
NY時間の為替市場でドル円は、レンジから大きく外れて動くのは難しそうだ。今週は日米をはじめ複数の中央銀行が政策金利を発表し、大きなイベントが一度クリアしたといえる。ドル円は激しく上下したものの、結局は週初の水準147.70円近辺に戻ってきたこともあり、ここから週末を前にレンジを大幅に更新していくのは難しいだろう。
円安要因になりかねなかった、高市早苗氏の出馬表明会見だが、自身のことを「穏健保守か中道保守」と位置づけ、中国との外交関係を改善していくことを示すなど、これまでよりも総裁選勝利による首相就任を意識してなのか、波風立てないような発言が目立った。
世界の潮流が緊縮財政ではなく積極財政と述べ、財政拡大の可能性を示唆したが、現金給付に関しては、自民党が参院選で敗北したことで、選挙で国民の支持を得られなかったと否定的な発言をした。また、食料品の消費減税に関しても、今の物価対策として即効性が無いとも述べている。慎重な発言が目立ったこともあり、これまでのような日銀の利上げに対して「アホ」というような発言も避けている。今後もこの路線を通すことが予想され、高市氏有利=円売り、という一方的な動きを期待するのは難しいかもしれない。
一方、円高要因になった日銀の金融政策決定会合だが、2名の審議委員(高田委員・田村委員)が0.75%への利上げを主張したことと、上場投資信託(ETF)の売却開始の発表したこともあり円高が進んだ。植田日銀総裁は具体的な利上げまでの距離については明確にしなかったが、年後半での利上げは期待は依然として強い。
本日のNY時間のイベントとしては、3カ月ぶりに米中首脳の電話会談が行われる。今回の会談後に、10月30日から11月1日に韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で対面による米中首脳会談の決定を発表する可能性がある。電話会談のみでは、米中間の大きな進展を期待できないことで、対面での首脳会談が最重要になりそうだ。なお、本日はTikTokの米国資産などの処理についてが議題としてのぼるようだが、為替市場に影響を与えるような内容にはなりにくいと見込まれる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、200日移動平均線148.65円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、これまでの日通し安値147.20円。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ


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