
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年9月12日 15時00分
米FOMCは今年末・来年末の金利水準に注目、日銀は円安イベントか
米ドル/円、「ポスト石破」の動きで148円台へ上昇
米ドル/円は荒っぽい値動き。7日に石破首相が辞任を表明したことで、拡張的な財政政策を背景とした金利上昇に伴う円売りが進み、米ドル/円は148.576円まで上昇し、1週前の弱い米雇用統計で下げた分を取り戻しました。
その後は、一部報道で「日銀は年内利上げの可能性を排除しない」との見方が示されたことを受けて、米ドル/円は146.310円まで下落する場面もありましたが、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて様子見ムードが広がり、後半は147円台を中心に上下に振れる展開となりました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米FOMC、日銀も過度な期待は禁物
来週は、16〜17日のFOMC、18〜19日の日銀会合と、中央銀行イベントが為替相場の振れ幅を生む展開となるでしょう。FOMCを巡っては、①9月の利下げ幅、②今年末の金利水準見通し、③来年末の金利水準見通しが注目点と見られます。これらを確認しながら、FRBの緩和姿勢の強弱を見極めることになるでしょう。
この点では、9月の利下げ幅自体はそれほど重要ではなく、今年末および来年末の金利水準の見通しがより重要と考えられます。6月時点の経済予測では、今年末の金利水準は3.9%とされていました。今回を含めて年内に3回(0.25%を1回として)利下げが行われると仮定すれば、新たな見通しは3.15%付近まで引き下げられる計算になります。
仮に9月の利下げ幅が0.5%となっても、今年末の金利水準が先ほどの水準より高ければ、米国は利下げに慎重と受け止められ、米ドルの買い戻しが強まる可能性があります。逆に、9月の利下げ幅が0.25%にとどまっても、今年末の金利見通しが先ほどの水準より低ければ、市場が想定する年内3回よりも緩和ペースが速まるとの見方から、米ドル売りが進行しやすくなると考えられます。
また、来年末の金利見通しにも注意が必要です。6月時点では、来年に2回の利下げが見込まれていました。これをベースにすると、先ほどの3.15%からさらに0.5%を引いた2.65%あたりが妥当な水準となります。これよりも高ければ、利下げ幅が限られるとの見方から米ドルの下値も限定されるでしょう。反対に、この水準を下回る見通しが示されれば、来年の利下げ意欲が強いと判断され、米ドル売りが加速する可能性があります。
個人的には、足元のインフレが緩やかに拡大している点を踏まえると、FOMCは慎重な利下げにとどまると見られます。現在市場で織り込まれつつある利下げ観測はやや行き過ぎであり、FOMCを通じてこうした見方に修正が入る可能性があると考えています。

また、日銀を巡っては、不要な円安を招かないように、見通しに沿って経済が進展していることを踏まえ、毎回の会合が“ライブ”であるという姿勢は維持されると見られます。ただし、半期の決算前に政策変更を行うことは避けたいとの考えから、今回、金利変更はない見通しです。
また、10月4日の自民党総裁選やその後の政治日程を考慮すると、10月会合での利上げ示唆も控えられる可能性があります。こうした見送り姿勢は、全体的に利上げに慎重な姿勢と受け止められやすく、日銀会合後には円安ムードが広がる展開が想定されます。
以上のことから、米ドル/円は一時的に下方向を試す場面があっても、最終的には戻りを試す展開となるのではないでしょうか。
100日線と下値支持線で下値は固い(テクニカル分析)
米ドル/円は、日足一目均衡表の雲の中でじりじりと上値を切り下げる形となっており、下振れが警戒される展開となっています。ただし、雲の下限を割り込む水準には、100日移動平均線や今年4月の安値からの支持線が位置しており、見た目以上に下方向への動きは限定的と見られます。
雲を割り込み、支持線付近まで下落した局面では、押し目買いを検討したい局面です。
【米ドル/円チャート 日足】

出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:USD/JPY:145.000-150.000
9/15 週のイベント:

