【見通し】ロンドン為替見通し=月末フローに注意、指標は独CPIやスイスGDPなどに注目

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【見通し】ロンドン為替見通し=月末フローに注意、指標は独CPIやスイスGDPなどに注目

本日のロンドン為替市場では、複数の経済指標を確認しつつ、月末に絡んだフローに注意した取引か。経済指標は、ドイツから10月小売売上高や、11月の雇用統計と消費者物価指数(CPI)が発表予定。フランスからも11月CPIや7-9月期国内総生産(GDP)改定値、スイスから同四半期GDPや11月KOF景気先行指数が発表される。また、ナーゲル独連銀総裁が講演する予定。

 昨日は欧州中央銀行(ECB)が10月29-30日分の理事会議事要旨を公表。そこで「ECB当局者が利下げを急いでいない」ことが判明した。「高い不確実性が続く中、一部当局者からは利下げサイクルは終了した」との見方も示されている。それまで上値が重かったユーロドルは議事要旨後に下値を切り上げたが、1.16ドル台では再び伸び悩んだ。

 本日は、ユーロ圏経済の牽引役であるドイツから複数の経済指標が発表される。その中でも欧州午後の11月CPIには注目したい。予想は前月比-0.2%と前回0.3%から下振れだが、前年比は2.4%と前回から0.1ポイント加速する見込み。

 夏前にやや鈍化した独CPIだが、それでも低下は2.0%までだった。本日インフレの底堅さが確認できるようだと、ECB利下げサイクルの終了も現実味が帯びてくるかもしれない。なお、欧州前半からドイツ各州のインフレ指標が発表される。こちらの結果が極端に振れるようであれば、独CPI前にユーロドルは動意づきそうだ。

 ほか、欧州前半に発表される7-9月期スイスGDPも注目ポイントの1つ。前期比、前年同期比ともに前四半期から低下予想だが、特に前期比は-0.4%と2021年以来のマイナス成長が見込まれている。結果を確認後に、スイス中銀がさらなる緩和に追い込まれるとの思惑が高まるかもしれない。

想定レンジ上限

・ユーロドル、13日高値1.1656ドル

・ユーロスイスフラン、9月5日高値0.9396フラン

想定レンジ下限

・ユーロドル、25日安値1.1512ドル

・ユーロスイスフラン、21日安値0.9276フラン

(小針)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ

[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル 【見通し】ロンドン為替見通し=月末フローに注意、指標は独CPIやスイスGDPなどに注目

見通し ロンドン為替見通し月末フローに注意 指標は独CPIやスイスGDPなどに注目

2025年7月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.17%上昇、日経平均株価も同1.44%の上昇となりました。 月前半の日本株式市場は、前月末の急騰を受けた利益確定売りが優勢となるなか、米国による相互関税の動向や参議院議員選挙で与党が苦戦するとの見通しなど、先行きへの不透明感が強まり、株価の動きは限定的となりました。また、米NVIDIAによる中国向けAI半導体の輸出再開報道や、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長解任を巡る話題など、強弱入り混じる材料が相次いだこともあり、株式市場は方向感に乏しく、もみ合いが続く展開となりました。 月後半に入ると、20日に実施された参議院議員選挙では、与党が非改選議席と合わせても過半数を獲得できなかったものの、市場では想定内の結果と受け止められたため、連休明けの22日の株式市場への影響は限定的に留まりました。翌23日には、日米通商交渉の合意が報じられたことで株価が一気に押し上げられ、24日のTOPIXは過去最高値を更新し、日経平均株価も急騰する展開となりました。その後は、急ピッチな株価上昇に対する過熱感から一時的な調整が入ったものの、月末には米ハイテク銘柄の好決算の影響などを受けて反発し、日本株式市場は前月末比で大幅高となって当月を終えました。

アジア株式市場は11月には堅調なパフォーマンスを記録しましたが、当月はまちまちの値動きとなりました。香港市場などは堅調でしたが、韓国、台湾、インドなどのパフォーマンスが振るいませんでした。⽇本を除くアジア太平洋市場に使⽤される⼀般的な指数であるMSCIアジア太平洋(⽇本を除く、⽶ドル建て)指数は、前月末比0.44%下落して⽉を終えました。中国のゼロコロナ政策が予想以上に早期に緩和されたことで、中国と香港の株式市場の地合いが改善しました。新型コロナウイルスの感染者数は今後数週間でいったん急増するものの、その後は中国のビジネスと経済は他国同様に正常化するというのが投資家の見方である模様で、航空、旅行、レストランをはじめとする経済再開の恩恵を受けると期待される銘柄が堅調に推移しました。また、中国政府が不動産セクターなどに対する規制を緩和したことも好材料と見なされたようです。 中国と香港以外では、FRBがさらなる利上げを行ったこと、2023年に世界経済の成長が鈍化するという懸念が広まったことなどから、投資意欲が低調気味でした。韓国と台湾は世界経済への依存度が高いことから、パフォーマンスが振るいませんでした。半導体関連銘柄は、2023年の短期需要見通しが下方修正されたため、株価が下落基調となりました。インドとインドネシアは2022年のパフォーマンスが他市場を上回ったために好材料に乏しく、投資家の関心は中国と香港株式の買い増しに向かいました。また、日銀が長期金利の誘導目標を修正したことも、円高の要因となりました。

