
8日の香港市場は反落か。米政権による相互関税の新たな税率が7日に発動し、世界景気の減速が警戒されるなか、中国との関税交渉の不透明感が重荷になりそうだ。外電によると、ラトニック米商務長官は7日、FOXビジネスとのインタビューで、12日に設定されている中国との関税交渉期限がさらに延長される「可能性はある」とした上で「その決定は通商チームと大統領に委ねる」と述べた。ハンセン指数は前日に4日続伸し、終値ベースで心理的節目の25000ポイントを回復しただけに、いったん利益を確定する売りが出やすい。
もっとも、米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを決めるとの期待は続いており、売り一巡後は下げ渋る展開があり得る。7日発表された週間の米新規失業保険申請件数が市場予想を上回ったことで、前週発表の7月の米雇用統計に続いて労働市場の鈍化が意識されるだろう。
7日のNY株式相場はダウ平均とS&P500がともに反落。労働市場が鈍化する中、NY連銀が発表したインフレ期待が上昇したことでスタグフレーション懸念が意識された。半面、ハイテク株主体のナスダック総合は続伸し、7月28日以来となる終値の最高値を更新した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は、金融株のAIAグループ(01299)、中国建設銀行(00939)、中国工商銀行(01398)、香港公益株のホンコン・チャイナガス(00003)が香港終値を下回った半面、医薬品ネット通販の京東健康(06618)が上回って引けた。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
米中対立の根深さはS&P500の見通しを暗くする要因といえそうだ
早期の米利下げ期待も後退。外電が11日報じたところによると、米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は、新たな米関税措置によりインフレ見通しが一段と不透明になったとして、米利下げが遅れる可能性があるとの認識を示した。
また高関税をめぐるトランプ氏の動向も引き続きS&P500を動かす材料だ。トランプ氏は30日の取引時間終了後、ペンシルベニア州での演説で、3月に発動した鉄鋼とアルミニウムの輸入に対する25%関税について「2倍の50%に引き上げる」と述べた。SNSへの投稿では「6月4日」に発動するとしている。高関税の可否に関する司法判断が揺れる中でも、あくまで高関税を駆使する経済政策を続ける考えのようだ。トランプ氏が週明け以降も高関税への言及を繰り返せば、S&P500の見通しは悪くなり、神経質な値動きをみせることも想定される。
一方、内部的には中国指標の発表が気がかり。あす31日には、国家統計局などによる7月の製造業PMIと非製造業PMIが公表される。最新の市場コンセンサスでは、製造業PMIが6月の49.7と同水準、非製造業PMIは6月の50.5から50.3にやや低下する見通しだ。それより先、27日に報告された1-6月の工業企業利益が前年同期比1.8%減となり1-5月の1.1%減から減少幅が拡大したこともあり、下振れも懸念されている。
株式市場では28日に発表されたエヌビディアの2025年2-4月期決算発表もAIブーム継続を感じさせる好決算と受け止められた。エヌビディアの株価(NVDA)は30日までの週次で2.92%高。S&P500への影響度が大きいエヌビディアを含む「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる7社の株価はそろって週次での値上がりを記録した。メタ・プラットフォームズ(META)は3.26%高、アップル(AAPL)も2.86%高となり、S&P500の見通しを明るくしている。
S&P500(SPX)の30日の終値は前日比では0.01%安の5911.69。週次での1.88%高は米中の大幅関税引き下げ合意が発表された12-16日週(5.27%高)以来、2週ぶりの上昇だ。前週(19-23日)は債務上限引き上げを盛り込んだ減税関連法案の下院での審議が難航したことなどが悪材料となり、週次2.61%安となっていたが、今回の週次での反発は上昇見通しの根強さを示したといえる。
S&P500の今後の見通しをめぐっては、米国の実体経済の動向が注目される。6月2日に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する5月の製造業景況感指数(PMI)や、4日に発表する非製造業(サービス業)PMIは投資家のムードを左右することになりそうだ。また6日に発表される5月雇用統計の結果も、米国経済やFRBによる利下げに関する見通しを揺らす要因といえる。
アメリカの株式市場の上昇機運に、米中対立再燃不安が冷や水をかけた。S&P500種株価指数の30日の終値は1週間前比で1.88%高。2週ぶりの反発で値上がり圧力の根強さを印象づけた。ただ、ドナルド・トランプ大統領は30日、米中による関税大幅引き上げ合意に関し、中国が合意内容に違反していると批判。S&P500は一時、前日比1%超値下がりする場面もあり、楽観ムードの脆さが示されている。一方、30日に発表された4月の個人消費支出(PCE)物価指数が物価上昇鎮静化を期待させる内容だったことは米国経済にとっての朗報。28日発表の半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の決算発表も人工知能(AI)ブームの継続を感じさせる好決算だった。S&P500の今後の見通しをめぐっては、週明け以降に発表が続く注目経済指標やトランプ氏の高関税をめぐる言動が焦点。トランプ氏が30日の取引時間終了後に鉄鋼、アルミニウム輸入に対する50%関税の6月4日発動を表明したことも見通しに影を落としそうだ。
*09:57JST 30日の香港市場見通し:上値の重い展開か、米FOMCと中国PMIが気がかり 30日の香港市場は、米国の金融政策や中国の景気動向見極めで上値の重い展開か。外部環境は安定的。米関税政策による世界経済混乱の警戒感が薄れている。貿易問題を巡り、米中が29日までスウェーデン開いた閣僚級会議では、8月12日に期限を迎える追加関税の一時停止措置を3カ月延長する方針が確認された。協議に参加したベッセント米財務長官は記者会見で、「協議は建設的だった」としたうえで、90日間の再延長については、トランプ米大統領が30日に最終判断をすると述べている。米国と貿易相手国の通商交渉はこれまでに、日本や欧州連合(EU)などとも合意が結ばれた。
商務省の警告文によると、トランプ政権は華為技術のAI向け半導体について、米国発の技術を用いて生産され、輸出規制の対象となっている組織が生産や販売に関わっているとしている。米中対立の根深さはS&P500の見通しを暗くする要因といえそうだ。



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