豪ドル/円 見通し「中東リスクで一時急落も…焦点は24日の豪1-3月期CPI」注目の高金利通貨 4月21日号

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豪ドル/円 見通し「中東リスクで一時急落も…焦点は24日の豪1-3月期CPI」注目の高金利通貨 4月21日号
 

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メキシコペソや豪ドルなど投資家にとって魅力的な通貨の最新状況について、これまでの動向や注目ポイントについて解説します。

作成日時 :2024年4月19日15時25分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
X(Twitter)@KandaTakuya

豪ドル/円チャート(日足)

※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照

先週の豪ドル/円は1カ月ぶり安値を付けるも方向感欠く

 週明け15日は、市場がリスクオフに傾いた前週末12日の反動で100円台にワンタッチしましたが、翌16日には再び99円台を割り込むなど一進一退の展開となりました。その後も、18日は豪3月雇用統計で新規雇用者数が減少したにもかかわらず99円台半ばへ強含みましたが、19日の東京市場ではイスラエルがイランを攻撃したことが伝わると97.70円台へ急落。日経平均株価が一時1300円超値下がりするなど、週末を控えて再びリスクオフムードが高まる中、円キャリー取引の手仕舞いも相まって下げ幅を拡大しました。ただ、イランの核施設には被害がなかったことなどが伝わるとリスクオフの動きが次第に収束。19日の15時時点では98円台後半に持ち直しており、総じて方向感を欠く値動きが続いています。

今週の豪ドル/円の注目ポイントは1-3月期CPI

 24日に豪1-3月期消費者物価指数(CPI)が発表されます。中東情勢を巡る懸念はくすぶり続けそうですが、これ以上戦火が拡大しなければ豪ドル相場への影響は限定的と見られます。豪1-3月期CPIについては、前年比+3.5%と10-12月期の+4.1%から鈍化すると予想されています。また、コアCPIにあたるトリム平均値は前年比+3.9の予想です(10-12月期+4.2%)。豪中銀(RBA)は3月理事会で「リスクは絶妙に均衡している」として引き締めバイアスを修正。中立スタンスで様子を見る(データを確認する)姿勢を示しています。市場は「RBAの次の一手は利下げ」と見ており、焦点は利下げ開始の時期に移っているため、CPIが予想以上に鈍化すれば早期利下げの思惑が浮上しやすいでしょう。

当面の豪ドル/円見通し

予想レンジ
97.250円~100.250円
基調
方向感模索

当面の注目ポイント
☆4/24 豪1-3月期CPI
主要国株価、国際商品価格

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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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2024年2月現在の豪ドル円の価格は94.60円です

IMM通貨先物4月16日資源国通貨 豪ドルの売り越し増加カナダ 82815枚の売り越し29430枚の売り越し増豪ドル 101083枚の売り越し8742枚の売り越し増NZドル 11726枚の売り越し1821枚の売り越し減レバレッジド・ファンズ4月16日資源国通貨 豪ドルの売り越し減少カナダ 47672枚の売り越し12371枚の売り越し増豪ドル 27390枚の売り越し2521枚の売...

その意味では、インフレが注目を集める状況が続く中においては、資源国通貨の豪ドルの行方を考える上で原油相場などの影響は重要になりそうだ。その原油相場は、11月にかけて上昇傾向が続いたが、11月下旬にコロナ変異「オミクロン株」への懸念が浮上したことをきっかけに一転して急落となった。

2021年の豪ドル/米ドルは、3月に0.80米ドルで頭打ちになると、その後は下落トレンドが展開した。そんな豪ドル安・米ドル高の動きは、米ドル/円やユーロ/米ドルと同様に、6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)の後からは、基本的に金融政策を反映する豪米2年債利回り差と連動する展開となった(図表1参照)。

2024年2月現在の豪ドル円の価格は94.60円です。

さて、話を豪ドルに戻そう。豪ドル/米ドルは、11月にかけて原油相場に連れる形で上昇したものの、52週MAの位置する0.75米ドルを大きく上回らずに反落に転じた(図表4参照)。経験的には、トレンドと逆行する一時的な動きは52週MAまでがせいぜいなので、その意味ではこの値動きは豪ドル安・米ドル高トレンドが続いていることを確認したものと言えそうだ。

