対ドル相場でドル買いポジションを組む戦略へ【明快!テクニカルレビュー】
動画配信期間:公開日から3カ月間
目次
0:00 今回のダイジェスト
0:47 ドル円分析
2:21 ユーロ円分析
3:05 ポンド円分析
3:38 豪ドル円分析
3:56 対円通貨ペア分析まとめ
4:24 ユーロドル分析
5:09 ポンドドル分析
5:37 豪ドル米ドル分析
5:50 まとめ
6:38 【PR】口座開設特別キャンペーン
【CFD】WTI原油・S&P500・金(ゴールド)の展望
動画配信期間:公開日から3カ月間
目次
0:00 WTI原油チャート分析
0:54 米株(S&P500)・金(ゴールド)チャート分析
1:38 【PR】口座開設特別キャンペーン
大手銀行で為替・債券・スワップ市場のチーフディーラーとして活躍した経験を持つ百戦錬磨のプロトレーダー、井上義教氏が、毎週掲載される「FX ウィークリーテクニカルレポート」のレビューを明快に解説いたします!
動画の要約・まとめ
ドル円の状況
直近の動き
– 週内は陽線続きから金曜の陰線出現
– 実体線が短期移動平均線を下回る
– 上昇トレンド継続への懸念
チャート評価
– 3本の移動平均線は上向き基調維持
– 終値は比較的高水準を維持
– 単独での上昇継続は困難か
ユーロ円分析
– 週間安値を下回る展開
– 短期・中期移動平均線がデッドクロス
– 長期移動平均線のみがサポート
ポンド円分析
– 金曜日の陰線が重要
– ドル円との連動性低下
– チャート悪化の兆候
豪ドル円分析
– 比較的安定した推移
– 金曜日の陰線で若干弱含み
– 買い材料の不足
ユーロドル分析
– 週を通じて陰線続き
– 短期移動平均線による上値抑制
– ダイバージェンスの解消
ポンドドル分析
– ユーロドル以上に弱い展開
– 木曜の下落を回復できず
– 下向きプレッシャーの強まり
豪ドル米ドル分析
– 一定水準は維持
– 買い材料に乏しい
– 戻り売りの可能性
CFD市場見通し
WTI原油
– 9月以来の安値水準
– 3本の移動平均線が下向き
– 売りトレンドの形成
金(ゴールド)市場
– 強気相場からの調整
– 方向感の喪失
– 買い介入の困難さ
今後の展望
トレンド予測
– 円安一服の可能性
– ドル強さの継続
– 商品市場の弱含み
トレード戦略
– 対ドルでのドル買いポジション検討
– 原油の売りトレンド注目
– 金は買い控え推奨
結論
全体的に通貨市場ではドル強さが継続する一方、円安の一服感が出てきています。個別通貨ではユーロ、ポンドの弱さが目立ち、対ドルでの取引機会が増えそうです。商品市場では特に原油の売りトレンドに注目が集まります。
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「FX ウィークリーテクニカルレポート」
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井上義教 氏
株式会社チャートリーディング 代表取締役 昭和39年東京都生まれ。 昭和63年大阪大学経済学部卒業、同年大和銀行入行、平成3年よりロンドンの証券現法にてディーリング業務に従事。 平成15年に退社するまで為替・債券・スワップ市場を歴任、チーフディーラーとしてチームを統括。 平成28年 株式会社チャートリーディング設立とともに代表取締役に就任。
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また 足元のドル円は金利差対比で円安水準にある(図表1)
■しかし、こうした「安い円を更に売る」理由は、足元では急速に解消しつつあります。例えば、ここ数年、ドル円と高い相関を保ってきた日米の実質長期金利差(10年国債利回り)は、ここもとの円金利の上昇でにわかに縮小しつつあります(図表5)。また、中国景気の悪化やサプライチェーンの混乱が落ち着いたことから原油価格は大きく調整しており、日本の貿易赤字は大きく縮小するとともに、経常収支は大幅な黒字基調に回帰しています。
■こうしてみると、一つの大まかな目安として、日米の短期金利差が5%を下回り、更にドル円の1カ月のヒストリカル・ボラティリティが8%を超えてくると、「行き過ぎた円安」が大きく巻き戻すきっかけとなる可能性が出てきそうです。ちなみに、足元の日米の同3カ月物金利の差は5.31%(6月5日現在)ですので、政策金利に概ね連動して動く短期金利の差は、日米の政策金利が0.31%以上反対方向に動くと、5%の閾値を下回ってくる可能性が高まります。