当⽉、アジア株式市場は堅調に推移しました。⽇本を除くアジア市場に使⽤される⼀般的な指数であるMSCIアジア(⽇本を除く、⽶ドル建て)指数は、前月末比2.81%上昇しました。米国の経済指標が堅調だったことで、投資家心理が世界的に好転し、情報技術セクターを中心に米国の株価指数が軒並み上昇しました。AI(人工知能)の将来性に対する楽観論の広がりによって、アジアの情報技術関連銘柄が引き続き上昇し、中国が大規模な景気対策を打ち出すという観測も市場の下支え要因となりました。 当月は米国のブリンケン国務長官が中国を訪れ、習近平国家主席と会談しました。結果次第では米中関係が改善に向かうのではないかという期待感が広がりましたが、大きな進展はありませんでした。それどころか、米国は半導体製造装置と製品の対中輸出制限を強化する計画を発表し、中国も半導体製造、EV(電気自動車)、通信機器に不可欠な2種類の金属(ガリウムとゲルマニウム)の輸出を制限してこれに応じました。 一方、インドのモディ首相は米国を訪れ、温かい歓迎を受けました。同首相はApple社のティム・クックCEO(最高経営責任者)やTesla社のイーロン・マスクCEOら、米国を代表する企業のリーダーと会談し、今後の投資先としてインドを検討するよう促しました。インドの長期的成長見通しを肯定的に捉える見方が裏付けを得たことで、インドの主要な株価指数のNifty50指数とSENSEX指数が、当月ともに史上最高値を更新しました。

2024年9月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.53%の下落、日経平均株価は同1.88%の下落となりました。 月前半は米国のISM製造業景況感指数や雇用統計が予想を下回ったことで、米国経済の減速懸念が高まり市場心理に影響を与えました。さらに米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ期待と日銀の利上げ期待の高まりにより、月半ばにかけて円高が進行しました。このような状況の中、株式市場は一時的に下落した後、反発が見られたものの上値は重く、投資家は慎重な姿勢を維持しました。 月後半はFOMCが0.5%の利下げを決定した後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が緩和を急がない姿勢を示したことや、日銀が金融政策を現状維持したことから円高が一服し、輸出関連株や半導体関連株の買い戻しが進みました。また、自民党総裁選挙で高市早苗氏が当選し、金融緩和が再開されるとの見通しが高まったことで日経平均株価は26日から27日にかけて大きく上昇しました。しかし、最終的には石破茂氏が勝利し、経済政策への警戒感が高まったことなどから30日の日本株式市場は全面安の展開となり、前月末比で下落して当月の取引を終えました。

当⽉、アジア株式市場はまちまちの値動きとなりました。日本を除くアジア市場に使用される⼀般的な指数であるMSCIアジア(日本を除く、米ドル建て)指数は、前月末比0.46%下落しました。世界経済の減速、米国の債務上限問題、中国における製造活動の鈍化などが懸念され、投資家の間に不安が広がりました。米中関係には未だに緊張緩和の兆しが見られません。中国は「ネットワークセキュリティ上の深刻なリスク」を理由に、主要インフラプロジェクトで大手半導体メーカーであるMicron Technology社(米国)の製品の使用を禁止すると発表しました。米国政府が中国向け半導体製品の輸出を規制したことから、中国当局が対抗措置に踏み切ったという見方が広がっています。 中国では国営企業の改革が引き続き注目の的となっていますが、これは中国政府が国営企業のガバナンスと収益性の改善に向けた取り組みを強化しているためです。ある規制当局の高官は、投資家は中国国営企業の評価にあたって「中国らしい特色をもった企業価値評価システム」を模索すべきだと述べています。こうした要因から、当月は一部国営企業の株価が上昇しました。 当月の好材料としては、テクノロジー関連銘柄の上昇があげられます。半導体設計会社であるNVIDIA社(米国)が好決算と良好な業績見通しを発表したことを受けて、アジアの半導体関連銘柄に対する投資家心理が改善しました。同社の半導体は生成型AI(人工知能)「ChatGPT」などのアプリケーションに幅広く使用されており、過去数ヵ月にわたってそうしたアプリケーションの伸びが加速しています。台湾と韓国の株式市場では、テクノロジーセクターの好調な業績が最大の上昇要因となりました。

