米FRB 025の利下げを決定
10月分雇用統計では雇用者増加数は大きく縮小したが、ハリケーンやストの影響が大きく、雇用情勢の実態を表すものとは言えなかった。12月初めに公表される11月分雇用統計への注目が集まる(コラム「米国10月雇用統計は予想比下振れるも評価は難しく:FRBの緩やかな利下げ観測が継続」、2024年11月5日)。
また、パウエル議長は2025年末に任期を迎えるが、その後は、大統領の意向を反映した、かなりハト派の人物が議長に指名される可能性も考えられる。こうした流れは、FRBの信認を低下させることや実際に利下げが進みやすくなることの双方から、ドル安要因となる。現在、トランプトレードの一環とされるドル高とは逆方向だ。
ちなみに、日銀が2026年1月から半年に1回のペースで0.25%の利上げを実施していくと、植田総裁が任期満了となる2028年4月までに、政策金利は1.75%に上昇する計算となります(2026年1月0.75%→7月1.00%→2027年1月1.25%→7月1.50%→2028年1月1.75%)。
もし、10月に利上げして、その後半年に1回のペースで0.25%の利上げを実施するとすれば、2028年4月の時点で政策金利は2.00%になります(2025年10月0.75%→2026年4月1.00%→10月1.25%→2027年4月1.50%→10月1.75%→2028年4月2.00%)。
1991年神戸大大学院経済学研究科修了後、日本銀行。政策委員会審議委員スタッフ、物価統計課長、日本経済研究センター主任研究員(チーフフォーキャスター)などを歴任。岡三証券チーフエコノミスト、いちよし証券上席執行役員チーフエコノミストを経て、2023年10月より現職。東京財団政策研究所主席研究員なども兼任。著書に『日本経済 30の論点』日本経済新聞出版(2022年、共著)など。
その場合、FRBの利下げ観測が強まり、長期金利は顕著に低下、ドルは大きく下落するのではないか。これは、現在、金融市場で進むトランプトレードとは逆方向だ。いずれ、トランプトレードは見直されていくものと見ておきたい(コラム「トランプトレードはいつまで続くか?:危うさがあるドル高円安シナリオ:日銀追加緩和の時期にも影響」、2024年11月7日)。
【ワシントン共同】米連邦準備制度理事会(FRB)は17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、主要政策金利を0.25%引き下げることを決めた。利下げは2024年12月以来6会合ぶりで、第2次トランプ政権発足後、初めて。政権の高関税措置に伴うインフレへの警戒が依然くすぶるものの、雇用減速への対応を優先し、利下げの再開に踏み切った。


コメント