一言コメント
一昔前なら9月になると、夜に聞こえてくる鈴虫の鳴き声で「秋が来たな」と感じられましたが、現在は9月に入ってもまだ暑く、鈴虫の鳴き声すら聞こえてきません。もうしばらく我慢ですかね。
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来週の為替予想 米ドル 円
来週の円相場は下落基調が見込まれる。ジャクソンホール会合(米カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演後、米国の9月利下げに対する過度な織り込みが剝落するとの見方からドルが買い戻されそうだ。
9/1の96円06銭を安値に、フランスや日本の政局不透明感、英財政懸念、さらにFRBの利下げ観測を背景に主要通貨で堅調に推移。さらに、9/3発表の豪4-6月期GDPが予想を上回ったことを受けて97円30銭へ上伸したものの、今年1月以来の高値となる7/15の97円43銭を前にポジション調整の売りに押され反落。また、9/4発表の米8月ISM非製造業景気指数が予想を上回り、対ドルで下落したほか、9/5発表の米8月雇用統計が予想以上に悪化したことを受けたドル円の下落とともに、96円31銭へ下落し、96円71銭で取引を終えました。
円高シナリオでは、政治的混乱による市場パニックや米国債市場での売り圧力から政権移行期で120~130円まで進行し、世界貿易の縮小や米国債格付け引き下げにより2029年初には90~105円に達すると予測。一方、超円安シナリオでは、極端な保護主義政策期待や日銀の金融緩和維持により政権移行期で160~180円まで進行し、対日貿易制裁や日本からの資本逃避を経て、2029年初には金融システムへの信認崩壊により250円以上も視野に入るとの分析が示された。
世界の外国為替取引で圧倒的なシェアを誇る基軸通貨。2016年に国際決済銀行(BIS)が行った調査では全取引の87.6%がドル関連(ドル円、ユーロドル、豪ドルドルなど)となっている。2位ユーロの31.4%、3位日本円の21.6%を大きく引き離している(為替取引は一回の取引でドル円など2通貨が必要となるため、全体の合計は200%となる)。そのため、経済指標・要人発言などの注目度は他の国・地域よりも圧倒的に高い。 他の先進国に先駆けて景気回復に成功し、2015年12月から利上げ局面に入っている。順調な利上げでかつて高金利通貨といわれた豪ドルやNZドルよりも金利が高い状況となっている。 トランプ政権樹立後は、政治的な情勢も相場に影響が出ている。保護主義的な姿勢が示されることで、ドル売り圧力も。 かつては有事のドル買いといわれ、紛争など世界的にリスク警戒感が強まる場面では買いが出ていた。湾岸戦争以降、米国が紛争当事国となるケースが増え、その役割が弱まったが、ここにきて役割が回復してきており、有事に強い円を除いて、ドル高になるケースが見られる。
2029年8月のドル円予想。当月始値 175.57、最低 171.75、当月最高 176.99。平均 174.67。月末 174.37。変更 -0.7%。
9/1の8円29銭を安値に、ドルが主要通貨で売られる中、南ア8月の新車販売台数の伸びや、9/2の南ア主要輸出品である金やプラチナの相場の続伸に支えられ上昇を継続。9/3には8月のグローバルPMIが50.1と4か月連続で景気判断の節目となる50を上回ったことに加え、米7月求人件数が市場予想を下回り、対ドルでの上昇とともに8円43銭へ上伸。ただ、8/25の高値(8円44銭)を前に伸び悩み、9/4発表の米8月ISM非製造業が予想を上回った対ドルでの下落とともに8円32銭へ反落。その後、9/5の米8月雇用統計の下振れを受けた対ドルでの上昇に、8円39銭へ反発。しかし、ドル円の下落に押され伸び悩み、8円38銭で取引を終えました。
この政治的転換を受けて、為替市場は早くも反応を示している。東京外国為替市場では、トランプ氏の勝利を受けて急激な円安ドル高が進行し、11月6日には1ドル151円台から一時154円台前半まで上昇、約3カ月ぶりの円安水準を記録した。新たなトランプ政権に市場は敏感に反応している。
2027年5月のドル円見通し。当月始値 142.34、最低 142.34、当月最高 147.60。平均 144.43。月末 145.42。変更 2.2%。
最新のドル円為替レート 147.66円。日の範囲の 147.66 - 147.66円。前日 147.66円。前日比 0.00%。
22日~株価大幅調整に警戒!久しぶりに円高あるか?米雇用統計→CPIを通過。来週FOMC0.25%利下げ。
2027年11月のドル円見通し。当月始値 147.93、最低 147.93、当月最高 153.57。平均 150.18。月末 151.30。変更 2.3%。
第一週 9月19日(金曜日)のドル円見通し: 為替レート 147.93、 最高 150.15、最低 145.71。 9月22日(月曜日)のドル円予想: 為替レート 146.85、 最高 149.05、最低 144.65。 9月23日(火曜日)のドル円見通し: 為替レート 147.22、 最高 149.43、最低 145.01。 9月24日(水曜日)のドル円予想: 為替レート 146.99、 最高 149.19、最低 144.79。 9月25日(木曜日)のドル円見通し: 為替レート 148.15、 最高 150.37、最低 145.93。
インフレ率が高くなると、外国為替市場での通貨は弱くなります。1990年のインフレ率は、日本は3.08%、米国は5.40%でした。その年のドル対円相場は、年末までに1ドル160円から135円にまで下落しています。2000年のインフ レ率は日本は-0.68%、米国では3.4%と、ドル対円相場は107.8円にまで下がっています。
通貨取引には、様々な要因が複雑に絡みあっています。各国ごとの数値を比較し、その通貨に影響を与えているとされる、通貨以外の別の要因に目を向ける必要があります。過去30年間のドル対円相場の動きほど、複雑なものはありませ ん。
2027年4月のドル円予想。当月始値 141.16、最低 140.20、当月最高 144.48。平均 142.05。月末 142.34。変更 0.8%。


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