来週のドル円予想:152円超えですぐ為替介入も…『断固たる措置』発言、油断大敵 2024/3/29(金)志摩力男

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来週のドル円予想:152円超えですぐ為替介入も…『断固たる措置』発言、油断大敵 2024/3/29(金)志摩力男
 

スイス中銀の動きから、ECBの利下げが見えてくる【外為マーケットビュー】

動画配信期間:2024/3/29~2024/4/12

外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。

目次

0:00 本日の見通し イースターで休場
1:00 ドル円見通し「断固たる措置」後、2~3円で介入の過去
3:17 ユーロドル見通し 下落の可能性 スイス中銀の動きから
5:03 米利下げの行方 
6:45 経済指標 米PCEで動きないのでは
7:35 「利下げ急がず」ウォラー氏
9:05 為替介入、ドル円の良い買い場に
9:50 財務省「国際収支に関する懇談会」

動画の内容(要約)

■ ドル円相場の動向
今週、ドル円は151.97円の新高値を付けるなど、上昇基調が継続している。しかし、鈴木財務大臣が「断固たる措置」と発言したことで、152円台での為替介入への警戒感が高まっている。
過去の経験則から考えると、152円を超えるような水準になれば、すぐにでも為替介入が実施される可能性が高いと分析されている。そのため、当面の上昇トレンドにも限界感が出てきており、152円台レベル以上の買いトレードは難しくなってきた。

■ 欧州・米国の金融政策動向
一方で、欧州では経済の減速が目立ち始めている。ECBは6月にも利下げに乗り出す見通しで、その前にスイス中銀がすでに利下げを開始している。
一方の米国では、FRB内部で意見が分かれている。パウエル議長が利下げを望んでいるものの、インフレ抑制のためにウォーラー委員らが利下げに慎重な姿勢をみせている。このため、6月の利下げ実施についても不透明感が残っている。

■ 今後の見通し
全体として、ドル/円はこのように152円台での介入リスクから、上値の重い展開が避けられない状況となっている。
ただし、押し目買いの機会は出てくると見られる。152円前後での押し目買いが有効と考えられるが、介入のタイミングには十分注意が必要だ。
一方で、欧州通貨が下落基調に転じる公算が大きいことから、ユーロ/円なども注目されるだろう。

■ 注目イベント
今週は金曜日のPCEデフレーター、来週の米雇用統計など、景気動向を示す重要指標の発表に注目が集まる。
また、財務省が開催した国際収支に関する会合の資料内容にも興味深いものがあり、日本経済の課題や処方箋が示唆されている点にも注目が必要だ。

全体として、ドル円は152円台での介入リスクが高く、慎重な取り組みが求められる展開が続く見通し。押し目買いの機会は出てくるものの、介入タイミングには十分な警戒が必要とされる。欧州通貨の動向にも注意が必要だ。

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志摩力男 氏
慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。

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来週のドル円予想152円超えですぐ為替介入も 断固たる措置 発言

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(7)心理的節目152.00を背にした戻り売り圧力(直近高値突破に伴う達成感)や、(8)鈴木財務相による「円相場について高い緊張感をもって見ている」「円安の行き過ぎた動きにあらゆる手段排除せず断固たる措置」との牽制発言、(9)林官房長官による「為替市場の動向を注視しつつ万全の対応を行いたい」との牽制発言、(10)神田財務官による「円安の背景に投機的な動きがあることは明らか」「あらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる」との牽制発言、(11)財務省・金融庁・日銀による3者会合実施が重石となり、僅か数時間後に週間安値151.03まで急落しました。

財務官は25日に、「今の円安の動きは明らかに投機が背景にある」、「(為替介入については)常に準備はできている」と市場を強くけん制した。この「投機」という言葉は、為替介入が近いことを示す重要なメッセージである。財務官が「投機」という言葉を使ったのは、単に市場をけん制する狙いだけでなく、主に米国当局に対して、近い将来、日本が為替介入を実施しても、それは特定の為替水準を意識したものではなく、投機的な動きへの対応であることを、米国当局に予め示しておく証拠づくり、あるいは地均しと考えられる。そのため、この発言は、為替介入が近いことを強く示していると理解できるだろう。

<ユーロドル相場>今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0808で寄り付いた後、(1)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力や、(2)欧州株の堅調推移(ドイツ株は史上最高値更新)、(3)英ポンドの急上昇(マン英中銀委員による「市場が現在織り込んでいる利下げは多過ぎる」「市場が既に利下げを織り込んでいるためBOEが利下げを実施する必要がない」とのタカ派的な発言→英ポンド急伸→ユーロ連れ高)、(4)ドイツ4月GFK消費者信頼感指数(結果▲27.4、予想▲28.0)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、翌3/26にかけて、週間高値1.0865まで上昇しました。

来週のドル円は方向性を決める重要な週になりそうだ。

(10)チポローネECB専務理事による「賃金の伸び率が鈍化傾向にあるためユーロ圏のインフレ率は2025年半ばまでに目標の2%へ低下することに確信を強めている」とのハト派的な発言、(11)ドイツの主要経済研究所による2024年のGDP成長率の大幅下方修正(今回+0.1%、前回+1.3%)、(12)ウォラーFRB理事による「利下げを急ぐ必要はない」との朝方の発言、(13)イタリア中銀パネッタ総裁による「緩和の条件は整いつつある」とのハト派的な発言、(14)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「2%のインフレ目標が視野に入ってきた」「利下げを開始しハードランディングに備える必要がある」「最初の利下げは春頃に実施しFRBとは独立して行う」とのハト派的な発言が重石となり、週末にかけて、週間安値1.0768まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/30午前6時10分現在)では、1.0793前後で推移しております。

<ドル円相場>今週のドル円相場(USDJPY)は、週初151.44で寄り付いた後、(1)米2月シカゴ連銀全米活動指数(結果+0.05、予想▲0.34)の市場予想を上回る結果や、(2)アトランタ連銀ボスティック総裁による「今年の利下げは1回のみを予想する」とのタカ派的な発言、(3)米2月耐久財受注(結果+1.4%、予想+1.0%)の市場予想を上回る結果、(4)米2月製造業受注(結果+0.7%、予想+0.1%)の市場予想を上回る結果、(5)田村日銀審議委員による「当面緩和的な金融環境が継続する」とのハト派的な発言(日銀による追加利上げ観測後退)、(6)直近高値突破(2024年の年間高値151.88突破→2023年の年間高値151.91突破→2022年の年間高値151.95突破)に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、週央にかけて、約34年ぶり高値となる151.97(1990年7月以来の高値圏)まで急伸しました。

東京市場は151円全台前半での揉み合い。本邦当局者からの円安けん制発言など、材料は決して少なくなかったが市場動意は限られた。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(12)ウォラーFRB理事による「利下げを急ぐ必要はない」とのタカ派的な発言が支援材料や、(13)米第4四半期GDP確報値(結果3.4%、予想3.2%)の市場予想を上回る結果、(14)米新規失業保険申請件数(結果21.0万件、予想21.2万件)の良好な結果、(15)米3月ミシガン大消費者信頼感指数確報値(結果79.4、予想76.5)の市場予想を上回る結果、(16)米2月中古住宅販売制約指数(結果1.6%、予想1.1%)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間3/30午前6時10分現在)では、151.38前後で推移しております。尚、週末に発表された日米物価指標(本邦3月東京都区部消費者物価指数、米2月PCEデフレータ)はいずれも市場予想通りの結果となったため、市場の反応は限られました。

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