カスハラ「対応しません」JR東

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カスハラ「対応しません」JR東
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 カスハラ「対応しません」JR東

カスハラは法律用語ではありません

パワハラやセクハラ対応を検討したときも定義の曖昧さで頭を悩ませた方は多いと思いますが、予防措置の場合は、多少定義が曖昧でも、「グレーな行為も含めて疑わしい行為はやめなさい」と指導すれば良いわけです。それでも、パワハラではない正当な行為が、ハラスメントだといわれるトラブルは見受けられます。一方で、上述のとおり、カスハラ対応は予防措置が取りづらく、ケースバイケースでの対応になるため、グレーな行為も含めて正面から取り上げて対応を検討しなければいけないという厄介さを孕(はら)んでいるのです。

「田中さん、お客さまからの苦情をカスハラなんて言うのは良くないよ。お客さまは神様だと思って対応するようにと、いつも言っているでしょう。そのお客さまの件なんだけど、まだ解決してないから、今日以降、田中さんが対応してもらえるかな。ひとまず今日、こちらから電話することになっているから、担当変更の挨拶も兼ねて早めに電話してほしい。この件は元々当社の対応に不手際があったのは間違いないので、納得いただくまで謝るしかないと思うんだ。担当が代われば流れも変わるかもしれないし、お願いね」

私としては、そんなに両極端に考えるべきではないという意見を持っています。カスハラの認定が難しいというのは前述しましたが、そのような難しい認定に依拠して「神」か「客ではない」かを決めるのは危険すぎますし、判断を躊躇(ちゅうちょ)する要因になってしまいます。

【弁護士解説】カスハラ対策はカスタマーハラスメントが発生する前の事前準備が大切です。実際に起きてしまった場合の具体的な対応例も解説します。

そのため、カスハラの対応で大事なのは、会社としてきちんと事前に準備しておくということなのです。

「そうだな…カスハラに該当するかしないか、一度法務部にも相談してみるか…」

カスハラ対応の必要があることは十分理解している。しかしカスハラ対応はパワハラやセクハラの対応とは違う難しさがある…そんな声も耳にします。会社にとって、なぜカスハラ対応が難しいと感じられるのか、その理由について考えてみたいと思います。

カスハラは法律用語ではありません。カスハラというものに該当したとして法律効果が何ら規定されているものではないのです。つまりこの観点からは「カスハラ」と認定判断することに意味などまったくありません。

カスハラの定義は前述しましたが、この定義をもって自社の従業員が全員同じ認識を持ち、完璧に判断できるようになるなんて楽観的に捉えることは到底できません。

これらがカスハラ対応を積極的に進められない要因として挙げられ、実際、カスハラ対応を難しくしていることは否定できないでしょう。ただ、これは「難しい」だけで「できない」理由にはならないはずです。「難しい」なら「簡単」にしてみましょう。

カスハラ対応が難しいという一番のポイントは「加害者がお客さまであること」です。会社でカスハラ対応を考えようとなったとき、会社は被害者の立場から加害者への対応を考えなければならないのです。加害者とはすなわちお客さまです。加害者でさえなければ、会社にとって最も大切な人です。

カスハラ(カスタマーハラスメント)とは、「顧客からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」とされています。

カスハラでは基本的に自社が被害者となります。そのため被害者側の立場で加害行為に対する対応を考えることになるのですが、その場合、予防措置を講じるというのはかなり難しく、起こるであろう加害行為を予測してその適切な反応を検討するということになります。

まずは、カスハラ対応についてありがちな誤解というものについて解説したいと思います。

例えば、自社の店舗で従業員が、何にも正当な理由がなくお客さまから殴られているとしましょう。その現場にあなたがいたとして、このお客さまの行為についてカスハラと認定してからでないと、対応を決められませんか?そんなことないですよね。暴行を多少力づくでも止めて、警察に連絡するなどの対応をとりますよね。このことからもわかるように「カスハラの認定判断」と「その行為に対する対応」は必ずしも連動していません。むしろ、「非常事態が起きたなら、こういう対応をしましょう」というような取り決めをしておくことに意味がありますし、この「非常事態」を想定するときに自社で起きやすい典型的なカスハラ事例のようなものを挙げておくことが有用ということになります。

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