
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年10月17日 16時30分
フランス予算審議入りも先は見通しにくい、英国は次の材料待ち
ユーロ/円、ポンド/円はリスク回避の流れ
ユーロ/円やポンド/円は上値の重い展開。米ドルが軟調となる中、ユーロやポンドは対米ドルでは底堅く推移したものの、クロス円では円買い戻しの流れが優勢となり、ユーロ/円は176.912円の高値をつけた後に175.00円割れまで、ポンド/円は203.515円の高値から201.00円割れまで下落しました。米中の貿易摩擦激化懸念や、米銀行の不正融資疑惑などがリスク回避の円買いを強めました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研TEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
底堅さ維持でも、上値も限定か
ルコルニュ仏首相に対する不信任動議は否決され、当面の最悪シナリオは回避され、予算案の審議開始への道筋がつきました。首相は左派・社会党の支持を得るため、年金制度改革の凍結や財政健全化、議会採決なしで法案成立を可能にする憲法条項の放棄などを発表しています。短期的にはユーロおよびフランス国債にとって好材料と受け止められていますが、予算案が最終的に可決されるかどうかは依然として不透明です。米ドル安の受け皿となっている側面もあり、底堅さは維持されていますが、ここから上値を伸ばせるかどうかは不確定です。
また、英国では6〜8月の失業率が4.8%に上昇し、賃金の伸びも予想以上に鈍化したことで、英中銀の緩和期待が一部で再浮上しつつあります。一方、別の報道では就業者数が増加し、求人数の減少も今年初め以降で最も緩やかだったことから、雇用市場の減速が底を打ち始めたとの見方も出ており、労働市場を巡る評価は分かれています。
なお、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場では、年内の利下げ織り込みはほとんど進んでいません。22日に発表されるCPIなどの物価指標を注視しつつ、今後のデータの蓄積を待つ展開となりそうです。ポンドは短期的には底堅く推移すると見られますが、ポンド/円はリスク回避による円高への警戒感から、上値が抑えられる可能性もあります。
ユーロ/円・ポンド/円、窓埋め注意(テクニカル分析)
ユーロ/円は、5月23日の安値161.083円と7月28日の高値173.883円を結ぶフィボナッチファンの50%ラインを割り込み始めています。175.11円付近を推移する20日移動平均線付近で踏みとどまり、上のレンジへ戻す展開も期待できますが、上値を切り下げる展開が続く場合は、下のレンジでの推移が定着しそうな雰囲気です。
下方向では、10月第1週から第2週にかけて開いた窓を埋める展開がまずは意識され、173.00円付近を目指す可能性があります。一方、上方向へ向かっても、177.00円付近で上値が抑えられるのではないかと考えています。
また、ポンド/円は205.323円を直近の高値として上昇が一服し、調整地合いが続き、9月18日の高値201.260円を下回っています。日足一目均衡表の雲上限が位置する200.00円付近が次の支持帯と考えられますが、ここも下回るようであれば、100日移動平均線が推移する198.65円付近を試す可能性があります。戻り局面では、204.000円を超えられるかどうかがポイントとなります。
【ユーロ/円チャート 日足】

出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:EUR/JPY:172.500-177.500
【ポンド/円チャート 日足】

出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:GBP/JPY:198.000-204.000
10/20 週のイベント:

一言コメント
政界では公明党の連立離脱が世間を“あっと”言わせましたが、波乱は政界だけにとどまりません。春の選抜出場校を決める地方大会でも、常連校が相次いで敗れています。今度の選抜では新鮮な顔ぶれによる戦いが見られそうで、今から楽しみです。
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来週の為替予想 ユーロ 円
2028年10月のユーロ円見通し。当月始値 215.34、最低 207.36、当月最高 215.34。平均 212.14。月末 210.52。変更 -2.2%。
2028年6月のユーロ円見通し。当月始値 214.87、最低 211.50、当月最高 217.94。平均 214.76。月末 214.72。変更 -0.1%。
ユーロドル(EUR/USD)は下落トレンドへ転じている。しかし、ユーロ円(EUR/JPY)は底堅さを維持している。このトレンドは、英ポンドも同じである(詳細はこちらのIG為替レポートを参照)。
2029年3月のユーロ円予想。当月始値 218.22、最低 218.22、当月最高 228.14。平均 222.34。月末 224.77。変更 3.0%。
最新のユーロ円為替レート 175.66円。日の範囲の 175.49 - 177.89円。前日 177.72円。前日比 -1.16%。
ユーロ円は現在、164.00レベルがレジスタンスのラインとして意識されている(下の日足チャート、緑ラインを参照)。ユーロドルの下落が重しとなっているが、150円を視野に底堅さを維持するドル円(USD/JPY)に支えられている状況を考えるならば、ユーロ円はドル円にらみの展開と言える。
2029年10月のユーロ円見通し。当月始値 235.81、最低 225.83、当月最高 235.81。平均 231.68。月末 229.27。変更 -2.8%。
2028年7月のユーロ円予想。当月始値 214.72、最低 214.72、当月最高 222.29。平均 217.68。月末 219.00。変更 2.0%。
2027年2月のユーロ円見通し。当月始値 191.12、最低 182.61、当月最高 191.12。平均 187.56。月末 185.39。変更 -3.0%。
162.00の下方ブレイクは、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準161.62レベルをトライするサインと捉えたい(下の1時間足チャートを参照)。ユーロ円がこのテクニカルラインをも下方ブレイクする場合は、21日線そして161.00を視野に下落幅が拡大する可能性を意識したい。
明日の9月小売売上や週間の新規失業保険申請件数が米ドル買いの要因となれば、ドル円は150円台へ上昇することが予想される。ユーロ円は164.00レベルを突破する展開を想定しておきたい。
2027年4月のユーロ円見通し。当月始値 187.47、最低 187.26、当月最高 192.96。平均 189.45。月末 190.11。変更 1.4%。
2029年6月のユーロ円見通し。当月始値 227.58、最低 227.58、当月最高 237.93。平均 231.88。月末 234.41。変更 3.0%。
2029年9月のユーロ円予想。当月始値 231.13、最低 231.13、当月最高 239.35。平均 234.36。月末 235.81。変更 2.0%。
2029年8月のユーロ円見通し。当月始値 233.95、最低 227.66、当月最高 234.60。平均 231.84。月末 231.13。変更 -1.2%。


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