米大統領選挙のアノマリーにも注目したい。投票日の75営業日前ごろから投票日にかけて、ドル円は平均2%弱程度ドル安となる傾向がある。選挙後はドル高に転じ、投票日から100営業日後には、平均して2.8%程度、ドルが買い戻されている(図表7)。選挙前には政治不透明感が高まりやすく、米国から資金を退避させる動きが強まるため、相対的に円が買われやすい。選挙後はそうした不透明感が払しょくされるため、ドルが反発する。2024年の米大統領選挙についても、こうした思惑が高まりやすいだろう。
■こうした「金利差5%」を閾値(しきいち)としたドル円の方向感の違いには、為替市場のボラティリティ(市場の変動率のこと)が関係しているのかもしれません。というのも、金利差が縮小してくると、為替市場の変動により生じる損失を金利差ではカバーしきれないケースが増えてくるからです。
また、投機筋のポジション調整によるドル円の変動にも留意を払う必要があろう。図表4は、2018年以降の日米金利差と、投機筋のドル円の取引動向を示すIMM円ポジションの散布図である。過去の実績では、日米金利差が3%程度3の場合、IMM円ポジションの平均値は▲6.0万枚、中央値は▲6.8万枚と、円売り超のポジションとなっていた。一方で、足元投機筋はネットで円買いポジション(2.3万枚)を構築している。すなわち、先行き不透明感が後退すれば、投機筋が円売りポジションを再構築する可能性も十分にあることを示唆している。仮にそうした動きが生じた場合、推計値(1ドル=142円)対比で、円安水準で推移することになるだろう。
以上を踏まえ、2024年のドル円は円高・ドル安を予想するが、円安リスクも2点指摘したい。
■ここ数年の円安ドル高トレンドをけん引してきたのは、日米金融政策の両股開きを背景とした、金利差の拡大が大きかったように思われます。とはいえ、過去にも日米金利差が大きく開いた時期は幾度もありましたが、ドル円がいつも素直に金利差に反応してきた訳ではありません。
また、選挙後のドルの買い戻しは、民主党が勝った場合でも、共和党が勝った場合でも起こっている点は興味深い(図表8)。勝利政党の政策運営方針等をドル円が材料視するというより、単に政治不透明感の払しょくによってドルが買い戻されていることの証左であるといえよう。
また、足元のドル円は金利差対比で円安水準にある(図表1)。米債券市場では、2024年のFRBによる利下げを織り込む動きが進んでいる一方、ドル円は十分に織り込んでいないとみられる。今後、FRBの利下げを織り込む動きが進めば、金利差との乖離を解消する形で、円高が進行するだろう。
2023年のドル円は、日米の金融政策見通しに振り回される1年となった。
■また、より広範なモノやサービスの価格をカバーする購買力平価(Purchasing Power Parity、PPP:2国間のインフレ格差から為替レートの適正水準を探る分析手法)で見ても、円の割安感は際立っています。具体的な数字で見てみましょう。足元のドル円レートは約156円(2024年6月5日時点)ですが、日米の消費者物価指数(CPI)の格差で計算したPPPは1ドル106円97銭、生産者物価指数(PPI)で計算したPPPは1ドル89円83銭となっています(図表3、4、いずれも4月末時点)。もし、CPI基準のPPPまでドル円が調整すると約49円(約31%)の大幅な円高に、PPI基準のPPPまで調整すると約66円(約42%)の「円急騰」が生じる計算になります。
■1995年12月末以降、約28年間のデータを見ると、日米の短期金利差(3カ月物の銀行間取引金利)が5%超の時期、ドル円の3カ月(60営業日)の騰落率は平均約1.48%のドル高となっています。また、より細かいレンジで見ると、金利差が拡大するほどドル高の傾向が強まります。しかし、同金利差が5%を下回り、4.5%以上5%未満のレンジに切り下がると、ドル円の騰落率は同約0.53%のドル安となっています(図表6)。
■もちろん、ドル円のスポットレートは様々な参加者が多様な動機のもとに取引しているので、短期的にはPPPから乖離するのはむしろ当然といって良いでしょう。しかし、長期的に見るとドル円の推移はPPIベースのPPPを中心に±2標準偏差のレンジにほぼ収まることが確認できます。また、ドル円がCPIベースのPPPを上回って推移するのは、1971年の変動相場制移行後はごく僅かな時間帯に限られています。そう考えると、紛争や財政破綻、金融危機といった「よほどの事態」が日本に差し迫っているのでなければ、現状のPPPから見て行き過ぎた円安は持続不可能なように思われます。
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