当⽉、当ファンドのパフォーマンスは前⽉末⽐7.38%の上昇、参考指数のMSCI AC Asia Index(円ベース・配当込み)は同6.86%の上昇となりました。 当⽉パフォーマンスにプラスに貢献した銘柄は、ソシオネクスト(半導体・半導体製造装置)、Classys(韓国/ヘルスケア機器・サービス)、三菱商事(資本財)などでした。一方、Indian Energy Exchange(インド/金融サービス)、FOOD & LIFE COMPANIES(消費者サービス)、H World Group(中国/消費者サービス)などがマイナスに影響しました。 当ファンドは当月、インドネシア企業の調査を目的にジャカルタを訪問し、銀行、生活必需品、鉱業、通信、自動車部品など、様々な業界の企業と面談を行いました。インドネシアの状況は、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、大きく変化しています。中でも顕著なのは、同国が製造業の川下への移行を進めていることです。同国はかつて、天然資源の一大輸出国でした。しかし、資源の輸出によって経済は天然資源価格の変動に晒され、付加価値もあまり生まれませんでした。そこでインドネシア政府は川下製造業の発展に力を入れるようになりました。その中できわめて有望な分野がEV(電気自動車)です。同国は一部のEVバッテリーの製造に不可欠な金属であるニッケルの埋蔵量が豊富です。同国は電池素材の製造インフラを構築中で、さらに川下産業であるEV用電池の製造を目指しています。それを裏付けるかのように、Contemporary Amperex Technology社(中国)やLG Energy Solution社(韓国)といった世界的なEV用バッテリー企業がインドネシアへの投資を進めています。同国が川下産業への移行に成功すればアジア地域のEV製造の架け橋になる可能性があり、それは同国に大幅な経済成長をもたらすと当ファンドは考えております。 企業調査の中でもうひとつ目についたのは、インドネシアにおける韓国製品の人気です。ジャカルタのレストランやショッピングモールに入ると、BGMがたいていK-POPであることに気づきます。消費財には韓国アイドルの顔が印刷され、韓国の即席麺や化粧品も人気です。また、インドネシアの企業が韓国製に似せた製品を販売しているものもありました。SM Entertainment(韓国/メディア・娯楽)所属の人気ガールズグループである「aespa」は、当月ジャカルタでのライブツアーを終えたところです。当ファンドはK-POPや韓国食品をはじめとする韓国製品の海外輸出動向をきわめてポジティブに捉えています。 当ファンドが面談した大手消費財企業の一部は、従来と同様の戦略を貫き、利益を上げながら着実に成長しています。インドネシアの消費者の志向に一貫性があり、変化が起きにくいことは、きわめて魅力的な特性です。インドネシア国内に大きな可能性がある一方で、一部のインドネシア企業は既に海外に目を向け、国外で成功を収めているものもあります。例えば、国内最大級の即席麺メーカーであるIndofood CBP Sukses Makmur(インドネシア/食品・飲料・タバコ)は、アフリカ地域や中東地域で好業績を上げ、ナイジェリア、エジプト、トルコなどで圧倒的な市場シェアを持っています。これらの国は人口が多く、即席麺の消費量がまだまだ低水準です。同社がこうした市場で継続的に地位を高め、アフリカ地域以外の国に進出することができれば、市場規模はインドネシアよりさらに大きくなる可能性があります。同社の海外事業は2022年に前年比約19%成長し、売上寄与度はおよそ30%近くに達しています。 ところで、新型コロナウイルス感染症の大流行によって様々な変化が起きたのは確かですが、変化していないこともあります。例えば、医療サービスの需給ギャップは依然大きく、拡大を続ける同国中間層の需要を満たすには供給がまだまだ不足しています。したがって、医療セクターには大いに投資機会があるとみてよいでしょう。 全般的にみて、当ファンドが話を聞いた現地の人々は比較的将来を楽観視していると感じられました。これはデータでも裏付けられており、インドネシア中央銀行の消費者信頼感指数(IKK)は過去最高値圏で推移しています。こうした楽観主義は今後数十年にわたって同国の成長の原動力になる、というのが当ファンドの見方です。インドネシアの未来を楽観視しているのは当ファンドも同様で、当ファンドは参考指数であるMSCI AC Asia Indexを上回る比率で同国銘柄を組み入れています。 なお、当ファンドは当月、ソシオネクスト(半導体・半導体製造装置)の組入比率を大幅に引き下げました。当ファンドは前年末より同社に投資を開始し、保有比率を引き上げていました。同社は自動車、5G(第5世代移動通信)ネットワーク、家電製品など、幅広い用途の顧客向けにカスタマイズされた半導体を設計する半導体設計サービスプロバイダーです。半導体は新しい石油のような存在で、その重要性はかつてないほどに高まっており、多くの企業が自力で半導体を設計することで、自社製品の性能を最適化しようと取り組んでいます。しかし、企業の多くはApple社(米国)やTesla社(米国)のようなリソースや能力を持ち合わせておらず、半導体を自社で全面開発することはできないため、ソシオネクストのような設計サービス企業と契約することで、カスタム半導体の設計と開発を行う必要があります。したがって、同社のような設計サービス企業は半導体市場全体を上回るスピードで成長する可能性があると考えられます。当ファンドは同社が自動車向けの半導体を多数手がけていることを高く評価しており、自動車向け半導体は製品サイクルが長期化する傾向にあり、さらに車載コンピュータの要件が厳格化してきていることで需要拡大が見込めると考えております。同社の株価は当月半ば、生成型AI(人工知能)の登場によってカスタマイズ型半導体需要が拡大するという期待感から、大幅に上昇しました。当ファンドでは、同社の高性能AI関連コンピューティングにおける立場はGlobal Unichip社(台湾)やAlchip Technologies社(台湾)といった競合他社ほど強くないと考えています。したがって、今回の株価上昇要因には何らかの読み違いがあり、短期的にみて過度な上昇であると考えています。そこで当月の上昇局面では組入比率を継続的に引き下げ、当月後半の株価調整直前に保有株式の半数以上を売却しました。長期的な見通しは依然良好であること、株価調整後のバリュエーションは適正に近いと考えられることから、引き続き少額のポジションを保有し、株価が大幅な割安水準に低下した時点で再び買い増す予定です。 一方、今年5月に組み入れたばかりのJSR(素材)は、日本の政府系ファンドである産業革新投資機構(JIC)からの9,040億円の買収提案を受け入れると発表しました。同社は半導体製造に不可欠な化学薬品であるフォトレジストの製造で世界をリードする企業です。同社がJICに買収されて最終的に上場廃止になれば、それは日本の半導体材料セクター再編の足掛かりとなるでしょう。半導体の重要性が世界的な高まりを見せるなかで、日本政府は自国半導体産業の競争力強化に向けた措置を講じています。日本の株式市場は、株主還元が改善することへの期待感から好調に推移しています。しかし、自社株買いや配当だけでは市場の持続的な上昇を促すには不十分であると当ファンドは考えます。政府が業界再編を主導するのもひとつの方法かもしれませんが、結局のところ企業は構造的に強くなり、いかに利益を上げるかを考える必要があります。当ファンドは同社の株価が買収報道を受けて上昇したあと、同社株式を売却しました。 2023年はここまでソシオネクスト(半導体・半導体製造装置)、ルネサスエレクトロニクス(半導体・半導体製造装置)、Samsung Electronics(韓国/テクノロジー・ハードウェアおよび機器)といった半導体関連の組入銘柄が大きくリターンに貢献したため、同セクターで引き続き新銘柄を発掘していく予定です。半導体のサプライチェーンは非常に長くて専門性が高く、国によって強みが異なります。例えば、台湾にはTaiwan Semiconductor Manufacturing Company(台湾/半導体・半導体製造装置)があり、その周辺で多数の設計会社がエコシステム(企業同士が協業・連携することで共存していく仕組み)を形成しています。一方、日本には世界有数の半導体材料や機器を取り扱う企業があり、異なる特徴を持つ企業がサイクルの様々な部分に棲み分けています。当ファンドの優位性は⽇本と他のアジア地域に資本を柔軟に配分できるという点にあり、当ファンドはアジアの半導体に対する投資機会を活用する上で有利な立場にあると考えています。

