX為替レート・チャート

 
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株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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こうした中で豪ドル/円は52週MAを大きく割り込みました

こうした中で豪ドル/円は52週MAを大きく割り込みました。その後の反発で一時52週MAを回復したものの、最近にかけて再び52週MAを大きく割れるところとなりました(図表6参照)。

2024年の豪ドル/米ドルは、0.63~0.69米ドル程度の小幅のレンジで、2023年に続き方向感のない動きに終始しました(図表1参照)。米ドル/円がここ数年記録的に大きな変動が続いていることと対照的に、豪ドル/米ドルの小動きが長期化している最大の理由は小幅な金利差でしょう。

豪米2年債利回り差は、足下で0.2%程度の豪ドル劣位です(図表2参照)。その一方で、日米2年債利回り差米ドル優位は3%を大きく上回っています。2022年の歴史的インフレ以降、先進国は軒並みインフレ対策で大幅な利上げに動いたのに対し、当初日本だけは金利上昇を抑制する政策を続けました。その結果、日本と米国など先進国の金利差は円劣位が大幅に拡大した一方で、日本以外の先進国間の金利差拡大は限られました。

豪州は中国との貿易関係が強いことから、豪ドル/米ドルは上海総合指数など中国株との間に一定の相関関係が確認できます(図表3参照)。中国株の長期下落傾向が、小動きが続く中でも豪ドルの下落要因になっていた可能性はあるでしょう。

このような値動きは、過去の経験を参考にすると、豪ドル/円がすでに7月109円で天井を打って、複数年続く下落トレンドに転換した可能性が高いことを示すものです。

以上を踏まえると、2025年の豪ドル/米ドルは、2024年のレンジを下方修正し、0.6~0.7米ドル中心での展開と予想したいと思います。

52週MAは11月末現在で100円弱ですが、過去の経験を参考にすると、下落トレンドに転換した豪ドル/円は、一時的な上昇局面でも52週MAを大きく上回ることなく一段安に向かう可能性が高いと考えられます。

金利差は、為替相場の変動率(ボラティリティ)に大きく影響することから、大幅な金利差のある米ドル/円やクロス円が歴史的大相場を展開したのに対し、豪ドル/米ドルのような対米ドルでの取引「ドルストレート」は小動きの状況が続いたということでしょう。このような金利差に著変なければ、2025年の豪ドル/米ドルも小動きが続く可能性が高いのではないでしょうか。

また、豪州経済のファンダメンタルズの安定も、今後の豪ドル相場を支えると考えられます。

豪ドル/円の5年MAかい離率は、2024年7月に110円まで上昇した局面で25%程度まで拡大しました。これは、2007年に記録した過去最高にほぼ肩を並べるものでした(図表7参照)。その意味では、5年MAとの関係で見た場合、2024年の豪ドル/円はほとんど過去最高の「上がり過ぎ」という動きだったのでしょう。

豪ドル/円は2024年7月にかけて110円寸前まで上昇し、2007年に記録したこの間の高値を更新しました。これは米ドル/円が161円まで展開する「歴史的円安」となるなど、円全面安が展開した影響が大きかったでしょう。このため、米ドル/円が8月にかけて一転して暴落すると、豪ドル/円も90円割れ寸前までやはり暴落となりました(図表5参照)。

今後の豪ドル相場のリスクに関しては、中国の動向への投資家の注目は引き続き高そうです。

その後の豪ドル/円の下落により、5年MAかい離率も縮小しましたが、なお「上がり過ぎ」圏にあることには変わりなさそうです。その意味では、このような「上がり過ぎ」が是正される中で、2025年は豪ドル/円の下落トレンドが展開する可能性が高いと考えています。

もっとも、豪州の労働党政権の下、近年は中国との外交・貿易関係の正常化が進んでいることや、中国の景気支援策への期待から鉄鉱石価格が上昇していることは、豪州にとっての中国リスクの後退を示唆しています(図6)。豪ドル相場は引き続き高水準の資源価格との乖離が残されており、資源高を背景にした貿易黒字は実需面から豪ドル相場を下支えすることが期待されます(図11)。

先週発表された豪7月雇用統計は6月から改善したものの、低めの労働生産性と高水準の賃金上昇率によるインフレ圧力が豪中銀の想定よりも高くなる可能性を示唆。さらに、中国経済の減速など、豪主要産品の鉱物資源に対する需要後退となれば、豪中銀は景気減速とインフレ圧力の板挟みで景気支援の利下げを機動的に実施できなくなるリスクに注意が必要。そのため、足もとの利下げが後手に回り、近い将来の豪景気減速が結果的に豪ドルの下落につながりかねず、上値抑制につながるか注目。さらに、8/15の米露首脳会談で具体的なウクライナ停戦に向けた具体策が示されなかったことがユーロ円の下落につながるかもしれません。一方、利下げが見込まれる8/20のNZ中銀政策委員会を受けてNZドルが対豪ドルで4/2以来の1.10NZドル台を試し、豪ドル円の下支えとなるか注目。こうした中、基準線(96円17銭)を回復し反発に転じるか、雲の上限(95円14銭)を下抜けるか注目されます。

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