紅麹 想定していない2物質を確認

紅麹 想定していない2物質を確認
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紅麹はコメなどの穀類を紅麹菌で発酵させたものだ

1つ違和感があったのは、「老朽化した大阪工場から和歌山工場に製造設備を移設した」という情報です。液相培養であれば、製造設備はそう簡単には移設できません。そうすると、麴培養のもう1つの方法である固相培養、つまり、古くからの方法の様に蒸した米の上で紅麹を培養するような方法で製造していた可能性が高いのです。この方法は安価ではありますが、微生物混入のリスクが高く管理が難しい方法でもあります。しかも、万が一、他の化学合成品の製造工場と同じ棟の中で製造していたり、バイオハザードレベルや清潔区域、陽圧区画などの区画がきちんとしていないようなことがあれば、製造方法レベルで容易にカビなどの微生物の混入を許してしまい得る危険性も高いのです。

自主回収の対象となるのは「紅麹コレステヘルプ45粒15日分」「紅麹コレステヘルプ90粒30日分」「紅麹コレステヘルプ60粒20日分」「ナイシヘルプ+コレステロール」「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」の5製品だ。

多くの方々が亡くなったり入院したりしていると報道されていますが、症例経過などの情報が詳細に開示されていないので、健康被害の内容については推測するしかありませんから、ここではあまり議論しません。この点については小林製薬の情報開示は極めて悪く、大きな問題です。どういう病状、病態が起きているのか、がわからないので、「腎障害が起きている人で紅麹製品を服用していた人」はすべて健康被害のカウントに入ってしまい、数だけが大きく膨らむ一方、ノイズの入った情報が多くなるので正確な有害事象分析がしづらくなってしまいます。

和歌山の工場ではバイオ品の製造をしていたことはないはずなので、清潔区画やバイオハザードレベルを高く保とうとすると、「新製造棟建設」ぐらいの作業量が必要になりますし、企業としても「新製造棟建設」と言った方が製品に注力しているイメージが作れて製品に弾みがつきます。ところが、「製造設備を移設」というような表現がなされているのは、「古い製造棟の中に区画を設けて移設した」ようなことが想像されます。化学合成品の工場は製造工程で発生した物質が工場外に漏出しないように陰圧区画にしていると理解しているのですが、麹培養などでは微生物混入を防ぐために陽圧区画にしておく必要があるので、バイオ品製造の工場をいくつも持っている会社でもない限り、そう簡単に移設できるとは思えないのです。万が一、紅麹の製造区画と他製品の製造区画が十分に区分されていないようなことがあれば、微生物混入は起こるべくして起きた、と言えるでしょう。いままでも、「健康被害を引き起こすような微生物が混入していなかった」だけで、「健康被害を引き起こさない微生物の混入は日常茶飯事」だったのかもしれません。出荷判定をきちんとしていなければ、そういうことにも気が付きもしないし気が付ける訳もないのですが。

小林製薬は2024年3月22日(金)の17時から「紅麹健康相談受付センター」を開設し、23日(土)、24日(日)を通じて体調不良を感じる生活者からの相談を受け付けている。電話回線の増設や相談員の増員を行うなど対応を強化し、全社を挙げて引き続き全力で対応していく。

紅麹はコメなどの穀類を紅麹菌で発酵させたものだ。一部の紅麹菌には有害物質の「シトリニン」が作られることがあるとされる。同社の調査で原料からシトリニンは検出されなかったといい、想定外の成分の特定を急いでいる。

小林製薬は22日、紅麹(こうじ)を使った機能性表示食品を自主回収すると発表した。摂取した消費者から腎疾患などの健康被害が発生したためだ。これまでに被害を訴えたのは13人で、そのうち6人が入院したという。同社が成分を分析したところ、一部の原料に想定していない成分が含まれている可能性があるとしている。