同行は銀行なので、事業の根幹を成しているのは融資事業です。2024年には純受取利息が収益の66%を占めています。また2024年末時点で9,310億米ドルの融資残高のうち、アジアは約4,500億米ドル、その内香港は約2,720億米ドルを占めています。したがって、香港の事業環境はきわめて重要です。しかし短期的には香港経済が弱含み、住宅価格が低迷しているため、状況が好ましいとは言えません。しかし香港と中国の企業不動産(CRE)に大きな課題があるとはいえ、HSBCは優位な立場にあるためにより良い借り手を選ぶことができ、CRE関連の融資も当初は少なかったことから、信用損失の大幅な拡大はありませんでした。香港の他の銀行はこれとは立場が異なるため、多くはCREセクターの信用問題が足枷となっています。HSBCは中期的には融資残高の伸びが1桁台半ばで推移すると見込んでいます。香港については、2026年の融資残高の伸びは横ばいか、あるいはマイナスになる見込みです。一方英国において、HSBCは預金に関しては市場シェアが12%、住宅ローンは8%に過ぎません。資産運用については、市場シェアははるかに低く、成長余地があると考えられます。 香港ドルは対米ドルレートが固定されているため、香港の金利は米国にほぼ追随する形で動きます。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げは純金利マージンにとって逆風ですが、金利ヘッジは別として、定期預金は重要な相殺要因になります。FRBが2022年に利上げに踏み切るまで、定期預金(コストが高い)がHSBC香港の預金に占める割合はわずか一桁でしたが、2024年末時点では、香港における定期預金が預金に占める割合は39%に達しています。香港の6か月定期預金の金利は依然3.0%を上回っており、預金者にとって魅力的な水準です。仮に金利の低下が続いた場合、定期預金のコストにはさらなる低下余地があり、マージン低下分を相殺する効果を発揮することになります。したがって、FRBが利下げを続けたとしても、純金利マージン全体に対する影響は抑制できるものと考えられます。HSBCによると、1%の下落ショックが1年目の純金利マージンにおよぼす影響はマイナス29億米ドル(2024年の資金利益の約6.6%)と試算されています。一方、金利が長期的に上昇するというシナリオでいけば、逆に有利に働くでしょう。したがって、ポートフォリオの観点から、HSBCは長期金利上昇シナリオに対する重要なヘッジ銘柄となり得ると考えています。 資産運用部門は今後に期待できる部門で、HSBCは中期的に年平均成長率二桁という目標を掲げています。利下げ環境下で融資事業が逆風にさらされる中、資産運用事業はその逆風を相殺するという貴重な役割を果たすことでしょう。しかし香港経済が逆風の中、資産運用事業はなぜ堅調なのでしょうか。主な理由の一つは、香港が引き続き資本と人材の集まる場所になっており、とりわけ中国本土からの資本と人材でその傾向が顕著だという点にあります。比較的裕福で高収入な中国本土の人々を呼び込むため、香港は様々な移民制度を設けています。中国が現在低金利環境にあることを踏まえると、中国本土の人々にとって、中国に資本を持ち帰るのではなく、海外に資本を展開する方がはるかに有利です。このことはHSBC(および、当ファンドの保有銘柄であるDBS Group Holdings Ltd(シンガポール/銀行))の資産運用事業に多大な利益をもたらします。2024年には、HSBCは香港で79万9,000人の資産運用顧客を新たに獲得しました。香港の人口が800万人弱であることを考えると、これは非常に大きな数字です。とりわけ重要なのは、その成長要因が構造的なものであり、株式市場全般の動向とは関係ないと考えられることです。また、同行は香港以外にもシンガポールやアラブ首長国連邦といった主要事業拠点で資産運用事業を拡大しています。 同行はコスト削減を続ける見通しで、2024年のコスト基盤の約4.5%に相当する15億米ドルの削減を目標としています。しかし短期的には解雇に伴う退職金が増加する見込みで、2025年の支払額は約18億米ドルに上ります。このコスト削減の効果は2026年から2027年にかけて徐々に反映されることになるでしょう。コスト削減は収益に影響を与えず、すべて利益に転嫁されます。 これらの要因を総合的に考慮すると、HSBCの収益は利下げという逆風があっても安定を保ち、逆風が正常化した後に再び成長を取り戻す見通しです。 最後に、当ファンドの投資仮説の核心部分となる点でもありますが、HSBCは多額の資金を株主に還元できる形で生み出しています。同行のCET1比率は現在14.9%で、目標の14~14.5%を大幅に上回っています。前述ように、香港では融資残高の伸び悩みが予想されていますが、これは一見マイナス材料のように聞こえるものの、HSBC株式の現行バリュエーションでは融資残高の伸び悩みは必ずしもマイナス材料とは見なされていません。銀行にとって、融資残高の拡大ほど簡単に実現できるものはありません。銀行が低金利で質の低い借り手に積極的に貸し出せば、借り手は無制限に増えるからです。しかしそうした融資を行うと、銀行は損失を出すことになります。したがって、銀行業では融資残高が伸びることはが必ずしも好ましいものであるとは限りません。融資残高を拡大する場合、リスク加重資産(RWA)が増加するので、銀行は追加資本を確保して自己資本比率を維持する必要があります。一方、RWAがほぼ安定しており、リスク加重資産利益率(RoRWA)が適正であれば、銀行は長期的に余剰資本を蓄積できます。これらは銀行特有のものですが、再投資も配当も行わない一般企業が余剰資本を蓄積するのと本質的には変わりません。HSBCは短期的には、融資残高が拡大する見込みがないことから、余剰資本を株主に還元しています。実際、これはシンガポールや韓国などアジア先進国の銀行が軒並み実施していることです。2024年の1株当たり有形純資産価値(TEV)が8.61米ドルで、2025年末には約9.2米ドルに伸びる見込みであることから、HSBCはP/TEVがおよそ1.2倍強の水準で取引されていることになります。RoTEは10%台半ばで、HSBCが自社株買いを行うのに魅力的なバリュエーションであると考えます。同行は2025年の配当性向について、50%を目標としています。現在四半期あたり20億米ドルの自社株買いを行っていることを踏まえると、現行価格での総株主還元利回りは約10%に達し、アジア主要先進国の銀行の中で最も魅力的な水準になります。注目すべきは、HSBCがアジアで最も堅固な銀行フランチャイズの1つを保持していることです。 長期的にみると、HSBCは香港には中国本土の顧客を中心にして資産運用の一大拠点に発展できる可能性があるというのが当ファンドの見方です。香港市場に対する悲観的な見方がある中、スイスの金融大手UBS GroupのCEOであるSergio Ermotti氏は2024年半ばのイベントで、香港の富裕層向け資産運用業界は年平均7.6%成長しており、2027年にはスイスを抜いて世界最大になると述べました。当ファンドは、HSBCが最もこの発展の恩恵を受ける企業になり得ると考えます。HSBCの香港事業と国際資産運用事業はいずれも、グループ平均を上回るリスク加重資産利益率を実現しています。当ファンドは同行が資産運用事業の急速な拡大を続け、グループにより高い利益をもたらすと考えます。

