
午前の為替予想は… 米PPIが予想を下回る CPI次第では大幅利下げの可能性も
作成日時 :2025年9月11日7時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村勉
ドル円予想レンジ
146.300-148.100円
前日の振り返りとドル円予想
昨日のドル/円は終値ベースではほぼ横ばい。米8月生産者物価指数(PPI)が市場予想を下回り147.09円前後まで下落する場面も見られたが、すぐに切り返すなど方向感が出なかった。
米8月PPIの鈍化は米経済の減速を示唆しており、米金利先物は今月17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での50bp(0.50%ポイント)利下げの織り込みをやや高めるものとなった。本日は米8月消費者物価指数(CPI)が発表される。米労働市場の急速な悪化が見られる現状で、トランプ政権による関税政策の物価への影響が限定的と受け止められる結果となれば、9月FOMCでの50bp利下げをさらに織り込む動きとなりドルは売られることになろう。この場合、8月14日安値の146.21円前後を下抜けられるかが焦点となりそうだ。
今朝 最新のドル/円チャート

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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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ドル円午前の為替予想 米PPIが予想を下回る CPI次第では大幅利下げの可能性も
・「雇用統計ショック」で約3円も米ドル急落となった動きは、先週は一服。
今週の米ドル/円予想レンジは「145~150円」
22日には、日本の7月CPIも発表予定(午前8時30分)なので注目です。日本のCPIは低下予想(3.0%、6月は3.3%)となっていますが、4-6月期GDP(1.0%)が予想を上回る結果となったため、CPIが大きく低下しなければ、日銀の経済・物価の見通し(2025年度GDP0.6%、CPI2.7%)に沿っていることから利上げ期待が高まり、円高に動く可能性があります。
・今週は注目度の高い米経済指標発表が目白押しで、早期利下げ再開との見方への影響に注目。また株価の動向にも注目。今週の米ドル/円予想レンジは「145~150円」。
一方で、現実には7月分の雇用統計で労働市場の悪化が示されたことから、「雇用の最大化」に軸足を移し、政策変更を急がない姿勢を修正することも予想されます。市場は利下げ示唆がなくても姿勢修正で9月利下げを期待し、ドル安は起こる可能性があります。
今週は、7月のCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)、小売売上高など注目度の高い米経済指標発表が立て続けに予定されています。
ロシア・ウクライナ首脳会談が2週間後に調整されているとのことですが、ノーベル平和賞を熱望しているトランプ大統領が、もうひと踏ん張りするのかどうか注目したいと思います。合意に至れば、ユーロ買い、ユーロ/円上昇(円安)、ドル/円も円安につられる可能性がありそうです。
先週の米ドル/円は、147円台中心の一進一退に終始しました。前週末の米雇用統計発表をきっかけに約3円もの急落となった流れを引き継ぎ、146円台まで続落する場面もありましたが、さらなる下落にはいたりませんでした(図表1参照)。
パウエル議長は7月のFOMCで、9月の利下げについてはデータ次第と述べ、雇用や物価の経済指標の動向を重視する考えを強調しましたが、米CPIのデータ収集への懸念や米雇用統計の事業所調査の回収率懸念も話題になっていることから、パウエル議長もかなり政策判断に悩むことが予想されます。
以上を踏まえ、今週の米ドル/円は「145~150円」と予想します。
ドル/円は147円台を中心に146円台半ばから148円台半ばのレンジで推移しており、22日のジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演待ちとなっている状況です。それまでは、まだしばらくこのレンジは続きそうです。
7月CPIは予想ほどトランプ関税の影響を受けていないと市場は解釈しましたが、CPIのデータ収集については、予算と人員削減で一部地域でのCPI項目のデータ収集が部分的に停止され、統計の内容に対する懸念が高まっているとのことです。
まず、CPIやPPIといったインフレ指標は、上昇率が先月より高まる見込みです。予想どおりとなった場合、インフレ再燃への懸念からFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げ再開に慎重になり、「雇用統計ショック」で大きく低下した米金利が上昇する可能性があります。
このように、日米中央銀行が注視していたトランプ関税の不確実性も後退しつつある中で、まちまちな結果となった米国CPIとPPI、日本のポジティブサプライズのGDPなどのドル高、ドル安、あるいは円安、円高の両サイドの要因が出たためドル/円は動きづらい相場となったようです。
そうであるなら、今週の経済指標の結果とは別に、株価の“上がり過ぎ”が続くかどうかが、米金利を通じた米ドル/円への示唆としてもう1つの注目点といえそうです。


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