週末の緊迫した情勢を受け、市場はリスク回避の動き【明快!テクニカルレビュー】
動画配信期間:2024/04/15~2024/07/15
大手銀行で為替・債券・スワップ市場のチーフディーラーとして活躍した経験を持つ百戦錬磨のプロトレーダー、井上義教氏が、毎週掲載される「FX ウィークリーテクニカルレポート」のレビューを明快に解説いたします!
時間がない方向け「ポイント要約」
目次
0:00 今回のダイジェスト
0:26 相場振り返り
1:20 ドル円分析
1:59 ユーロ円分析
2:30 ポンド円分析
2:30 豪ドル円分析
3:45 対円相場分析まとめ
4:11 対ドル相場分析
6:53 金(ゴールド)相場分析【CFD】
7:39 WTI原油相場分析【CFD】
7:55 まとめ
8:19 【PR】口座開設特別キャンペーン
要約
週末の緊迫した情勢を受け、市場はリスク回避の動きを見せています。こういった有事の際は、ファンダメンタルズよりも目前の出来事が優先されるため、慎重な判断が必要です。
ドル円は買いの継続が妥当そうです。MACDはゴールデンクロスから上値を追っていますが、ダイバージェンス気味なので注意が必要です。他の対円通貨はドル買い・円買いに傾いています。ユーロ円は下押しし、MACDもデッドクロスしたため、買いは控えめにすべきでしょう。ポンド円も下落していますが、ユーロ円ほどではありません。豪ドル円は売りに転じるほどではありませんが、買いには弱さを感じます。
対ドルでは、ユーロドルが売られ、チャートは悪化しています。長期の移動平均線を割り込み、MACDもデッドクロスしています。買いは遅れ気味で、戻り売りや投げ売りになるかもしれません。ポンドドルや豪ドルも同様の動きを見せており、売りから入るべきでしょう。
CFDの金は長い間買われてきましたが、先週の長い上ヒゲは警戒すべきサインです。売りに転じたわけではありませんが、買いは避けたほうが賢明でしょう。原油も同じような状況で、長めの上ヒゲを伴っています。
有事の状況下では先行きが読みにくいため、常に注意を払い、必要であれば早めに損切りすることが大切です。目先は難しい局面が続くかもしれませんが、有事が落ち着いてからファンダメンタルズを考えていくことになるでしょう。
こちらの記事も読まれています
「FX ウィークリーテクニカルレポート」
井上義教 氏
株式会社チャートリーディング 代表取締役 昭和39年東京都生まれ。 昭和63年大阪大学経済学部卒業、同年大和銀行入行、平成3年よりロンドンの証券現法にてディーリング業務に従事。 平成15年に退社するまで為替・債券・スワップ市場を歴任、チーフディーラーとしてチームを統括。 平成28年 株式会社チャートリーディング設立とともに代表取締役に就任。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
ドル円は買い継続リスクオフの動きが強まる市場 有事への対応とトレード戦略 2024
世界最大の対外純債権国となったわが国は、デフレ下において原油価格高騰等のインフレに対する耐性も強く、欧米主要国とは異質のイスラム諸国との関係を構築していたため地政学的リスクのみならず世界的な金融不安のリスクが高まった際にもドル円相場は下落した。いわゆる、リスクオフの円買いである。
有事の状況下では先行きが読みにくいため、常に注意を払い、必要であれば早めに損切りすることが大切です。目先は難しい局面が続くかもしれませんが、有事が落ち着いてからファンダメンタルズを考えていくことになるでしょう。
一方、1989年のベルリン壁崩壊以降のグローバライゼーション下においては、特に2001年のアメリカ同時多発テロ事件によって米国はテロとの戦争に突入し、ほぼすべての国際紛争において当事国となった。
では、現在のデカップリングの時代に、為替市場は東西冷戦下の有事のドル買いに回帰するのであろうか。あるいは、グローバライゼーション化のリスクオフの円買いが継続するのであろうか。わが国は2010年代に成熟した債権国に移行したとはいえ、今のところ辛うじて経常収支の黒字を維持する中、対外純債権も増加を続けている。
2014年のロシアによるクリミア侵攻と中国による一対一路構想の発表を契機に、世界経済はデカップリングの時代に突入したと考えることができる。その後、2017年の米トランプ政権の発足によってそれは不可逆的なものとなり、2022年のロシアによるウクライナ侵攻がデカップリングを新たな東西冷戦と呼ばれるレベルまでに進展させた。
英シンクタンク国際環境開発研究所(IIED)は最新の報告書で、貧困国は自然保護を条件に債務免除を受ける「自然保護債務スワップ」により気候変動対策資金として1000億ドルを調達できる可能性があるとの試算を示した。
②相場展開の予想・・・3月下旬から続いた151円台のレンジ、そして2022年から意識された上値抵抗151.90-152.00円と長らく意識された水準を上抜けたことで上昇の勢いが強まっています。このような相場状況で買われすぎを意識した逆張り(売り)はなるべく避けたほうが良いでしょう。トレンドに逆らわず買い場を探していきましょう。
その後、市場の予想通りFed(米連邦準備制度)とECB(欧州中銀)は5月3日と4日にともに0.25%の利上げを決定する一方、Fedは利上げ打ち止め、ECBは利上げ継続をそれぞれ示唆している。今週に入ると、”Buy on the rumor, sell on the fact”の通り、ドル円とユーロ円はそれぞれ135円台、148円台まで小緩んで取引されている。
2023年3月に欧米で発生した金融不安を乗り越えて、ドル円とユーロ円相場は5月1日で始まる週にそれぞれ137円台、151円台まで上昇した。ドル円は2023年3月、ユーロ円は2008年9月以来の最高値である。先月の拙稿の中で指摘した通り、わが国の地域別輸出数量に着目すれば欧米景気は堅調であり、日銀が4月28日に金融政策を据え置く中、欧米と日本の金利差が為替相場に反映される形となった。
旧東西冷戦下では、ほとんどの国際紛争は米ソの代理戦争であり、なおかつ原油価格の高騰を伴った。このため1973年以降の変動相場制下では、地政学的なリスクの高まりにより大西洋と太平洋で地理的に孤立し、石油利権を握る米国のドルと永世中立国のスイスのフランが買われ、地理的に東側に隣接しインフレに脆弱な西ドイツのマルクと日本の円が売られた。いわゆる有事のドル買い、スイスフラン買いである。
対ドルでは、ユーロドルが売られ、チャートは悪化しています。長期の移動平均線を割り込み、MACDもデッドクロスしています。買いは遅れ気味で、戻り売りや投げ売りになるかもしれません。ポンドドルや豪ドルも同様の動きを見せており、売りから入るべきでしょう。
①週足:155円がターゲット・・・2022年から上値抵抗と意識されていた151.90-152.00円を突破すると一気に153円台後半まで上値を切り上げています。目先のターゲットはN計算値で算出した目標値155円台となるでしょう。また、これまで上値抵抗とされた151.90-152.00円付近は今後、下値支持として意識されそうです。同水準まで下落した場合は買い場となる可能性があるため注目です。仮に下抜けた場合でも13週線が位置する150円台前半では底堅く推移する可能性があります。
コメント