
陰線引け。目先の支えになるか注目していた一目均衡表・転換線148.37円を下抜け、一目・雲の上限147.94円も下回った。一目・基準線147.73円も割り込む147.65円まで下落幅を拡大した。
同水準では下げ渋り、雲の上限回復をうかがう様相。基準線前後の底堅さを維持し、雲の上へ浮上できるか見定めたい。148.04円へ切り上がった雲上限は強い抵抗にならないとみるが、148.35円前後で低下中の200日移動平均線付近からは上値が重くなりそう。上昇が続く見込みの転換線へ追随して戻すことへの期待は後退した。
レジスタンス1 148.61(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 147.90
サポート1 147.20(9/19安値)
サポート2 146.80(日足一目均衡表・雲の下限)
(関口)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
テクニカル 日足テクニカル ドル円転換線へ追随して戻す期待後退
チャート:ドル円の日足、20日移動平均線は黄色線、ボリンジャー・バンドの±2σは紫の枠。
ドル円の方向性を占う上で重要なポイントのひとつは、FRBの金融政策です。
以上を踏まえると、ドル円は2022年後半のように上方向一辺倒でのドル高が進むとは想定しづらい。4月12日公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、金融不安への配慮がにじんでいたほか、FRBスタッフが年後半の景気後退入りを予想していたことが分かった。ドル円は目先こそ買い戻しが優勢でも、米景気減速を確認する指標や決算内容などを受け、徐々に頭が重くなりそうだ。今週は米住宅指標が目立つ程度で大きなイベントを予定しないため、ドル円の上値の目途は心理的節目の135円、下値は20日移動平均線がある132.30円と見込む。
経済のファンダメンタルズの観点に加え、米利上げの終了が近い状況を踏まえれば、ドル円の上値は引き続き限定的と見込む。経済のファンダメタルズでは、物価の減速トレンドを確認し(今週のトピックスをご参照)、米3月鉱工業生産で製造業が過去5カ月間で3回低下したように、企業の設備投資なども鈍化の兆しをみせている。
チャート:ドル円の日足チャート、米10年債利回りにつれて買い戻し(白い枠が3月27日週の動き、緑線は米10年債利回り、左軸)。
振り返れば、バイデン政権の経済政策チーム、国家経済会議(NEC)の委員長にハト派のFOMC参加者として知られたブレイナードFRB前副議長が就任。FRBは中央銀行として独立性を有するとはいえ、バイデン政権がFRBに対し、金融政策姿勢をインフレ最優先から信用収縮・景気へ配慮する方向にシフトするよう要請するシナリオがみえてきました。こうした方向転換が実現すれば、ドルの上値を重くさせることでしょう。
問題は、財価格の押し下げが続くか否か。4月2日にOPECプラスがサプライズの追加減産に踏み切った結果、WTI原油価格は80ドル付近がフロアになったと捉えられます。足元のガソリン価格の上昇もあって、今後急数カ月は鈍化ペースが限定的となる見通しだ。
JPMのジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は、決算後の説明会で2023年の純金利収入につき810億ドルと、前回予想の740億ドルから上方修正した。ただし、JPMの見通し引き上げは今年の利下げを織り込んだ数字で、預金者への金利支払いが低下すると想定がある。また、JPMのような大手行であれば預金者への金利引き上げに対応できても、中堅・中小銀行が大手との競争に追随できるか疑問が残る。預金者への金利負担の上昇は銀行の利益率の低下につながり、貸出金利のさらなる引き上げを招き、米景気にはマイナス材料だ。
・週初は、米3月雇用統計が堅調な労働市場を示した流れを受け継ぎ買いが優勢に。植田新日銀総裁が緩和政策を維持する姿勢を打ち出したことも、政策修正期待をはく落させドル円でのドル買い・円売りを促した。


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