採用難で初任給の市も 今後は
2025年度の非正社員の採用状況について尋ねたところ、『採用予定がある』(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)企業は前年度比4.2ポイント減の41.7%と2年連続で低下した。
帝国データバンクの調査によると、2025年度に賃上げを見込む企業は61.9%と、初の6割台に到達しました。社会全体の賃上げ傾向は、今後も続いていくものと予想されています。
従来、わが国では企業の人事担当者が他社の担当者と定期的に、賃金制度や賃金相場などについて情報交換を行っているとされてきたことからも、横並びの背景として採用側の協調行動による説明も捨てきれないだろう。企業は協調行動を通じて、初任給を例えば生産性より低い水準に決めることで、それを起点として右上がりの賃金カーブを設定し、年功的賃金体系と長期雇用の維持が可能となっていた可能性が考えられる。
こうした傾向は、近年の人手不足感の強まりや労働力人口の相対的な高年齢化などによって、今後も続く可能性が考えられる。初任給の「横並び構造」が崩れ、ばらつきが大きくなることは長期雇用や年功的賃金体系などを軸とした日本型雇用慣行の変化を示唆しているとも考えられる。
2025年度における正社員の雇用動向について、『採用予定がある』企業の割合は58.8%で、コロナ禍の2021 年度以来 4 年ぶりに6割を下回った。非正社員は前年度から4.2ポイント低下し41.7%となった。特に中小企業では人手不足にも関わらず、厳しい経営状況や人件費の高騰で求人を控えるほか、賃上げが難しく採用難に陥るケースも少なくない。業界別では、正社員・非正社員ともに『運輸・倉庫』で採用を予定している企業の割合が最も高かった。
一方で、『採用予定はない』企業からは、「製造現場におけるパート職員を募集しているものの反応が薄く、採用に至っていない」(飲食料品・飼料製造、中小企業)といった声が聞かれた。また、「非正社員は格差是正の動きもあり、雇うメリットがほぼないため減らしていく」(その他サービス、大企業)や、「ここ最近の最低賃金の上昇により、業務内容と非正社員の賃金とのつり合いが取れなくなってきた。非正社員の雇用継続について極めて厳しい判断を迫られる可能性が出てきた」(運輸・倉庫、中小企業)など、非正社員の賃金上昇傾向を受けて、採用を抑制する企業もみられた。
初任給だけでなく、採用活動全体にかかるコストも考慮する必要があります。魅力的な初任給を提示しても、採用活動がうまくいかなければ、コストだけが増加するという事態も起こり得ます。
他方、『採用予定はない』は同1.5ポイント増の28.5%と2年連続で上昇した。
業界別では、『運輸・倉庫』が53.0%で最も高く、『農・林・水産』(51.5%)も5割台で続いた。企業からは、「雇用の多様性をもって人材確保に努める。高齢者雇用について力量評価をしたうえでのパート採用を積極的に行う」(一般貨物自動車運送、中小企業)や、「非正社員しか採用を行っていないが、もう少し売り上げが上がったら、正社員も採用したい」(米作農、小規模企業)といったコメントがあがった。
本調査では、2025年度における正社員の雇用動向について、『採用予定がある』企業は58.8%で、新型コロナの影響が大きかった 2021 年度以来 4 年ぶりに6割を下回る結果となった。また、非正社員は前年度から4.2ポイント減の41.7%だった。業界別にみると、正社員・非正社員ともに引き続き「2024年問題」への対応に直面している『運輸・倉庫』で採用を予定している企業の割合が最も高かった。また、正社員の採用見込みを採用形態別にみると、「新卒新入社員」が37.1%、「中途社員」は51.0%となった。特に「中小企業」では新卒新入社員への教育にかける余裕のなさや、大企業との初任給の格差拡大により中途社員採用を見込む企業の割合が新卒新入社員より大幅に高くなっている。
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帝国データバンクが実施した調査では、2025年2月時点で正社員が不足している企業の割合は30カ月連続で5割台と高水準で推移している。そうした状況にもかかわらず、本調査では2025年度の正社員・非正社員の採用見込みが低下する結果となった。特に中小企業においては、深刻な人手不足の状況下で採用意向はあるものの、経営状態が厳しく、賃上げの流れで上昇していく人件費の原資を確保できず採用を控えざるを得ない企業は少なくない。また、採用活動を行ったものの、賃上げができないまたは少額にとどまるため応募がないなど、条件面で大企業など他社に劣るケースも多くみられる。
この資料でわかること 年度ごとに動く新卒採用において、年間スケジュールの設計は非常に重要な役割を持ちます。 年間計画の解像度が低いと、母集団形成や採用選考も場当たり的なものとなっていき、採用計画の達成が難しくなる可能性もあります。 本資料は、理系学生の学事行事と新卒採用のスケジュールを組み合わせた実 ...
初任給の引き上げが求められる背景には、賃上げ気運の高まりや、採用競争の激化などがあります。
初任給については、特に正社員で見られる企業の人手不足感の歴史的な高まりや、労働力人口での若年層比率の低下、加えて若年世代の離職率の高まりを背景に、新卒時点で優秀な人材確保を狙いに大幅な引き上げを行う企業がみられる。その一方、同規模・同業種の競合他社ほどの引き上げに踏み切っていない企業もあり、賃金設定がほぼ横並びであった新卒採用市場に急速な変化が予想される。
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