11月に入り1日の日経平均は大幅続落。終値は1027円安の38053円。米国株安を嫌気して、寄り付きから500円を超える下落。ナスダックの下げが大きかったこと、注目度の高いレーザーテックの1Q決算が市場の期待に届かなかったことなどから、グロース株の下げが大きくなった。800円程度下げたところでいったん切り返したが、三連休を前に戻りは限定的。売り直されて安値圏で前場を終えると、後場は買い手不在の様相が強まり、下げ基調が続いた。終盤にかけては一時下げ幅を1100円超に拡大。38000円を割り込む場面もあり、4桁の下落で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆4900億円。業種別ではプラスはガラス・土石の1業種のみで、金属製品や銀行が小幅な下げにとどまった。一方、非鉄金属、輸送用機器、電気機器などが大きく下落した。上期は減益着地となったものの、資本政策の見直しや自己株取得を発表した東リが、後場に一時ストップ高となるなど急騰。半面、SUBARUは上期決算発表直後に瞬間的にプラス転換したものの、11.5%安と値幅を伴った下げとなった。円安影響などから通期見通しは据え置いたものの、生産台数や連結販売台数の見通しを期初から引き下げたことが嫌気されたもよう。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり219/値下がり1404。総合電機株の決算反応が良く、パナソニックHや富士電機が大幅上昇。三菱電機は14.2%高と急騰した。旭化成や牧野フライスが急伸。TDKはハイテク株に逆風の中で大幅安スタートとなったが、自身の決算は買い材料となり終値ではプラスを確保した。好決算に加えて自己株取得が評価されたFPGが上場来高値を更新した。
一方、レーザーテックが16.4%安、ソシオネクストが14.9%安と、決算を材料に半導体株の一角が暴落した。ナスダック大幅安に加えて傘下のアームも米市場で急落したことから、ソフトバンクGが5%台の下落。電機株は買われるものも多かったが、下方修正を発表した富士通は急落した。東北電力やIMAGICAが2桁の下落率となり、エンプラスはストップ安まで売り込まれた。
日経平均は大幅安。ただ、きょうは下に値幅が出ても仕方ない。日銀会合後の円高が雰囲気を悪くした中、今週、史上最高値を更新したナスダックが大きく崩れたとなると、どうしても売りは出てくる。本日の米雇用統計でそれほど円高が進まなければ、三連休明けはきょうの反動で買いが入る展開も期待できる。きょうの終値は38053円で、13週線(37985円、1日時点、以下同じ)近辺で週を終えた。この下には52週線(37445円)が控えており、これらがサポートとして機能するかが来週の焦点となる。
11月5日から取引時間が30分延長される。間延びするだけとの見方もあるが、これに伴って決算発表の時間を変更する企業も出てきている。一例を挙げると、これまで引け後に決算を発表していたホンダは、今回は発表予定日は11月6日で、適時開示が13時、決算資料の開示が15時、決算説明が15時05分を予定している。この6日はトヨタも決算発表を予定しており、自動車大手2社の決算を取引時間中に消化することになる。場中の決算発表は値が飛ぶリスクがあるが、最近では引け後に出したとしても値は飛ぶ。前日の米国影響を消化した後、場中に決算を出した方が、株価の乱高下を抑制できるかもしれない。デメリットが少なければ、この先は決算発表時間を早める企業が増えてくるだろう。企業のIRの変化にも注目しておきたい。
【来週の見通し】
波乱要素は満載も堅調か。東京市場では月曜4日が休場。三連休明けの火曜5日からは取引時間が30分延長され、引けの時間が15時から15時30分に変更される。米国では5日の大統領選投開票が大きな注目を集め、直後6日~7日の日程でFOMCが開催される。国内では、任天堂、三菱重工(5日、日付けは予定、以下同じ)、トヨタ、ホンダ(6日)、NTT(7日)など、注目企業の決算発表が目白押しとなる。米国の大統領選は結果が出れば先行き不透明感の払しょくにつながる。今回のFOMCでは0.25%の利下げが濃厚で、FRBの緩和的なスタンスが継続するとみられている。国内では決算を材料に個別物色の活況が見込まれる。これらの点から、多少振れ幅が大きくなったとしても、買いが入りやすい地合いを予想する。
なお、米大統領選の開票に関するニュースは日本では6日の午前中から消化することになるが、大接戦が伝わっているだけに結果の判明には日数を要する可能性がある点には留意しておきたい。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 株式明日の戦略4桁下落も週間ではプラス 米大統領選が決着の時を迎える
賃金の動向はFRBが最も注目するデータの1つであり、消費者物価と並列して賃金も上昇し、インフレ懸念が再びくすぶるようなことがあれば、利下げのタイミングが一段と遠のく。株式市場にとって好ましくないシナリオだ。
円安は外需型企業の業績改善につながるため、株式相場にとってマイナス材料とは言い切れない。一方で輸入物価の上昇によって景気回復の足かせになるのも事実だ。日銀の植田和男総裁が指摘するように、急激な相場変動は認めないというのが当局のスタンスなのだろう。円買い介入のあった水準の1ドル160円より円高の水準、すなわち1ドル150円台ならば、当局は容認するとも見て取れる。この水準であれば、日本の外需企業にとってメリットがあるといえる。
コメント