
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年9月19日 15時00分
本邦政局に視点が移行、円売りの流れが緩やかに進展か
米ドル/円、米FOMC・日銀・本邦政局で乱高下
米ドル/円は荒い展開となりました。米国の個人消費が冷え込んでいないことを示唆する経済データも確認されましたが、米国の利下げ再開を背景にした米ドル売りが優勢となり、米ドル/円は145.481円まで下げました。ただ、0.25%の利下げを実施したFOMC後の会見で、パウエルFRB議長が10月の利下げにコミットしなかったことで、利下げペースは限定的との見方が広がり、米ドル/円は下げ一巡後に147円前半まで反発しました。その後も、本邦政局を巡る円売りが主導し、米ドル/円は148.269円まで上昇しました。ただ、金利据え置きを決定した日銀会合が想定よりもタカ派色が強かったとの受け止め方から、米ドル/円は147円前半まで押し戻されるなど、荒い値動きが続きました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米FOMC利下げペースは半々
米国のFOMCでは、当局者の予測中央値が年内に0.5%の追加利下げを示しています。ただ、ドットチャートの分布を見ると、0.25%以下の利下げ見通しと、0.5%以上の利下げ見通しはほぼ半々で、実際の利下げの道筋は今後の経済指標次第といえます。あらかじめ決まった利下げペースではない点には注意が必要です。今後の経済指標を確認しながら利下げペースを見極めることになります。来週は製造業・サービス業PMI、新規失業保険申請件数(更新頻度が高い)、そしてFRBが金融政策判断で重視する個人消費支出(PCE)価格指数などが注目されます。特に欧州や日本との通商合意が進む中で、企業景況感の改善が進むかどうかが注目されます。
一方、円の動向も注目されます。本邦では自民党総裁選が本格的にスタートします。茂木氏、小林氏、林氏、高市氏が正式に出馬を表明し、小泉氏も出馬に向けた意向を示しており、総裁選は5人による争いになる見通しです。
中でも、世論調査でリードしている高市氏と小泉氏の動向が注目です。高市氏は「給付付き税額控除」の制度設計に着手し、中低所得層の手取りを増やす政策を提示するようです。また、所得税の非課税枠「”年収の壁”」の引き上げや、ガソリン税の旧暫定税率の廃止も盛り込むなど、野党も協調しやすい刺激策を掲げるようです。高市氏がリードするようなら、サナエノミクスへの期待で円売り圧力が高まる可能性があります。一方、小泉氏は加藤財務相が選対本部長に就任する見通しとなっており、小泉氏がリードするようなら過度な円安抑制への見方から、円安の巻き戻しが進む可能性もあります。いずれにしても、各候補者の言動が相場の波乱要因となりそうです。
米ドル/円は上下どちらにも振れる可能性はありますが、本邦の次期政権の枠組みが決まらない段階で、10月利上げを織り込むのは時期尚早と判断でき、まだ本邦政局を巡る思惑に伴う円売りの流れが続きやすいと見ています。米ドル/円は底堅い展開が続くのではないでしょうか。
レンジブレイクを待つ(テクニカル分析)
米ドル/円は、4月の安値139.883円から伸びる下値支持線を一時的に割り込んだ後は、すぐさま反発し、148.66円付近の200日移動平均線へ接近したものの、押し返されています。目先は、下値支持線とレジスタンスの200日線のどちらにレンジブレイクするのか注目です。200日線を突破できれば150.00円回復が視界に入ってくる一方、下方向をレンジブレイクすれば、143.00円付近まで目線が下がっていく可能性があります。
【米ドル/円チャート 日足】

出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:USD/JPY:146.000-151.000
9/22 週のイベント:

