メキシコペソ/円 見通し「年初来高値更新も外部要因で伸び悩む…中銀の利下げスタンスに注目」注目の高金利通貨 9月21日号

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メキシコペソ/円 見通し「年初来高値更新も外部要因で伸び悩む…中銀の利下げスタンスに注目」注目の高金利通貨 9月21日号

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メキシコペソや豪ドルなど投資家にとって魅力的な通貨の最新状況について、これまでの動向や注目ポイントについて解説します。

作成日時 :2025年9月19日14時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 神田卓也
X(Twitter)@KandaTakuya

執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也

メキシコペソ/円(4時間足)

※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照

先週のメキシコペソ/円は年初来高値更新も伸び悩む

 週初15日に7.967円前後で取引が始まったペソ/円は、年初来高値圏で8.00円を挟んだ値動きとなっていましたが、18日に高市前経済安保担当相が自民党総裁選に正式に出馬を表明したことなどから円売りが強まると8.098円前後まで上伸。昨年8月1日以来の高値を付けました。しかし、この日は米新規失業保険申請件数が雇用情勢の堅調ぶりを示し、ドル高・ペソ安に振れたためペソ/円は伸び悩む展開となりました。また、19日に日銀が金融政策決定会合で上場投資信託(ETF)の売却を決定したほか、2人の審議委員が政策金利の据え置きに反対し、利上げを主張していたことから円買いに傾くと8.017円前後まで上げ幅を縮小しています。

今週のメキシコペソ/円の注目ポイントは政策金利

 今週25日にメキシコ中銀が政策金利を発表します。追加利下げが濃厚ですが、利下げ幅は前回と同じ25bp(0.25%ポイント)にとどまる見通しです。中銀は今年2月から4会合連続で50bpの大幅利下げに動きましたが、前回8月会合では利下げ幅を25bpに縮小。声明には追加利下げを示唆する文言はありませんでしたが、その後公表した議事録では「今後、委員会は政策金利の追加引き下げを検討する」と明記しました。今月9日に発表された同国の8月消費者物価指数(CPI)がインフレの鈍化一服を示したこともあって、利下げ幅は今回も25bpになるとの見方が市場に浸透しています。焦点は、今後の利下げに関する示唆が声明に盛り込まれるかどうかでしょう。中銀は今回の利下げ局面で、すでに政策金利を合計350bp引き下げています。経済的な依存度が高い米国の利下げや足元のペソ高基調によって、中銀がさらなる利下げの余地があると見ているのかがポイントです。

 

今週の豪ドル/円の見通し

予想レンジ
7.925~8.125円
基調
方向感模索

今週の注目ポイント
☆9/25 メキシコ中銀政策金利
・主要国株価、国際商品価格

 

メキシコペソ/円(MXN/JPY) FX為替レート・チャート

 
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株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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メキシコペソ 円 見通し

メキシコペソ/円が一時7円割れまで下落する中で、過去1年の平均値である52週MAを大きく割れた。これは、経験的にはメキシコペソ/円の下落は一時的なものではなく、複数年継続的に展開する下落トレンドが展開している可能性が高いことを示すものだ(図表4参照)。

メキシコペソ/円は、2020年の「コロナ・ショック」後の4円台から、2024年には9円を大きく超えるまで上昇、約4年間で倍以上に上昇した。ところが、最近にかけて一時7円割れ寸前まで急落し、最大下落率は25%にも達した(図表1参照)。米ドル/円も161円台から141円台へ、最大下落率は12%に達したが、それと比べるとメキシコペソ/円の下落の大きさが分かるだろう。

そうであれば、メキシコペソ安トレンドと逆行する一時的なメキシコペソ反発は、52週MAを大きく越えられない程度の限定的なものにとどまる可能性が高いだろう。大幅な金利差ペソ優位は変わらないものの、相場の反発が限られ、むしろ継続的な下落リスクのある状況では、なかなか新たな買いのチャンスと位置づけるのは難しい、そのような状況が続く可能性が高いのではないだろうか。2025年の予想レンジは、5~8円。

高金利環境の継続はメキシコペソにとってプラス材料と捉えられますが、同時にこれまでの利下げが景気減速懸念の広がっていたメキシコ経済を下支えしてきた面もあるため、中銀の利下げが停止した際にはメキシコの景気鈍化がさらに進むかについても注目しておく必要があるでしょう。今回の金融政策決定会合に関しては結果だけでなく、声明文から中銀の経済・インフレ見通しについてもしっかりと確認しておきたいところです。

こうした中で、メキシコペソ/円は、足下で8.7円の52週MA(移動平均線)を大きく割り込んだ。これは、2020年から展開してきたメキシコペソ/円の上昇トレンドでは見られなかった現象だ(図表2参照)。高金利通貨のメキシコペソはボラティリティが高く、その意味ではいわゆる「ダマシ」が発生することもあるが、上昇トレンドで見られなかった現象が起こったという意味では、下落トレンドへ転換した可能性も注目されそうだ。

ただ、購買力平価かい離率などを見ると、これまでの実績からしても、まだ「上がり過ぎ」の修正途上のように見える。極端なメキシコペソの割高が修正され、割安になったメキシコペソが買えるようになったという感じではなさそうだ。

スワップポイントは、2カ国間の金利差によって発生し、金利差調整分とも呼ばれます。メキシコペソなど高金利通貨を買いで保有することで、スワップポイントを受け取ることができます。逆に売りで保有する場合は支払いが発生します。FX会社によってスワップポイントが異なるため、取引する際にはスプレッドだけではなく、スワップ水準もしっかりと比較することが重要です。

メキシコペソ円の今週のレンジについては、『7.80円~8.20円』と予想しています。

メキシコペソ/円は、2020年の「コロナ・ショック」で6円から4円割れ近くまで、約3割の暴落となった。ところが、それから一転上昇に転じると、2024年5月の9.4円まで上昇が続いた(図表1参照)。この間の最大上昇率は2.2倍。米ドル/円に例えるなら、「コロナ・ショック」で100円割れ寸前まで暴落したものの、その後の4年間で200円以上に上昇したことになるので、いかにすごい上昇相場が展開したのかが分かるだろう。

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