円安 日銀総裁の発言トーンに変化

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円安 日銀総裁の発言トーンに変化
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 円安 日銀総裁の発言トーンに変化

歴史的円安 しかも投機的に作り出された円安に警告を与えた

きょうもじりじりと円安が進んでいます。こうした中、先月、市場に“円安容認”と受け取られた日銀総裁は、発言のトーンに変化が生じています。

どうして政府は追撃の為替介入を行ったのか? それはFOMC後に開かれたパウエル議長の記者会見での問答にヒントがある。昨今の米国の経済好調&インフレ継続を受けて「利下げは急がない」「とは言え、利上げをする可能性も低い」とパウエル氏が強調したことで「日米金利差が拡大して再び円安・ドル高が加速するのでは…」という市場のコンセンサスが形成されつつあるところに、「そうじゃない!」という否定の爆弾を投げ入れた格好となった。これまで政府は鈴木俊一財務大臣による度重なる口先介入で円安・ドル高を牽制していたが、その本気度を測りかねていたところに植田日銀総裁による円安容認発言が飛び出したために、政府の口先介入が軽々しくあしらわれている感があった。それを一気に覆す動きをゴールデンウィーク中に起こしたのである。

とは言え、今回の市場の虚を突いた政府の為替介入は円安牽制には効果的な演出だったと私は思う。歴史的円安、しかも投機的に作り出された円安に警告を与えた。この原稿を執筆しているのは5月3日(金)22時であるが、ドル円は152円ちょうどのレベルまで円高が進んでいる。今後の方向性は「米連邦準備理事会(FRB)は利下げ、日銀は利上げ」になるのは間違いなく、日米金利差は縮小することが予想される。要するに円高・ドル安の力学が働く。それを事前に強制的に市場に促したのが今回の為替介入ではないだろうか? 160円もの円安が続けば、せっかくいい形におこなわれた企業の賃上げ効果は帳消しになり、日本経済にコスト高となりマイナス面が大きい。それを修正してくれたのが今回の為替介入である。

他方、日本銀行も弊害が大きいと考える円安がさらに進んだ場合、追加利上げの時期が前倒しされる可能性が考えられる。それでも、円安だけに対応して金融政策を決めることは不適切であり、日本銀行もそれを避けるだろう。

他方、1月以降円安が進み、さらに原油価格が上昇したことも、物価上昇率を押し上げる要因となっている。筆者は2024年の物価見通しの前提として、ドル円レートの1ドル145円、WTIの1バレル75ドルを前提に、2024年度のコアCPIの見通しを+2.6%としている(コラム「円安・原油高の物価シミュレーション:輸入インフレ・ショックからの経済の正常化を遅らせる要因に」、2024年4月9日)。

155円まで急騰した円高の状況も長続きせず、その1時間半後の15時半頃には157円台まで再び円安に振れるという激しい動きとなった。

他方で金融市場は、足もとで進む円安が、先行きの金融政策にどのような影響を与えるのかについて、植田総裁の発言からそのヒントを探ろうとするだろう。足もとでは円安けん制のための口先介入と考えられるタカ派的な植田総裁の発言が目立っているが、それが株価の調整を招いている面もあることから、植田総裁の発言のトーンが変わるかどうかも、金融政策決定会合後の記者会見での注目点となる(コラム「日銀による為替市場への口先介入:円安進行と株価下落の板挟みに」、2024年4月23日)。

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