中東に位置するトルコの通貨リラを取り巻く環境を分析し、トルコリラの今後の値動きを予想した。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也 X(Twitter)
金利据え置き 利下げ後ずれを示唆
トルコ中銀は17日、政策金利を50.00%に据え置くと発表した。声明で「9月の基調的な物価上昇率のトレンドはやや上向いた」との認識を示した上で「物価情勢改善に関する不確実が高まっており、予想物価と価格決定行動はディスインフレの過程にリスクをもたらし続けている」と指摘。見通しほどインフレが鈍化しないことを認めて利下げ開始が遅れることを示唆した。なお、中銀は年末時点のインフレ率の予測を38%としているが、9月消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率は49.38%で高止まりした。従来、市場には中銀が早ければ11月にも利下げを開始するとの見方があったが、今回の声明を受けて開始は来年以降にずれ込むとの見方が広がっている。次回10月のCPIは11月4日に発表される。また、次回のトルコ中銀金融政策決定会合は11月21日に開催される。
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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トルコリラの焦点 中銀がインフレ鈍化の過程にリスクを指摘利下げ先送りを示唆 FX予想
ドルトルコリラを20.0000~30.0000、ドル円を130.00~150.00としましたので、これから算出されるトルコリラ円の最大想定レンジは、4.33から7.50となります。
トルコのCPIはリラ相場を動かす可能性がある。しかし、トルコリラ円(TRY/JPY)に限るならば、今日以降の米経済指標とドル円(USD/JPY)の反応がより重要となろう。
しかし、サービス部門のインフレ率は高止まりしている。また、6月の中銀調査でトルコの家計が予想する1年後のインフレ率は72%と中銀の予想(24 年末のCPI上昇率の予想中央値が前年比38%、25年末が14%)とかなりの乖離が見られる。不穏な中東情勢がエネルギーの上昇要因となるリスクがくすぶっていることも考えるならば、利下げのタイミングは後ずれする可能性があろう。ゆえに8月CPIがリラ売りの要因となっても、それは一過性の要因と捉えたい。
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今日のトルコリラ円はまず、8月CPI後の動きに注目したい。上で述べたとおりトルコ中銀が抱くインフレリスクへの警戒感は根強く、9月19日の会合では政策金利を現在の50%に据え置く公算が大きい。この状況で8月CPIが予想どおりかそれ以上に鈍化すれば、実質金利はさらに上昇しよう。実質金利の上昇はトルコリラのサポート要因になり得る。
トルコリラ円(TRY/JPY)は現在、テクニカルの面で分岐点にある。その分岐点とは、短期の上値抵抗線の攻防である。昨日は21日線の上方ブレイクに成功したが、上値抵抗線で上昇が止められた。今日はこのラインを意識した動きとなっている。
しかし、エルドアン大統領が率いる公正発展党はもともと親イスラム政党であり、政教分離を快く思っていなかったエルドアン氏と政教分離を守ろうとする軍部との対立が次第に激化し、遂に2016年には、エルドアン大統領の追い落としを狙った「軍事クーデター」が発生しました。この時も、トルコリラ相場は、大きく調整しました。公正発展党による低所得者対策などが功を奏し、国民がクーデターを支持しなかったことでクーデターは、失敗に終わりましたが、現在もエルドアン大統領の独裁的・強硬姿勢から政権の不安定さは続いています。
トルコの実質金利(政策金利-インフレ率)は現在、マイナス圏にある。しかし、8月消費者物価指数(CPI)で予想以上にインフレが鈍化する場合は、同国の実質金利の押し上げ要因になる。
またコロナウィルスの蔓延、ロシアのウクライナ侵攻を受けた商品や穀物価格の高騰で、トルコのインフレは、既にハイパーインフレ状態です。一方エルドアン大統領は、全く考えを変えず、トルコリラの歴史的な下落が続いています。国民の不満も高まっていますが、2023年の総選挙では、エルドアン大統領が再選されました。また、同氏は中銀の総裁として、初めて女性で、元ファースト・リパブリック・バンクの共同最高経営責任者である、ハフィゼ・ガイ・エルカン氏を指名しました。同氏は、それまで政権よりだったカブジュオール元総裁とは異なり、インフレの撲滅のために、政策金利を強く引き上げていますが、それでもトルコリラ安は全く止まっていません。2024年もトルコでは、インフレの抑え込みと通貨安の防衛が、最大の課題となりそうです。
一方、さえない内容となれば、「米金利の低下→米ドル売り→ドル円の下落」を受け、トルコリラ円は下値をトライする展開が予想される。
一方、さらなるインフレの鈍化は、外為市場にトルコ中銀の利下げを意識させる要因でもある。
異常な物価高のさらなる抑制とそれに伴う実質金利の上昇は、トルコリラにとってポジティブな要因である。
トルコ中銀は、現在毎月金融政策決定会合を実施しています。
本日、トルコリラ円が10日線を目指す要因として注目したいのが、上で取り上げた今晩の米ISM製造業景気指数である。市場予想の47.5を下回る場合は、「米ドル安→ドル円の下落→トルコリラ円の下落→10日線のトライ」を想定しておきたい。
産業面では、工業は軽工業が中心で、繊維・衣類分野の輸出大国です。また、世界の大手自動車メーカーが、トルコに財閥と合弁で工場を持っていることから、ヨーロッパ向け自動車輸出が盛んで、観光収入と合わせて、有力な外貨獲得源になっています。
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