一言コメント
同じ日に台風17号、18号、19号が相次いで発生するという異例の事態となっています。日本に直接の影響はない見通しで安堵していますが、台風の番号が一気に進みましたね。
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来週の為替予想 米ドル 円
2028年10月のドル円予想。当月始値 156.15、最低 156.15、当月最高 163.24。平均 159.09。月末 160.83。変更 3.0%。
インフレ率が高くなると、外国為替市場での通貨は弱くなります。1990年のインフレ率は、日本は3.08%、米国は5.40%でした。その年のドル対円相場は、年末までに1ドル160円から135円にまで下落しています。2000年のインフ レ率は日本は-0.68%、米国では3.4%と、ドル対円相場は107.8円にまで下がっています。
通貨取引には、様々な要因が複雑に絡みあっています。各国ごとの数値を比較し、その通貨に影響を与えているとされる、通貨以外の別の要因に目を向ける必要があります。過去30年間のドル対円相場の動きほど、複雑なものはありませ ん。
2028年11月のドル円見通し。当月始値 160.83、最低 160.83、当月最高 168.13。平均 163.86。月末 165.65。変更 3.0%。
2028年1月のドル円見通し。当月始値 149.98、最低 149.98、当月最高 156.80。平均 152.81。月末 154.48。変更 3.0%。
ほとんどの国家は赤字で運営しています。けれども、対外債務が増えると、投資家に懸念を与えます。莫大な対外債務と公的債務がインフレを加速させています。過去20〜30年間のドル/円相場の変動は、両国のうち、どちらかが借入を増や したか、あるいは赤字予算を削減したことに起因しています。
2029年7月のドル円見通し。当月始値 173.81、最低 173.81、当月最高 179.16。平均 175.82。月末 176.51。変更 1.6%。
この政治的転換を受けて、為替市場は早くも反応を示している。東京外国為替市場では、トランプ氏の勝利を受けて急激な円安ドル高が進行し、11月6日には1ドル151円台から一時154円台前半まで上昇、約3カ月ぶりの円安水準を記録した。新たなトランプ政権に市場は敏感に反応している。
金融政策面では、急激な円安進行時に日銀が利上げし、住宅ローン金利の上昇など家計の負担増加につながる可能性がある。また、米中対立の激化は日本企業のサプライチェーンに混乱をもたらすおそれがあり、特に中国に生産拠点や市場をもつ企業では、事業戦略の見直しを迫られるのではないか。地域経済への影響も無視できず、輸出産業が集積する地域では雇用・所得の改善が期待される一方、内需依存型の地域では物価上昇による消費低迷が懸念される。
最後に、AIに「基本シナリオ、急激な円高シナリオ、超円安シナリオについて確率を予測してください」と指示したところ、図表4の分析が示された。基本シナリオが65%と最も高い発生確率を示している。急激な円高シナリオの発生確率は20%と算出された。このシナリオでは、地政学的ショックやグローバル金融危機、ドル信認の急激な低下といった要因により、政権移行期に突発的で急激な変動が発生し、その後も円高基調が継続すると予測されている。超円安シナリオの発生確率は15%と算出された。このシナリオでは、日本経済の構造的悪化や国際金融秩序の崩壊、制御不能なパニック売りを背景に極端な円売り圧力が発生し、政権移行期以降も異常な円安が加速する可能性が指摘されている。
9/5発表の8月外貨準備高が7月から増加したほか、米8月雇用統計が下振れした影響や金やプラチナ価格の上昇を好感し9/8に8円44銭へ上昇。しかし、9/9には日銀の年内利上げ観測を受け8円37銭へ下落した一方、アフリカの4-6月期実質GDPが前期比+0.8%と市場予想を上回ったことや南ア全株指数が史上最高値を更新したほか、9/10発表の米8月卸売物価指数が予想を下回ったことから8円43銭へ反発。さらに、9/11発表の米新規失業保険申請件数が予想を下回ったこと、9/12には米9月ミシガン大消費者信頼感指数が市場予想を下回ったことから対ドルでの上昇とともに8円52銭へ上伸し、8円49銭で取引を終えました。
政治情勢が安定している政府は、多くの投資家を惹きつけるため、その国の通貨は強くなります。米国と日本は、どちらも政治的に安定しています。両国にみられる僅かな為替レート変動の違いは、経済の安定性に関係しています。世界の貿易 は米ドルで取引されており、これが米ドルが日本円よりも優位となる要因です。
ドル円買い!日銀による10月利上げ示唆なしと予想。S&P500指数がリーマン・ショック後安値から10倍。
まず、トランプ氏の経済政策に関する主要な発言を分析し、その政策方針を明確化する。次に、これらの政策が実行された場合の「想定内シナリオ」におけるドル円相場への影響を、金融政策、財政政策、通商政策の観点から分析する。続いて、予期せぬ事態が発生した場合の「想定外シナリオ」について、地政学的リスクや国際金融市場の急激な変動などを考慮した分析を行う。最後に、各シナリオの発生確率をAIモデルによって算出し、より現実的な予測の提示を目指す。なお、本分析ではLLMの特性を活かし、膨大な過去データと最新の市場動向を組み合わせることで、より精度の高い予測の実現を図っている。
2029年10月のドル円予想。当月始値 179.71、最低 179.11、当月最高 184.57。平均 181.31。月末 181.84。変更 1.2%。


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