ただ、10月頃から、豪ドル/米ドルは金利差からのかい離が目立ってきた。10月以降、豪米2年債利回り差は豪ドル劣位拡大に向かったが、それを尻目に一時豪ドル高・米ドル安へ向かうところとなった。この金利差からのかい離が目立つようになった10月以降の豪ドル/米ドルの動きを比較的うまく説明できそうなのがWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)など原油相場だった(図表2参照)。

もともと代表的な資源国通貨とされる豪ドルだけに、原油相場とは一定の相関関係があったものの、10月以降改めて相関性が高まったのは、米国のインフレ懸念が現実味を増してきたことで、金利以上に「モノ」の影響が強くなったといったこともあったのかもしれない。

かつては高金利通貨の代名詞としてFX取引でも人気の通貨であった。2018年8月時点での政策金利は1.50%と、米国よりも低く、長期金利などでも米国の水準を下回っている。もっとも、日本や欧州に比べると金利が取れる分、ある程度金利を意識した取引も残っている。また、世界有数の資源国として、天然資源の国際市場での動向が相場に影響を与える資源国通貨としての一面も持っている。輸出のトップ10はすべて天然資源が占めており、資源価格動向が豪経済に与える影響が大きい。 鉄鋼・石炭などが主な輸出品で、輸出先のトップは中国。そのため、自国の経済指標だけでなく、中国の鉱工業生産や小売売上高など、中国の経済指標で豪ドルが動くこともある。

かりに、豪ドル/円も下落トレンドへ転換したとなると、高値は52週MA前後までがせいぜいとなるので、2022年の予想レンジは75~82円中心といったところになる。

欧州通貨と同じく、豪ドルと円は米ドルに対して上昇余地が大きいと考える。豪ドル/米ドルは2024年6月末までに1豪ドル0.76米ドルまで上昇すると予想する。我々の予想は、アジアの良好な経済環境、国内政策、コモディティ価格の回復がプラス材料となり、オーストラリア経済は持ちこたえることができるという見方に基づいている。このためオーストラリア準備銀行(中央銀行)はタカ派姿勢を維持すると考える。ターミナルレート(利上げの最終到達点)は4%を若干上回る水準を予想しており、今年または来年初頭に利下げが行われる可能性は低いと考える。経常収支が黒字のため、財政状態は健全性が高まっている。米国のオーストラリアに対する金利の優位性が低下したことは、投資家が豪ドルの買いポジションを積み増すきっかけとなるものであり、よって豪ドルが上昇するとみている。こうした見方は、リスク資産を選好する市場のセンチメントにも影響される。

豪ドルは対円、対米ドルともに2020年3月「コロナ・ショック」の後から上昇トレンドが続いてきた。豪ドル/米ドルは2021年7月頃から52週MAを大きく下回り、下落トレンドへの転換となったが、豪ドル/円はまさに足元で82円程度の52週MAを大きく下回り始めており、下落トレンドへ転換の正念場を迎えている(図表7参照)。

ユーロ/米ドルは2023年9月末までに1ユーロ1.12米ドルまで上昇、2024年6月末までに1.18米ドルまで上昇すると予想する。米ドル/スイス・フランは9月末までに1米ドル0.87スイス・フランまで下落、2024年6月末までに0.83スイス・フランまで下落すると予想する。英ポンド/米ドルは9月末までに1英ポンド1.29米ドルまで上昇、2024年6月末までに1.38米ドルまで上昇すると予想する。同様に、豪ドル/米ドルは9月末までに1豪ドル0.72米ドルまで急上昇し、2024年6月末までに0.76米ドルまで上昇するとみている。

豪ドル安・米ドル高トレンドが展開する場合は、52週MAを10~15%下回るまで続くことが多かった(図表5参照)。足元の52週MAは0.75米ドル程度なので、それを10~15%下回るなら0.63~0.67米ドルまで豪ドル安・米ドル高が続く可能性は注目したい。

豪ドルの今後の見通しを予測するためには、RBAによる政策金利動向に注目することも重要なポイントです。

豪ドルについては、オーストラリアの国際収支の黒字と中銀のタカ派姿勢維持の見通しを勘案すると、売られ過ぎと我々は見ている。よって、豪ドルは、特に成長重視の投資家には魅力的と考える。また、リスクオフの市場環境では、豪ドルが上昇する可能性は低いだろう。

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