キャッシュレス手数料増 店ため息

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キャッシュレス手数料増 店ため息
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 キャッシュレス手数料増 店ため息

キャッシュレス手数料増 店ため息

そもそもキャッシュレス決済の手数料は、なぜ発生するのか。ITジャーナリストの三上洋氏は「複数事業者が入っているから」と解説する。まずは、決済端末を入れて、回線接続する決済代行業者だ。続いて「チャージ自体にもお金がかかる」。銀行やクレジットカードなどにも手数料がかかり、「シンプルに見えても、たくさんの事業者が入っているため、どうしても経費がかかるのは、やむを得ない」という。

実際のところ、手数料は一定のものではなく、つねに交渉を経て改訂されている。例えば、「突然ある加盟店で決済ブランドのうちVisaだけが使えなくなった」ようなニュースがときどき聞こえてくるが、これは手数料交渉などで加盟店とブランドの話し合いが決裂したことに起因する。前出のキャンペーンなどを経て低い手数料を勝ち取った加盟店が、引き上げを狙うブランド側の要求をのまなかったときに発生しうる。また、以前まではAmerican Expressのみを取り扱っていたCostcoは、現在ではMastercardのみでの取り扱いとなっており、これも手数料交渉の結果で排他的条件を受け入れた結果での乗り換えと考えられる。

政府はインバウンド需要の拡大を見込み2025年6月までにキャッシュレス決済比率4割程度をめざす目標を発表。現在の普及率は39.3%。将来的には世界の水準に合わせ80%までもっていきたいとしている。

また、昨今の新型コロナウイルスの件では不衛生な現金に触れることを避けられるという理由から、キャッシュレス決済やセミセルフレジの導入に関心が高まっており、小売における「決済」の場面で大きな変化が起きつつある。

小売事業者にとってのキャッシュレスのメリットはさまざまだが、1つには現金管理の手間から解放されるということが挙げられる。ロイヤルホールディングスが展開する完全キャッシュレスレストラン「Gathering Table Pantry」では、従業員の事務管理にかかる時間が大幅に短縮され、その分本来の業務である接客や調理業務に集中できたり、あるいはレジ締め作業から解放されたことで閉店後の退店が容易になるなどのメリットが出ている。

金子税理士は「利益率1〜2%で回っている店にとっては、価格を変えないと、手数料が増えた分だけ赤字になる場合がある」と語る。白鳥オーナーは「(キャッシュレス化の)波は止まらないため、仕方なく払っている」としつつも、「最終的には価格転嫁するしかない」と胸中を明かした。

同社はキャッシュレス決済手段として現在PayPayとメルペイを導入しているが、前者がキャンペーン期間中は決済手数料無料、後者の手数料が1.5%と業界競合と比べても低めになっている。本音としては「手数料は支払いたくないからキャッシュレス決済導入の判断はシビアにならざるを得ない」ということだが、メルペイは利用者がメルカリでの売上金をそのまま買い物に利用できることを特徴としており、これをうまく活用して新しい客層を取り込みたいということが会見での趣旨だ。ただ、なぜそこまで手数料にこだわるのかといえば、「スーパーは手数料を支払うほどの余力がない」という懐事情に起因する。

一方で、キャッシュレス化と同時についてまわるのが「決済手数料」の問題だ。現金とは異なり、利用者との決済の仲介を他のサービス事業者を通して行なうため、その中間マージンとしての手数料が発生する。

こうした複雑な事情や機材レンタルなどからくる手数料負担の大きさから、最近ではスマートフォンやタブレットと連動して簡単にPOSや決済サービスが導入でき、さらにその手数料も一律で単純明快ということからリクルートのAirペイや楽天ペイ(実店舗決済)などの人気が出ている。前出のSquareは基本的にはPOSの仕組みを提供するサービスだが、同時に安価で簡易な決済サービスも提供しており、中小の小売店はこうした仕組みの活用がキャッシュレス対応ならびに店舗の効率化の近道となる。

キャッシュレス社会の到来というのは、単純に「現金を使わない」という以外のインパクトをもたらすと筆者は予測する。手数料引き下げは行なわれると仮定しても、この変化に耐えられない企業は消滅の憂き目に遭うことになるかもしれない。

このほかにも、リスク判断や導入形態によっても変化する。近年ではIC対応が必須となったことから、導入時にリスクの低いIC対応の有無で手数料の決定判断に影響を及ぼす可能性が出ている。そもそもリスクが高いと判断された加盟店には「磁気ストライプのカードは取り扱えず、ICのみ対応させる」と条件を突きつけるケースもある。また意図的にキャンペーンを仕掛け、例えば「タッチ決済に対応すれば手数料引き下げに応じる」という形で、アクワイアラが自身の意図する形に加盟店を誘導する手段として手数料を持ち出すという話もある。決済端末の無料レンタル条件として手数料上乗せを提案するケースもあり、この場合は全体に手数料が高くなる。

仮に、これで売上損失をカバーできているというなら、充分に耐えられる数値かもしれない。だがキャッシュレスが進むほどに応分負担が増えると、売上増、あるいは前出の「Gathering Table Pantry」のような大幅な効率運営ができるようにならなければ、店舗運営そのものはより厳しくなっていくだけだ。

とはいえ、街の地元密着型スーパーがある日突然すべて消え失せる姿は想像できない。これまで決済手数料以外でかかっていたコスト負担をさまざまな形で軽減し、新しい時代に生き残れる形で運営スタイルを変化させていくのではないかと推測する。単純に「キャッシュレスで売上増」というのが望ましいが、それを実現することは非常に難しい現実が見えつつある。

一連のポイント還元施策により日本全体でキャッシュレス決済比率が上がっているとされているが、それでも多いところで30-40%程度、実際には20%前後という日本でのキャッシュレス普及率に近い数字の小売店が多いと思われる。

本連載でも何度も取り上げているが、世界はキャッシュレスに向かいつつあり、サービス事業者らは普及のためのさまざまな施策を進めている。

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