シャトレーゼが好調の一方 競合は苦戦してきた
限られた経営資源を最適に配分する「選択と集中」は、シャトレーゼの成長戦略の核心部分です。同社は菓子製造販売に特化し、その中でも特に強みを発揮できる分野に経営資源を集中投下しています。例えば、添加物を抑えた商品開発や、独自のファームファクトリーシステムなど、他社との差別化ポイントとなる領域に注力しているのです。
急成長は魅力的ですが、その裏で組織やルール整備が追いつかず、ひずみが露呈するケースは少なくありません。シャトレーゼの「成長を止める」決断は、一見後退のように見えても、長期的には企業価値を守るための前向きな戦略です。特に食品業界では品質・安全・労務管理は信頼の土台であり、ここが揺らげばブランドは一瞬で毀損します。重要なのは、2年間の基盤強化を単なる防衛策で終わらせず、次の成長モデルを構想すること。例えば、DXによる店舗運営効率化、人材育成体系の刷新、サステナブル調達の推進など、成長再開後に差別化できる要素を今から組み込むべきです。成長を止める勇気と、再び成長を描く知恵。その両方が試されます。
シャトレーゼの競争力の源泉のひとつに、現場徹底主義による意思決定の速さがあります。大企業では新商品の企画から発売まで数カ月から年単位の時間がかかることも珍しくありませんが、シャトレーゼでは「カリスマ的創業者がリーダーシップを取る、現場徹底主義のビジネス」として、机上ではなく売り場や工場の現場で考え、変えるべきことはすぐ変えるアプローチを採用しています。
シャトレーゼは1954年に創業した和菓子店がルーツだ。当初は山梨・長野を中心にチェーン展開を図った。1960年代にアイスやシュークリームなどを発売し、その後フランチャイズによる洋菓子専門店を展開し始めた。問屋を介さずに工場から直送する店舗は1985年に開店した。コンビニと同じこの仕組みは、現在のシャトレーゼの主軸となっている。 2000年代から成長が著しくなり、コロナ禍でも勢いは止まらず、2025年3月期の連結売上は1613億円となった。店舗数もこの10年で激増し、国内では2015年度末の461から、この6月時点で870になった。 国内店舗は大半がフランチャイズであり、オーナーの多くは2~3店舗を運営している。ロイヤリティはゼロで、工場からの卸売が本部の収入となる。海外では6月時点で7カ国に183店舗を展開する。 シャトレーゼが好調の一方、競合は苦戦してきた。例えば不二家は10年ほどで店舗数が100ほど減少している。減少幅は小さいように見えるが、従来の路面店から食品スーパーの中に出店する形への切り替えを進めており、路面店は半減した。
SNSの活用においても、シャトレーゼは効果的な戦略を展開しています。2017年にツイッターを開始した年に約60万人のフォロワーを獲得し、販促部員による真摯なツイートやこまめなコメント返信、リツイートが功を奏しています。同社の公式アカウントでは、新商品情報はもちろん、季節のおすすめ商品や限定品の情報を発信し、ファンの来店意欲を高めています。特に注目すべきは、顧客が投稿した商品写真やレビューを積極的にリポストする取り組み。これにより、投稿者の満足度を高めるとともに、リアルな顧客体験を他の潜在顧客に伝える効果も生まれています。
話が少しそれましたが、今お話した経営方針の基、広報室の使命としては、「シャトレーゼブランドの戦略的な露出により、菓子業界における話題創出のトップリーダーになること」です。
シャトレーゼは契約農家と長期的な関係を構築し、牛乳や卵などの新鮮素材を直接仕入れ、安定した品質の原材料を確保しています。この仕組みは、中小企業にとっても参考になる点が多いでしょう。
シャトレーゼが実践している環境変化への対応は、中小企業でも取り入れられる要素が多くあります。まず重要なのは、「アンテナを高く持つ」姿勢です。同社は消費者トレンドの変化や社会情勢を常に注視し、早期に兆候を捉える体制を構築しています。
例えば、2022年2月下旬に四国最後となる徳島に店舗をオープンしたのですが、地元新聞やテレビからの取材も殺到しました。お客さまも連日たくさんおみえいただき、記録的な売上が続きました。皆さんテレビでシャトレーゼの商品を見たり、聞いたことはあっても食べたことはなく、「待ってました!」とご来店いただけたのだと思います。
シャトレーゼの店舗展開で注目すべきは、都市部ではなく郊外を中心とした出店戦略です。一見すると不利に思える郊外立地ですが、これにより家賃などの固定費を大幅に削減することに成功しました。この戦略は低価格帯の洋菓子を提供する同社の顧客層にもマッチしています。地価の安い郊外に広い店舗と駐車場を確保し、車社会の顧客にとっての利便性を高めています。
人を呼ぶために彼はゴルフ場のなかにシャトレーゼの直売店を作った。
ここでは、山梨県発祥の洋菓子メーカーであるシャトレーゼが実践してきた「大手にはできないこと」を強みに変える逆転の発想について掘り下げていきます。多くの中小企業が大手との競争に苦しむ中、シャトレーゼは制約をチャンスに変え、独自のポジションを確立してきました。小規模であることのメリットを最大化し、大手企業が見落としているニッチな市場や顧客ニーズを掘り起こす方法を学ぶことで、あなたの会社も新たな競争優位性を構築できるはずです。自社の「小ささ」を武器に変えるヒントが詰まっています。
注目すべきは、このプレジデント制度によって社員の当事者意識が高まり、自ずと考えてモチベーションを保つ環境が整えられている点です。「立場が人を変える」という理念のもと、トップダウンからボトムアップへと組織が変化し、製品のクオリティ向上につながっています。新商品開発においては、プレミアムブランド「ヤツドキ」を活用し、そこでヒットした商品をシャトレーゼに移植する戦略も採用しています。
近年、スーパーやコンビニを展開するリテール企業では、他社と差別化を図るためのプライベートブランド商品の開発に注力している。シャトレーゼにおいてもこれまで自社商品を開発し、それを自店で直販することで業績を伸ばしてきたが、近年では卸売も開始した。結果としてブランドの認知度向上に成功し、店舗売上のアップに寄与。今後は1店あたりの売上も年商3億円を目指すべく、高単価のギフト販売に舵を切る。
おかげさまで、「シャトレーゼのものはおいしくて安い」と好評をいただいています。何より嬉しいのは、アレルギーを持つ子供のお母さんから、思わず涙が出るようなお礼のお手紙が届くことです。こうした喜びの輪を広げることが、事業の成長にもつながると考えています。


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