当月、アジア株式市場はまちまちの値動きとなりました。⽇本を除くアジア市場に使⽤される⼀般的な指数であるMSCIアジア(⽇本を除く、⽶ドル建て)指数は、台湾、シンガポールなどに牽引される形で前月末比1.58%上昇しました。当⽉パフォーマンスが振るわなかった市場は、インドネシア、フィリピン、韓国などでした。中国市場と香港市場は前月以降の堅調な上昇基調を維持しました。中国政府は当月、不動産セクターに対する政策支援を発表し、地方政府の支援を通じて落ち込んだ不動産市場の安定化を図る意向を示しました。一部投資家の間に中国の不動産セクターは最悪期を脱した可能性があるという見方があることから、MSCI中国不動産指数は過去2か月でおよそ17%上昇しました。 AI(人工知能)関連銘柄は前月に一時的な調整局面に入りましたが、当月は堅調な上昇基調を取り戻しました。NVIDIA社(米国)が好調な業績と見通しを発表したことは、アジアのAIサプライチェーン全体、とりわけ台湾と韓国のハイテク銘柄に恩恵をもたらしました。アジア地域でデータセンターの需要が旺盛であることから、Microsoft社(米国)、Alphabet社(米国)、Amazon.com社(米国)、NVIDIA社などはASEAN諸国に多額の投資を行い、域内の有能なエンジニアと低い運営コストを最大限に生かそうとしています。 インド市場は小幅な値動きで推移しましたが、これは投資家が選挙の行方を見定めようとして待ちの姿勢をとったためだと考えられます。モディ首相が続投して3期目に突入し、現行政策を継続して経済成長を推進するというのが大方の予想となっています。 インドネシア市場は企業業績やマクロデータの低迷や前月に発表された予想外の利上げの影響で軟調なパフォーマンスに終わりました。

2023年12月、山本由伸投手のロサンゼルス・ドジャースへの移籍が発表されました。オリックスへの譲渡金は5,062万5千ドル(約72億円=為替レートは入団合意時)になる見通しです。12年で総額3億2,500万ドル(約465億円)という契約金は、おそらく投手としての最高額でしょう。スポーツビジネスは基本的にセレブリティ、すなわち有名人の人気にあやかったビジネスです。ファンたちは競い合ってチケットやグッズなどを購入し、売り上げに大きく貢献します。2023年9月の月次報告書でお話しした通り、インターネットでコンテンツを配信できるようになったことで、世界中の人に情報を届けることがこれまでよりはるかに容易になりました。よって、こうしたビジネスの収益力は大幅に拡大していると考えます。有名になることはいつの時代でも素晴らしいことですが、今はこれまでにない最高なタイミングと言えるでしょう。 ではどうすればセレブリティに投資できるのでしょうか。さらに言えば、有名人の収益力を生かせる優良企業はどうすれば見つかるのでしょうか。当ファンドは防弾少年団(BTS)、SEVENTEEN、LE SSERAFIM、NewJeansといったK-POPグループが所属し、さらに2021年にはジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデが所属しているIthaca Holdings社(米国)の買収した、HYBE(韓国/メディア・娯楽)に投資してきました。しかしセレブリティたちは有名になると交渉力を得て、より高い給与を要求したり、また仕事を選り好みしたり、働く意欲が低下する可能性があります。そしてやがては年を取り、引退していきます。したがって、そうした心配のない有名人を抱えるほうがはるかに良いということになります。その最たる例が2023年10月に組み入れを開始したサンリオで、同社は「ハローキティ」、「シナモロール」、「クロミ」、「ポムポムプリン」、その他知財を多数所有しています。