今回の問題で、小林製薬は「紅麹コレステヘルプ」などの製品に想定外の物質が含まれていたとしていて、その物質は「プベルル酸」である可能性が高いことがわかっています。 厚労省の発表では、「プベルル酸」は青カビからつくられる天然の化合物で、抗生物質としての特性があり、抗マラリア効果があるほど「毒性は非常に高い」とされています。 ただ、実はこれまでに国内外で盛んに研究されている物質ではないということです。そのため、青カビの細胞内で合成されることはわかっていますが、どんな形で細胞の外に放出されるのか、青カビ中でどれくらいの量が作られるのかという情報はほとんどありません。研究者の中でも、その実態について、残るナゾは多く、人体への影響、とりわけ腎臓への影響についても明らかにはなっていません。 数少ない記録として残っているものでは、北里大学が2017年に発表した論文があります。これは「プベルル酸」の抗マラリア効果を研究した論文で、「5匹のマウスに皮下注射すると、うち4匹が3日目までに死亡した」というものです。ただし、この実験はマラリア原虫に感染したマウスでの実験で、「プベルル酸」だけの影響で死んだのかはわかっていません。

紅麹コレステヘルプは悪玉コレステロール値を下げることなどをうたい、年間の売上高は6億円という。回収対象製品は2021年から国内のドラッグストアなどで販売し、累計販売個数は110万弱と説明している。

ここで恐ろしい想像をすることもできます。それは、「小林製薬は異常生成物が含まれていることを知っていながら出荷したのではないか?」という疑問です。ごくごく普通のバイオ品の製造の常識からすれば、「製造物の中に異常物生成物が含まれていないかどうかを検査していないはずがない」からです。標準的な分析方法をしていれば、「シトルリンが含まれていない」ことを確認する分析途中で、「予期せぬ異常物が産生されている」ことも検出できるはずです。また、ロット間差を調整するために複数の製造ロットを混合使用することが一般的ですし、そもそも紅麹製品の有効成分は単一のモナコリンKではなく、「モナコリンKを含む複数のポリケチド類」ですから、製造ロット混合時には詳しい成分分析は行われているはずですから、ここでも気が付くチャンスはあります。それなのに、小林製薬が「出荷するまで異常物が含まれていることに気が付かなかった」というのは相当無理のある説明です。しかも小林製薬は、「後からデータを見直したら未知の物質が含まれていた」と記者会見で説明しているのです。

その結果、「物質が光を吸収する量」と「質量」でみた場合、紅麹コレステヘルプに「プベルル酸」と同じ性質をもつ化合物が存在することが確認できました。 近畿大学薬学部 多賀淳教授「プベルル酸を検出する条件でみられるピークはいくつか存在しています。ある程度物質の候補が絞れていて、"これかなという候補がある時は、標準物質を入手すれば、2日から3日くらいでこの化合物かなというところまでたどり着くと思います」 この化合物が最終的に「プベルル酸」であると断定するためには、「標準物質」と呼ばれる、いわば“ものさし”となるプベルル酸が必要です。しかし、多賀教授によると、プベルル酸は珍しい物質のため、通常では入手が難しいということです。

小林製薬の「紅麹」を巡る問題、関心はありますか?

このタイプの副作用が発生するためには一定の服用期間が必要なので、発売直後には見つからず、販売開始から一定の期間を経てから急激に患者数が増加する傾向があります。紅麹製品は2022年ぐらいからの発売と言うことなので、現在の健康被害として報告されている方の中の一定数には、ロバスタチンの副作用による腎障害の方が含まれていると思います。もちろん紅麴が産生する物質の中にはモナコリンK(ロバスタチン)以外の成分もあるので、その成分による慢性毒性という可能性もあります。しかしこれは今回の問題の主題ではありません。

小林製薬は、2024年3月22日付で公表した「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ」(参考記事) に関し、3月24日時点での現状報告と影響について公表した。3月24日までに健康相談受付センターに寄せられた情報から、製品使用等で入院した可能性がある症例数は20件増加し、健康被害の報告は合計26件に上った。また、使用中止と回収に係る対象製品の製造番号を公表し、同社が想定していない成分を含む可能性がある製造番号は店販・通販の合計で18種(入院症例が報告されているのは6種類)となり、製品パッケージの確認を要請した。また紅麹原料について、小林製薬が使用している自社製品は2割にも満たず、子会社の小林製薬バリューサポートを通じた原料供給先企業52社への紅麹原料の供給は8割を超えており、これら52社の製品から紅麹原料による健康被害は確認されていないものの、小林製薬は供給先企業への製品回収の協力を呼び掛けている。

2024年3月22日に発表した「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ」に記載のとおり、紅麹コレステヘルプ及びそれに使用している紅麹原料(自社製造)の成分分析を行った結果、一部の紅麹原料に小林製薬の想定していない成分を含む可能性が判明している。

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