日銀4月会合 円安巡る懸念相次ぐ

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日銀4月会合 円安巡る懸念相次ぐ
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日銀4月会合 円安巡る懸念相次ぐ

日銀の植田和男総裁が円安に関する発言を軌道修正している。4月の記者会見では「基調的な物価上昇率に大きな影響を与えていない」と繰り返し円安が進行した。5月に入り「政策運営上、十分注視していく」と表現を改め、8日には「過去と比べ物価に影響を及ぼしやすくなっている面があることは意識しておく必要がある」と述べた。

日銀は4月25-26日に開催した金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定し、政策金利を据え置くことを決定しました。長期国債の買い入れ方針についても「3月会合で決定された方針に沿って実施する」と明記したのみで現状維持としました。3月会合では長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃した一方で、長期国債の買い入れ方針は「これまでとおおむね同程度の金額で長期国債の買い入れを継続する」との方針を決定していました。

日銀は前回3月会合で、マイナス金利政策を解除し、短期金利の目標を0~0.1%に設定。17年ぶりの利上げに踏み切った。長期金利を抑え込む枠組みも撤廃し、大規模緩和を転換した。現在も賃金と物価の「好循環」が続いていると、日銀はみている。ただ、3月から大きなデータの更新はなく、市場では金融政策を維持するとの見方が強い。

これに対して植田総裁の説明は、円安進行をきっかけにいずれ基調的物価上昇率が2%に向けて高まり、物価目標達成の確度が高まるため、それに合わせて政策金利を引き上げていく、というものだ。円安を物価目標の達成を助ける「良いもの」と捉えられる説明となっている点が、政府、企業、個人と大きく食い違う点であり、それが金融市場の失望を招いたのである。

焦点は追加利上げの時期だ。植田氏は4月の朝日新聞の取材に、日銀の物価目標について「夏から秋にかけて春闘の結果が物価にも反映されていく中で、目標達成の可能性がどんどん高まっていく」と言及。達成に向けた「自信の度合い、確度」が高まれば、利上げを検討するとした。

円安を加速させる特定の材料があった訳ではないが、日本が休日であるため、政府の為替介入に対する警戒感が薄れていたことが、市場参加者が安心してドル買い円売りを仕掛けることを許した一因と考えられる。さらに、日本が休日のためドル円の取引がかなり薄いことも、市場のボラティリティを低下させ、一気に1ドル160円台まで円安が進んだ背景だろう。

日本銀行は25~26日、大規模な金融緩和を転換して初となる金融政策決定会合を開く。植田和男総裁は、日銀が目標とする物価上昇率2%に達する「確度」が高まれば、追加利上げを検討するとしており、その時期を示唆するかが焦点だ。急速に進む円安が物価に与える影響をどう評価するかも重要となる。

4月の日銀金融政策決定会合後に円安がさらに進行したことを受け、市場では為替介入とみられる動きがありました。足元の円安加速の背景としては、日銀の金融政策が現状維持であったこと、植田総裁の発言内容、米国にインフレ再加速懸念がある中、米国の利下げ期待が後退したことなどが挙げられます。円安に必ずしも金融政策で対応すべきではありませんが、日銀の情報発信に工夫が求められます。

会合前、日本国債市場では利回りが小幅ながら上昇していたことから、一応、警戒感はありましたが、投機的な円安抑制を理由とした国債購入の減額はありませんでした。なお、日銀が30日に発表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では「国債買入れがイールドカーブに及ぼす影響」がボックスに示されています。現在6兆円程度とされる月間買入れ額が縮小されれば、日本国債金利上昇による円安抑制効果が想定される内容ですが、現段階では。展望レポートでの理論武装にとどまっています。

仮に為替介入が行われた場合には、それが、円安が進んだ先週末ではなく週明けのタイミングとなった理由は2つ考えられる。第1は、朝方に1ドル160円の節目を超えたことで、日本の当局の円安への警戒感が一段と高まったことに加えて、日本の為替介入に難色を示す米当局を説得する材料になったと考えられる。第2に、日本市場が休日でアジア市場でのドル円の取引が薄商いであったことから、比較的規模が小さい介入でも為替市場を大きく動かすことが可能な状況であったことだ。

しかし、G20財務相・中央銀行総裁会議が閉幕した後の4月18日の記者会見で、植田総裁は円安進行で基調的な物価に、「無視できない大きさの影響があれば、金融政策の変更もありえる」と述べていました。①~③で何らかの円安対応が、ひょっとしたらあるかもしれないという伏線の1つが植田総裁のタカ派(金融政策引き締めを選好)発言であったと思われます。今回、利上げはないにしても、何らかの布石を打つ可能性は想定されていましたが、日銀からの示唆は限定的でした。展望レポートでは政策修正の準備と思われる内容はありますが、あくまで準備の段階と見られます。

為替介入が行われた場合、そこには政治的は背景もあるのではないか。足もとの円安進行を受けて、企業や個人の間からは、さらなる物価上昇への懸念が示されている。そうした中、28日の衆院補選で自民党が全敗したことから、政府は、為替介入を実施することで、円安対応を行ったとの証拠づくりを国民向けに行い、支持の回復を狙う必要が出てきた可能性もあるだろう。

4月29日のアジア市場の朝方に、ドル円レートは一瞬1ドル160円台に乗せた。先週金曜日の日本銀行の金融政策決定会合後に円安が進み、同日の米国市場では1ドル158円台まで円安が進んでいた。週明けの29日のオセアニア・アジア市場では、158円台前半で取引は始まったが、日本時間の午前10時台に一気に1ドル160円台まで円安が進んだ。

金融政策は為替をターゲットにせず、為替政策は政府の所管である、という建前を重視した結果、円安をけん制するどころか、円安を容認するかのように市場では受け止められてしまった。

植田総裁は過去には、円安進行に懸念を表明し、政府と連携していく姿勢を表明していた。今回の記者会見でも、そうした発言を前面に打ち出していれば、これほど円安は進まなかっただろう。

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