同社の成長戦略は、地域やキャラクター、顧客との関わり方を広げる、という当ファンドの望む方向に向かっていると考えます。特に「第3の矢」は、ゲーム、デジタル、リアル体験などを通じて、顧客とのタッチポイントを強化する計画です。同社の豊富な知的財産ポートフォリオは、適切なデジタル戦略の助けを借りて、これらすべての面で成果を上げる強さを備えていると見ています。 サンリオは今後3年間で、グローバルコンテンツ開発、ゲーム開発、デジタルエンターテインメントなどに300億円の投資を計画しています。また、同社はM&Aや資本提携等の機会に備えて500億円を確保しています。デジタルゲームやアニメへの進出についてはより多くの投資を必要とするため、同社の投資規律が失われるのではないかという懸念が株式市場から出ていますが、当ファンドは経営陣と面談を行い、同社がこのような懸念を十分に認識していることを確認しました。当ファンドは、同社の大半の取り組みがパートナーによってサポートされているため、同社が大きな投資をする必要はないと考えています。例えば、Alibaba Group Holding社(中国)傘下の動画共有サービス「Youku」と提携してアニメを制作していることなどが挙げられます。一方、アニメはサンリオが取り戻すべき重要な機会でもあります。2000年代には、サンリオには「おねがいマイメロディ」のような人気アニメがありました。「おねがいマイメロディ」の登場キャラクターであるクロミの根強い人気は、彼女のユニークな個性(例えば、乱暴者に見えるけれど、実はとっても乙女チック!?イケメンがだ〜い好き。)が貢献していると考えます。よくできたアニメシリーズは、キャラクターを宣伝するのに非常に効果的なツールであり、サンリオにとって実績のある流れです。しかし、サンリオのキャラクターにはシリアスなストーリーがないことを考えると、映画に向いているのかどうかということについては懐疑的です。一方、当ファンドの保有銘柄でもあるバンダイナムコホールディングス(耐久消費財・アパレル)のガンダムシリーズは、ロボットを「モビルスーツ」という「兵器」として扱ったリアルな戦争描写や緻密な科学考証、複雑に織り成す深い人間ドラマがとても深く、映画に向いています。 同社はMTPの中で、成長戦略のほかにも財務力と株主還元にも触れています。1つの重要な目標は、事業のボラティリティを低減し、どんなに厳しい環境下でもROE(株主資本利益率)15%以上を維持することです。また、サンリオは配当性向30%以上を目標に掲げており、余剰があれば株主還元を上乗せする可能性もあります。事業のボラティリティを低減させるというコミットメントは当ファンドが期待した方向に進んでいますが、配当性向が30%というのは、キャッシュフローを生み出す事業であることを考えると十分とは言えないため、当ファンドは同社に提言を続けていく予定です。 全体として、同社のMTPは様々な面で正しい方向に進んでいると考えます。同社はこれまで当ファンドに素晴らしい結果をもたらしてくれましたが、問題は株価が上場来高値を更新している現在でも魅力的な投資先であるかどうか、ということです。まず、同社はMTPで2027年3月期までに営業利益400億円以上と目標を掲げています。しかし、2025年3月期第2四半期決算で、同社は2025年3月期の営業利益の見通しをすでに410億円に上方修正しています。また同社は、年間計画を提示する際に保守的な数値を出す傾向があることから、営業利益410億円を超えることができると当ファンドでは考えています。現在の時価総額は約1兆円で、予想PERは30倍を超える水準となります。これは見た目には安くはありませんが、当ファンドは多くの優れた企業がグローバルに拡大する際にこうした状況を見てきました。ファーストリテイリング社やアシックス社を例にとれば、株価は決して安くはありませんが、好業績を背景に堅調に推移しています。株式市場はこれらの本当に優れた企業の可能性を一貫して過小評価してきました。当ファンドはサンリオの可能性について次のように考えています。

アジア株式市場の大半は、1月に堅調に推移した後、当月は下落しました。⽇本を除くアジア市場に使⽤される⼀般的な指数であるMSCIアジア(⽇本を除く、⽶ドル建て)指数は、6.81%下落して⽉を終えました。 これは主に、MSCI中国(米ドル建て)指数の同10.37%下落が影響しました。中国の経済活動再開を受けた消費回復に関する好調なデータにもかかわらず、米国領空内の中国の偵察気球疑惑を巡って米中間の緊張が再燃し、人民軍と関係する中国企業に対する制裁が強化されたことで、投資家心理は冷え込みました。また11月以降に大きく上昇していた中国のインターネット関連銘柄も、高まる規制懸念やJD.com社(中国)による積極的な補助金キャンペーンを契機とした価格競争の可能性を受けて、下落に転じました。 米国の力強いインフレおよび労働市場データも、米国利上げのペース加速と長期化に対する懸念を引き起こし、新興市場の株価に下押し圧力を加えました。インドの指数は当月もAdani危機が重石となり、Adani group社(インド)関連銘柄は大幅にアンダーパフォームしました。台湾のテクノロジー企業は、2022年第4四半期決算説明会で2023年第1四半期の低調な収益見通しを発表しましたが、一部の投資家はそれをサイクルの「底」と解釈し、一部企業の株価の下支え要因となりました。また、最近のChatGPT(AIチャットプログラム)の急速な普及が、半導体やメモリの需要増につながる可能性を指摘する声もあります。

2025年5月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)が前月末比5.10%の上昇、日経平均株価も同5.33%の上昇となりました。当月の日本株式市場は、月前半に大幅上昇した後、月半ばに調整を挟みつつも月後半にかけて持ち直し、レンジ内での回復基調を維持したまま当月を終えました。 月前半は、前月末から続く米国の関税交渉進展への期待が支援材料となったことや、日銀が展望リポートで実質GDP成長率と物価上昇率の見通しを下方修正し追加利上げに慎重な姿勢を示したことや進行した円安も相まって、株式市場は堅調に推移しました。こうした中、米英貿易協定の合意や米中双方による市場の想定以上の関税率の引き下げを受け、指数は大幅に上昇しました。月半ばには好材料が一巡したことに加え、円高・ドル安の進行や、米国債格下げをきっかけに米国の財政悪化懸念が高まったことも相場の重荷となりました。月後半にかけては、米国による対EU追加関税の延期や、日本国内での超長期国債発行計画の見直し観測による円安の進行等により主力株を中心に買いが入り、日本株式市場は再び上昇に転じました。さらに、28日に米国際貿易裁判所がトランプ政権の関税政策を違法と判断し関税の差し止めを命じたことを受けて円安が加速し、株式市場も大幅高となりました。しかしその後、米連邦巡回区控訴裁判所が関税差し止めの執行を一時的に停止する判断を下したことでドル円相場とともに株式市場は反落しました。 結果として、米国の関税政策をめぐる不透明感に振り回されながらも、日本株式市場は前月末比で上昇して取引を終えました。

2024年10月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.88%の上昇、日経平均株価は同3.06%の上昇となりました。 月前半は、全米企業エコノミスト協会の年次総会に登壇したパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が今後の利下げについて「急ぐ必要はない」と強調したことや、米国雇用統計が市場予想を大幅に上回ったこと等から利下げ観測が後退したこと、石破茂首相から日銀の早期の追加利上げに否定的な見解が示されたこと等からドル高円安が進行しました。また、中東情勢の悪化により株価が一時的に下落する局面もありましたが、前述のように円安の進行や米国経済の底堅さ、石破政権が岸田前政権の経済政策を継承するとの方針が確認されたこと等から株式市場は上昇いたしました。 月半ばから後半にかけては、オランダの半導体製造装置大手ASML Holding社の決算発表で2025年12月期の業績見通しが引き下げられたことで半導体関連株に売りが広がったことや、日米長期金利の上昇基調の継続が意識されたこと、27日投開票の衆議院選挙で与党自民・公明両党が過半数議席の確保が微妙な状況と報じられたこと等から株式市場は軟調な推移となりました。 衆議院選挙では連立与党が2009年以来15年ぶりに過半数を割り込む結果となり、今後の政権の枠組みは少数与党が政策や法案ごとに野党に協力を求める「パーシャル(部分)連合」になるのではないかという見方が強まりました。財政拡張的な政策を掲げる野党との協力により景気刺激的な政策が実行される可能性が意識されたことや、リスクイベント通過に伴う先物の買戻し等から株式市場は衆議院選挙を境に一転し、前月末比で上昇して当月の取引を終えました。

当月の株式市場は振幅の大きい値動きとなりました。 一つ目の要因は月内に円高が進んだことにあります。当ファンドのパフォーマンスは円高の進行を受けて下落し、特に日銀が当月末に追加利上げを発表し、さらなる金融引き締めの姿勢を示したことで、その傾向は一段と顕著になりました。円高は、海外株式に投資する他の円建てファンドと同様に、当ファンドが組み入れている海外株式に直接的な影響を与えました。また、日本企業はグローバル企業が多く、円高は一般的に収益悪化要因となります。しかし、多くの日本企業は為替相場が円高に振れることを想定して通期計画を発表しているため、現行水準の円高で見通しが悪化することはないでしょう。当ファンドが保有する日本企業は内需企業が多く円高の影響をあまり受けないと考えられますが、円高は当ファンドのパフォーマンス悪化要因となる可能性があります。

当ファンドの2022年のリターンは前年末比21.99%の下落、参考指数のMSCI AC Asia Index(円ベース・配当込み)は同5.85%の下落となり、 当ファンドにとっては2022年も試練の年となりました。スタグフレーション(景気が低迷する中で物価が上がり続ける状態のこと)に対する懸念から、多くの当ファンド組入銘柄の株価が下落しました。一方、FRBは大規模な金融引き締めによってインフレの抑制に努めました。バリュエーション算出時のリスクフリーレート(リスクがほとんどない商品から得られる利回りのこと)として一般に使用される米国10年債利回りは、2021年末の約1.5%から2022年末には約3.8%まで上昇しました。これは株式、特に当ファンドが選好する成長株のバリュエーションにとって大きな重しとなりました。 その一方で、FRBの金融引き締めで景気後退が発生するのではないかという懸念が生まれ、多数のセクターで成長見通しが下方修正されました。当ファンドが高い比率で組み入れているグローバル成長株は、世界的な景気循環の影響を受けやすい銘柄です。例えばキーエンス、リクルートホールディングス、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(台湾/半導体・半導体製造装置)などがこれにあたります。さらに、コロナ禍中に巣ごもり消費の恩恵を受けた銘柄は、反対に経済再開が逆風となりました。例えばソニーグループ、メルカリなどがこうした銘柄にあたります。魅力的な価値と利便性を提供するオンラインサービスが引き続き成長するという当ファンドの見方に変わりはありませんが、コロナ禍によって世界中でライフスタイルの見直しが起こったことは、短期的に見ると前述の銘柄群にとって不利に働く可能性があると考えます。 中国では2022年に多くの変化がありました。政府が複数回にわたってロックダウン(都市封鎖)を行ったことで、Tencent Holdings(中国/メディア・娯楽)やLi Ning Company(中国/耐久消費財・アパレル)といった当ファンドの組入銘柄は大打撃を被りました。中国国内では年初から新型コロナウイルス感染者数が増加したことで、深センや上海といった主要都市が大規模なロックダウンを実施し、市場関係者に衝撃を与えました。2月にはロシア軍がウクライナに侵攻しました。この不幸な出来事によって、世界の地政学的情勢は大きく変化し、米中関係はこの数年間で最悪の状態にまで悪化し、中国の台湾侵攻に対する懸念が高まりました。10月には中国全国人民代表大会で習近平氏の3期目の主席就任が承認され、権力の集中がさらに進んだことで、市場にまたもや混乱が生じました。中国政府による不動産市場の取り締まりとゼロコロナ政策も経済成長の足かせとなりました。従業員の多くが高所得者層である大手インターネット企業では大規模な人員削減を開始し、消費の低迷に追い打ちをかける形となりました。MSCI中国指数(米ドル建て)は10月に2016年以来の安値まで下落しました。しかし、12月に入るとゼロコロナ政策に対する一連の抗議活動を受けて、中国政府がゼロコロナ政策を緩和し始めました。さらに2023年の1月8日から新型コロナウイルス関連規制の大幅緩和が発表されると、MSCI中国指数(米ドル建て)は経済再開に対する期待を受けて10月の底値から約36%の大幅上昇をみせました。同指数は第4四半期(10月~12月)には約13%の上昇、2022年通年でみると約22%の下落でした。 ゼロコロナ政策の突然の転換は大きなサプライズとなり、中国における政策予測の困難さが浮き彫りになりました。中国共産党上層部の動きを予測することは不可能であると考えます。目に見える動きから今後の動向を予測することしかできず、その変化が大きい場合は迅速な対応が求められます。新型コロナウイルス関連の政策における変化は大きな転換点であり、波乱含みとなる可能性はあるものの、この政策転換によって世界の投資家の関心が再び中国市場に向く可能性があると、当ファンドでは考えています。こうした環境下で、当ファンドでは香港と中国関連銘柄の組入比率を引き上げています。 2023年に入っても先行きの見通せない状況が続いております。インフレ率はピークを付けたという見方もありますが、FRBによる2%のインフレ目標が早期で達成されることは考えにくく、金利は当面高止まりすると思われます。ただし、市場の関心は金利から世界の経済成長見通しの減速に移る可能性があります。中国は世界の経済成長の原動力となる可能性があるため、2023年の世界経済にとって中国の経済再開は重要なポイントであると考えます。中国の動向はアジア各国に大きな影響を与えるため、その経済回復が他のアジア諸国にとっては好機であると考えます。一方、世界第2位の経済大国である中国の経済が再開すれば、商品価格やインフレ率の押し上げ要因となる可能性もあります。中国がこの初期段階をうまく乗り切れば、他国と同様に経済は回復軌道に乗ると思われます。新型コロナウイルスの感染者数がピークを越えたと思われる北京などの都市では、移動や外食などに関わる経済活動が活発になりつつあります。さらに、インターネットなど一部セクターでは規制による逆風が和らいでいます。中国は12月に新規ゲームの承認を再開しました。注目すべきは今回44本もの輸入ゲームが承認されたことです。輸入ゲームが承認されたのは2021年の取り締まり開始以降で初めてで、これは中国政府が健全なゲーム業界を育てたいと考えていることを端的に示しており、規制リスクに関しては最悪の時期を脱したというのが当ファンドの見方です。 当ファンドは2022年に、日本電産など成長見通しが不確実でバリュエーションが割高な組入銘柄を売却しました。2022年末時点では、中国の消費関連銘柄やインターネット関連銘柄、半導体関連銘柄の組入比率が大幅に増加しています。当ファンドは中国に投資するリスクを認識しているため、外食産業、スポーツウェアなどの規制リスクが低い企業やインターネット関連など規制面の逆風が弱まっているセクターを慎重に選別しています。スポーツウェア、フードデリバリープラットフォーム、外食産業などの組入銘柄の一部は経済再開の恩恵を受けることが期待されます。また、繊維製品や医療機器などの製造業や化学関連銘柄がサプライチェーンの混乱緩和や需要回復の恩恵を受けることも期待されます。半導体の一部セグメントも底打ちが近く、バリュエーションにはすでに悪材料が織り込まれていると考えられます。中国経済の回復が世界経済の底上げに寄与できれば、半導体の需要サイクルの底打ちはさらに早まる可能性もあります。当ファンドではこれまで半導体関連銘柄の組み入れにあまり積極的ではありませんでしたが、組み入れを拡大する好機であると考えています。

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